表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/150

第六十六話 お試し探索①

 今日の綾芽は《桜花の誓い》のパーティメンバーと一緒に倉敷ダンジョンの攻略階層を更新するために五時半頃に家を出て行くから朝の鍛練はお休みだ。一人で鍛練を行うが、集中出来ていなかった。今日の九時からの岡山ダンジョンお試し探索が気になってしょうがないからだ。九時に岡山ダンジョンで待ち合わせをしているので、早めに行って準備をしておこう。


 探索者センターで着替えて受付に向かう。今日のお試し探索までは探索者協会でお世話をしてくれることになっている。担当の常盤さんが部屋へと案内してくれた。

 

 九時の十五分前に橘姉妹が部屋に案内されて来た。挨拶を交わした後テーブルを挟んで向かい合い、今日の探索の配分などについて話し合う。これをやっておかないと後で揉めることに繋がるから、事前に取り決めをしてから探索をしないといけないらしい。


 常盤さんが間に入り話を進める。


「僕はドロップアイテムの換金の配分は三等分で良いんですが、今日見る僕のスキルや装備品については他の人にしゃべって欲しくないです。そしてボス部屋を攻略した時の宝箱からのアイテムも売って三等分でも良いんですが、もしもこれからもパーティを組んで行くことになった場合は、有用なマジックアイテムが出たときには売らずに預からせてほしいですね。僕の要望は以上です」


 僕としては【豪運】スキルと収納の腕輪に関しては情報を多くの人に流したくないので、そのことを伝えておいた。配分については探索した人数で均等割するのが良いと思っている。《百花繚乱》の時の待遇によるところが大きいのかも知れない。


「姉の真姫を今日の探索に駆り出したのは私の我が儘なので、三等分は貰いすぎです。真姫の取り分はなくても良いですよ。私からアルバイト代を払います。それにスキルや装備品に関しても他言はしません。他の人のスキルをしゃべるなんて絶対にしません」

「妹の言う通りで良いです。アルバイト代は目茶苦茶ケチられそうですけど、麟瞳さんを紹介したのは私なのでなんとかパーティを組んでもらえるように助力出来ればと思います。スキルについては絶対に話しません」


 結局配分については、僕と美姫さんで二等分に決まった。なんだか真姫さんには申し訳ないね。


 ボス部屋の攻略があるのでパーティ登録はしないといけないが、お互いのダンジョンカードは見ないようにすること。美姫さんは後衛から弓矢で攻撃をして、ゴブリンアーチャーとボス部屋のゴブリンメイジは最初に仕留めること。真姫さんは美姫さんの護衛として常に美姫さんの側にいること。僕は出来るだけ討ち漏らしすることなくゴブリンの討伐をするように努力すること等を決めて話し合いは終わった。実戦になれば思わぬことが起こるかもしれないが、その時は臨機応変に対応するしかない。ではダンジョンに向かいましょう。


 ダンジョンの外に取り付けられた扉を探索者証を通してくぐり、転移の柱の前でダンジョンカードを重ねてパーティ登録をする。三人で転移の柱に手を触れて十六階層に転移する。


 転移した場所はセーフティーゾーンだ。フォーメーションをもう一度確認する。


「通路を進む時は僕が先頭で、次が美姫さん、そして最後に真姫さんでいいかな?後方からのアタックには注意しておくように。ゴブリンパーティとエンカウントしたときはまず美姫さんがアーチャーに攻撃してね。そのあとは前衛のゴブリンに攻撃出来るときにはしてくれれば良いけど、今日初めてパーティを組むので意思疎通は難しいと思うから無理はしなくて良いから。僕が前衛のゴブリンは全部倒すからね」


 攻略を開始した。まずは最短の経路をたどり進んでいくが、探索者が増えているせいかゴブリンに出会わない。最短経路は諦めて少し横道に逸れてみよう。六匹のゴブリンパーティに接敵した。まず美姫さんがゴブリンアーチャー目掛けて弓を引くはずだ。こちらは前衛のゴブリンソードマンに向かって突っ込んでいき、斬撃を飛ばす。ダメージを負ったゴブリンソードマンに近づき刀で首をはねる。残りのゴブリンも飛ぶ斬撃でダメージを与えてから止めを刺す。それ程時間も掛からずに討伐完了である。


「私のスキルでパーティメンバー同士で念話が出来ます。ゴブリンアーチャーだけでなく他のゴブリンにも攻撃させてください」


 初めて聞くスキルだ。離れていても会話できるなんてパーティでの戦闘では夢のようなスキルだよ。


「念話って離れていても頭の中に声が聞こえて話をすることが出来るものでいいのかな。凄いスキルを持っているんだね。僕もスキルについて他の人には絶対にしゃべらないから約束する」


 念話の練習をしたが、お互いに口を閉じたまま会話が出来るんだよ不思議だね。美姫さんに指示を出してもらうようにして攻略を再開した。


 今度は五匹のゴブリンパーティが相手だ。今度もソードマンを狙って突っ込み斬撃を飛ばす。一匹討伐完了だ。


『右側は私が受け持ちます。左側の二匹をお願いします』

『了解』


 左の二匹に向かって駆け出す。斬撃を飛ばし、近づいて止めを刺す。


 皆でドロップアイテムを拾って僕が収納する。


「収納が麟瞳さんのスキルですか?私は今日やることがなさそうなので、ドロップアイテムを拾って麟瞳さんに渡す係を受け持ちますね」


 真姫さんが自虐的に言ってくる。


「スキルはドロップアイテムの方なんだ。必ず魔石がドロップしているでしょ。それにドロップアイテムが普通の人達より良いと思うんだ。収納はマジックアイテムのおかげだよ」

「ポーションがドロップするなんておかしいですよね。私はポーションは宝箱の中からしか手にしたことないですよ」

 

 真姫さんが何か言って来るが、気にせず攻略を進めよう。


 

 

 





 



 

 

「  」は普通の会話

『  』は念話を表すことにします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 真姫ちゃんけっこうな登場回数なのに武器もスキルも全く言及されなくて草 パーティリーダーやっててソロの異性にも話しかけられるコミュ力あってB級弓の妹仲介してくれてるのに、残念自虐空気姉のイジ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ