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第七十一話 仮パーティメンバー

すみません。長い文章になってしまいました。

 金曜日の今日は岡山ダンジョンで神楽皐月かぐらさつきと一緒に攻略をすることになっている。僕一人だと不安に感じたかも知れないが、パーティメンバーの橘姉妹も一緒なので何とかなるだろう。朝の鍛練を終えた後に、シャワーを浴び、朝御飯を食べてダンジョンに向かった。


 ダンジョンで橘姉妹と合流して神楽皐月を待つ。約束の九時の十分前にやって来た。


「おはよう。高松から遠かっただろう。こちらは僕のパーティメンバーの橘真姫さんと橘美姫さんだ。今日は一緒にダンジョンに入ってもらう。よろしくな」


 顔見せを終わらせて、着替えてきてもらう。今回もお試し探索なので最初にドロップアイテムで得る収入の配分などについて話し合っておくことにする。後で揉めるのは嫌だからね。


 着替えてきた皐月さんと話を始める。こちらは美姫が代表して話をする。【話術】スキルを持っている真姫が適任ではないのかと思ったが、普段の言動を思い返すと美姫に任せた方が良いと思った。


「今日は皐月と呼ばせてもらうわね。今日の探索で得る物の配分を決めておきましょう。最初に決めておかないと後で揉めるからね。良いかしら」

「普通に人数で割れば良いだろ」

「うちのパーティはそうはいかないのよ。こちらの案をまず提案するわね。リーダーが半分で残りを他の三人で分ける。今日の探索では皐月と真姫に頑張ってもらうから、皐月と真姫に半分の四割ずつだから全体の二割ずつね。私が全体の一割をもらうわ。宝箱の中身に関してはマジックアイテムはパーティの財産として預かるってところかしら」

「何でそんな配分になるんだよ。ハーレムパーティでやりたい放題だな」


 僕もスキルを知らなければ納得できないだろうな~。美姫はどうするんだろうか?


「あなたは私達のパーティに入りたくて今日来ているんでしょう。入った後の配分と同じことを言ってるんだから、全然おかしいところはないでしょう。因みに今日は私の取り分は一割にしたけど、普通は違うからね。あなたの取り分はもっと少なくなるわ」


 なんだか美姫はわざわざ皐月を煽っているように感じるな~。大丈夫なんだろうか?


「納得出来ない!私はユニークギフト所持者よ。何でそんな配分で納得しなくちゃいけないのよ!」

「あなた馬鹿なの?自分のスキルについてよく知りもしない人に情報を流すなんて、あなたは信用できないわ。仲間の情報も簡単に口にしそうよ」

「あんたが腹立つことを言うからでしょ。普段は言わないわよ。それにユニークギフト所持者よパーティに欲しいと思わないの」

「全然思わない。ユニークギフト所持者でも馬鹿は必要ないわ。それにユニークギフトを持っているからって何か勘違いしているんじゃない?大体腹が立ったから自分の情報を口にしたってことがおかしいでしょ。ただ単に、自分の自慢をしたかっただけでしょう」


 いや~、もう探索なんて出来そうにないね。


「話が進まないわ、今日だけは一緒に探索するってリーダーが約束したからダンジョンに入るけど、あなたはいくら欲しいのか実際に欲しい金額を言ってみて」

「金額ね、全体の四分の一で良いんだけど、そんなに言うなら五万円貰えれば文句はない」

「あなた、今日は一階層からの攻略よ。Cランクダンジョンで低階層を攻略して今までどれだけ儲けてきたの。良く考えて口にしなさいよ」

「じゃあ四万円だ。これ以上はまけられない」

「分かったわ、宝箱も入れてだからね。あなたの取り分は四万円、これで決定ね。後で文句は言わないように」

「ああ、言わない」


 美姫が悪い顔になっているよ。他に攻略方法として、皐月が盾で攻撃を受け止めて、そこで真姫が倒していくことを決めていよいよダンジョンに向かう。


 ダンジョンカードを重ねてパーティ登録をしてから、転移の柱に全員が触れて一階層に転移した。当然ダンジョンカードの記載事項は見ないようにしてパーティ登録をしたよ。


 皐月を先頭に真姫、美姫、僕の順番で進んでいく。進路は最短経路を僕から真姫に念話で伝えて、真姫から皐月に口頭で伝える。面倒臭いがしょうがない。


 低階層はもう攻略している人は少ないのか、ゴブリンとすぐに出会う。単独ゴブリンだ。一応盾で棍棒を振り回すゴブリンを防いで、真姫が仕留めた。せめて三匹以上のゴブリンパーティと戦闘しないとなにも分からないよね。階層が進む毎に出てくるゴブリンの数も増えてくる。三匹までは普通に盾で防いでいたが、四匹以上になると盾でガードしたままゴブリンに突撃する。突き飛ばされたゴブリンは押し倒され、そこに真姫が槍で止めを刺す。五階層のボス部屋に到着した。


「ボス部屋は六匹のゴブリンが出てくる。ゴブリンファイターが入ってくるからね」


 四人で扉の中に入り、扉が閉まる。戦闘の開始だ。今回の皐月は大盾で攻撃を加えている。シールドバッシュという攻撃だろうか、なかなかの破壊力がある。ガードしたままの突進も入れながら真姫と二人ですべてを倒した。今日の僕と美姫はドロップアイテム回収マシーンだ。すべてを回収し終えると銅色の宝箱が現れた。真姫が中身を取り出す。お約束の中級体力ポーションが五本とミサンガが出てきた。綾芽が左足首にしているものが頭をよぎったが、まさか違うよね。


 六階層の転移の柱に皐月が登録して、お昼御飯にする。橘姉妹はお弁当を美姫のマジックポーチから取り出し、僕はこっそりと腕輪から取り出した。皐月は携帯食料を出すので、僕のストックのお弁当を渡して食べてもらった。


「銅の宝箱なんて運が良いな。四万円に決めて失敗したな」

「今更変えませんよ」

「分かってる、約束だからな。弁当ありがとうな、美味しかったよ」


 僕の方を向いてお礼を言ってきた。この辺の常識はちゃんとあるようだね。お腹も満たして、水分補給をした後に攻略を再開した。十階層までは五、六匹のゴブリンパーティが出てくる。ゴブリンファイターが一、二匹混ざっているだけで脅威には感じない。


 皐月と真姫で余裕を持って対応しながら進んで、十階層のボス部屋に到着した。順番待ちが一組いるので、その後に並んで待つ。


「なあ、二人は一回も戦ってないよな。このボス部屋だけ戦闘に参加して腕前を見せてくれよ」


 皐月からのリクエストである。


「あなたの口が軽そうだから見せることが出来ないのよ。信用できない人の前でスキルを使うことは出来ないわ」

「絶対に誰にも言わない。約束する」


 美姫と念話で話して参加することに決めた。どうせなら魔力ポーションも宝箱から貰おうということで僕は魔法で攻撃することになった。


「絶対に情報を流さないようにしてね」


 美姫が最後に念押しする。正直な話をすると僕は【豪運】スキルと収納の腕輪以外はあまり気にしていない。前のパーティがボス部屋に入ってから十分ほどで扉が開いた。ボス部屋の中には六匹のゴブリンパーティで、ゴブリンアーチャーがいるのが今までと変わっているところだ。


 四人で扉の中に入り、扉が閉まる。念話での打ち合わせでアーチャーを美姫が倒して、僕が左から美姫が右から攻撃をしていくことに決めていた。左から順番にファイヤーボールを撃っていく。三匹ずつ倒して討伐完了である。


 ドロップアイテムを回収していると宝箱が現れた。今度も銅色の宝箱で僕が開けさせてもらった。中にはポーションが五本ずつとスキルオーブが入っていた。


「また銅の宝箱か?本当に失敗したかな。でもここのダンジョンは凄い宝箱が出てくるな。スキルオーブなんて初めてみたぜ」


 十一階層の転移の柱に皐月が登録してからダンジョンの外に転移した。武器のメンテナンスをして買取りをしてもらうために入場受付に行き部屋へと案内される。ドロップアイテムをカゴに入れて処理のために常盤さんが退出したときに話が始まった。


「二人の攻撃は大したもんだな。まさか龍泉が魔法使いだとは思ってなかったぜ。で、私はどうだった?後には通さなかっただろ」

「十階層までの攻略だから分からない部分もあるけど、腕だけはまずまずかしら。性格が良ければ合格でも良かったと思うけど、あなたが入ると絶対に揉めると思うわ。そんな人を仲間に出来ると思うの?あなた自身どう思うのよ」

「口が悪いのはすまないと思う。ダンジョン高校に行かないとちゃんとしたパーティなんて組めないだろ。私の時には国立のダンジョン高校しか無かったから遠くて行けなかった。後から県立のダンジョン高校が出来て、何で早く作ってくれないんだよって悔しかったし、負けたくなかったんだよ。正直、最後のボス部屋の戦闘を見て身体が震えたよ。あんなに圧倒的な戦いなんて見たことないからな。悪いところは直していくからパーティに入れてくれ、頼む」


 どうしたものかな?三人で話してみる。


「私は気持ちが少し分かるわ。ダンジョン高校に行かないと出遅れるのね。高校生の時にはダンジョンに入る仲間なんか見つけられないものね。大学生になって、サークルに入ってから夢中になってダンジョンに通ったわ。やっとCランク探索者になった時には凄く嬉しかった。このパーティに入れてもらったのも、美姫のことが心配なのも本当だけど、自分がもっと先に進みたいと思っているのもあると思うのよね」


 真姫が言うこともあって、美姫に火が付いたようだ。自分だけがダンジョン高校に行ったことと関係しているのかもしれないな。三人の意見をまとめた。


「あなたを仮パーティメンバーとして迎えるわ。でも何か問題を起こせばすぐにやめてもらうから。真姫と同じで大学生だから月金の週二の参加ね。来週だけ火金になるから」 

 

 金曜日に岡山に来て、橘家に寝泊まりして月曜日の探索後に香川に帰る。橘家では夜に店の手伝いをして宿泊代にする。大学はしっかりと卒業しないとパーティを辞めてもらう。いろいろな事があっという間に決まってしまった。


 常盤さんが戻ってきた。買取り金額の合計が二十万弱、そのうち四万円を皐月のカードに入金してもらい残りの半分を僕に、更に残りの三分の二を真姫に、最後の残りを美姫に分配した。


 マジックアイテムは幸運のミサンガと【鷹の目】のスキルオーブだった。幸運のミサンガは綾芽のほんの少し効果があるものと違い本物のようだ。でも、僕の【豪運】スキルと被っているので、とりあえず収納しておいた。スキルオーブは美姫が使うの一択だ。その場で使用してもらう。スキルオーブは光になり美姫の中に吸い込まれるように入っていった。


 すべてを終えてダンジョンを後にした。まずいぞ、このままでは皐月が言うようにハーレムパーティ確定になってしまう。誰か優秀な男性のアタッカーを紹介してくれないかな?


 









 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誰?別人?
[一言] 数話前に出てきた人と違う人ですか?口調全然違うんですけど。
[気になる点] 皐月が第六十二話の時と口調が違いすぎませんか?
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