11月5日 薬
薬がそろそろなくなる。でも、病院にいく元気すらなかった。私は、今日もベットから動くことに苦労していた。昨日に頭痛と吐き気があった。
今日も親は仕事に出ていった。こういう時、兄弟がいないのはつらいな。もう、私に、普通の高校生活はない。普通の授業、友だちと一緒の休憩時間、青春の部活動も。
私が通っていたのは聖徳高校。今は、不登校という扱いみたいだ。クラス自体は、3年4組の国公立クラスらしい。でも、そろそろ出席日数が足りなくなって、私も退学となるんだろうな。高校2年までよく一緒にいたのが、新谷穂波と佐々木真名。彼女たちと過ごした時間は楽しかったが、ずっとは続かなかった。私が学校に行けなくなった原因にもなったのだ。
新谷穂波は、2年の時に仲良くなった子だ。彼女は、私と同じシングル家庭ということもあり、すぐ仲良くなれた。私のところの母親だったが、穂波のところは、父親。お互い、嫌なことや辛いことを忘れるためにもたくさん話した。話すうちに、お互いのことがさらにしれて共感しあえるようになった。でも、別れも早かった。それは、下田那奈と蒼井真紀の存在だった。彼女たちは、私の穂波を奪っていってしまった。
佐々木真名は、1年と2年の時に同じクラスだった。控えめな彼女とは、最初から意気投合した。好きなアイドルの話でずっと盛り上がっていた。でも、彼女は私とは違った。私とは違って、彼女には「勉強」という圧倒的な武器が存在した。そんな彼女の武器が少しずつ私との差が開いていくのがわかった。
私は、スマホを見ながら時刻を確認した。もう、12時か。そろそろ、昼食でも食べるか悩んでいた。お腹は空いてなかったけど、ご飯だけは食べるようにお母さんに言われていた。ただでさえ、学校に行っていなくてお母さんに迷惑をかけているのに、体調がさらに悪くなってしまったら、お母さんは混乱してしまう。
なんとか重い腰を上げて、私は、リビングを目指した。でも、なかなか階段をおりられない。なんとか部屋から出たものの、一歩が遠く感じる。目眩と頭痛で前に進まない。こんな時、穂波や真名がいたらどんな声かけをしてくれるだろうか?次の段に足を下ろした瞬間、私は、自分の体が浮いているように感じた。なんだこれ?
私の目の前には、白い天井がうつっていた。これは、夢なのか?でも、夢にしては対空時間が長い。次に私が目覚めた時には、病院だった。