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第八十一話 美姫の相談

 土曜日と日曜日は自動車教習所で教習を受けた後に、倉敷ダンジョンで練習プラス肉の補充の日だ。技能教習は一日に二時間までと決まっているので、両日とも二時間ずつ受けた。学科教習は制限はないが、精神的に我慢の出来る二時間を頑張って受講した。


 ダンジョンは土曜日に十六階層から二十五階層まで攻略して、二十一階層と二十六階層の転移の柱に美姫が登録をすることが出来た。ボアの肉も大量に手に入れることが出来て美姫も嬉しそうにしていた。


 日曜日にはダンジョンを完全攻略することが出来た。まだ擦り付けた犯人が捕まっていないので気にはなったが、やはりもうこの世にはいないのかもしれないな。


 美姫にはビッグボアに向かって爆裂の矢を射てもらったが、予想以上の威力に二人で驚いてしまった。この威力がないと倒せない魔物と出会うのだろうか?間違いであってくれれば良いのだがどうなるだろうか不安に思う。残念ながら爆裂の矢は矢筒でコピーをすることは出来なかった。


 宝箱からは調理道具のマジックアイテムが出てきた。美姫は頑固に肉だけ三割貰うと言い張るので僕が貰うことになった。


 五階層しか攻略していないので時間も早い。美姫が相談があるというので《桜花の誓い》が攻略後の反省会に使っていたファミレスに行って話を聞くことにした。


「リーダーがこの前言ってた話のことに関連していることなんだけど、パーティに加入出来るかテストをしてほしい人がいるのよ」

「美姫の知り合いなのか?美姫が推薦してくるなら有望で、人格も問題ないんだろ。喜んでテストさせてもらうよ。どんな人なんだ?」

「名前は原田詩音はらだしおん。今までは声をかける気はなかったんだけど、パーティ名を決めるときにリーダーには花が集まるって言ってたでしょ。だからシオンも花の名前だから、うちのパーティに必要なのかなと思ったわ。私の元パーティメンバーで今でも連絡を取っている唯一の子なの。詩音もパーティが解散した後、地元の山口に帰っているんだけど、良いパーティメンバーが見付からないって歎いていたわ。私がAランカーとパーティを組んだと話したときには羨ましがられたわ」


 またもや女性のようだ。もう諦めの境地に入ってきたな。


「ポジションは何処になるんだ」

「ユーティリティープレイヤーというのかな、どんな役割でもこなすわ。アタッカーでもタンクでもヒーラーまでも出来るわ。でもメインは張れないの、サブポジションとしては優秀だと思っている。性格的にも明るくて前向きよ。今は少し落ち込んでいるようだけど、一度会って一緒に探索してもらえれば良いところが分かってもらえると思うわ」

「美姫がそこまで言うなら会わないわけにはいかないな。都合のいい日を決めてくれると良いよ」

「分かったわ。リーダー、ありがとう。詩音に良い報告が出来るわ」


 それからパーティの今後の活動等について話をしてからファミレスを出た。


 家に帰るともう晩御飯の準備は終わっていて、僕の帰りを待っていたようだ。


「帰りました。待たせてゴメンね」

「いや、大丈夫だ。全員揃ったし、御飯を食べよう」


 早速父親はビールを飲んでいる。例の大山のビール工場で買ってきたお気に入りのビールである。


「麟瞳は、最近忙しそうね。教習所はどうなの?」

「まだ始めて三日目だからね、技能教習は楽しく出来るんだけど、学科教習が大変だよ。教官が睡眠魔法を使ってきているようなんだ。手強いよ」

「馬鹿なこと言ってないで頑張るんだ。家の運転手として期待している。麟瞳が免許を取った時にはお祝いだ」


 両親共に飲ん兵衛だから僕が免許を取ったら外食で飲み放題とでも思っているのだろう。その時はしっかり運転手をさせていただきます。


「綾芽は最近どんな活動をしているんだ」

「学校も九月の文化祭が終わればある程度自由になるし、それまでは倉敷ダンジョンの攻略をすることにしているよ。十月からは、お兄ちゃんが夏休みの計画のもう一つの案として言ってた尾道のDランクダンジョンに挑戦しようという話になっているの」

「ダンジョンの中では気をつけろよ。この前のレアモンスターのようなこともあるからな。僕もレアモンスターと戦ったことでパーティメンバーから怒られたよ。ああいう時のために帰還のマジックアイテムがあるのにすっかり存在を忘れていたよ。全くどうしたんだろうな。綾芽も帰還のスクロールを持ってるだろ。ああいう時に使うアイテムだ。ボス部屋の中でも使えるから危険な時には迷わず使えよ」


 今日の晩御飯はマグロの漬け丼に貝のすまし汁、それにお漬物がついている。当然僕の丼は大盛りだ。マグロの漬け丼にはすり下ろされた長芋がかけてあり、止めの大葉の千切りが見た目を美しく、味を爽やかに仕上げている。あっという間に腹の中へと消えていった。ごちそうさまでした。


 食後はリビングでのマッタリ時間だ。桃と梨を食べながら談笑する。


「母さん、今日倉敷ダンジョンの宝箱から出てきた調理道具があるんだ。受け取ってよ」


 出てきたのはフライパンと大きめの鍋だ。自動洗浄効果が付いていて手入れが楽になるマジックアイテムだ。


「麟瞳、いつもありがとね。美味しいご飯をこれからも作るよ」


 フライパンと鍋についてしっかり説明しておいた。自動洗浄の有用さは前に渡したマジックアイテムで実感している。今回も有り難いと喜んでいたよ。


 明日も岡山ダンジョンをパーティで攻略する。ソロで探索していたときよりもやり甲斐を感じ、楽しく攻略出来ている。明日も良い一日になるように願って、安眠3点セットを着けて眠った。






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― 新着の感想 ―
ここまで見て思ったけれど、主人公の母親が料理(弁当)作りで疲れないのは料理スキル持ってる可能性があるな
[一言] や、山口の人だっ!(謎) 桃と梨って合うのかなぁ? あ、好きな方を食べればいいのか。納得。
[一言] お母さんが、主婦じゃなくてシェフに成りつつあるのね(*´▽`*)
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