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第六十五話 土日月

 旅行から帰ってきた翌日の土曜日は朝の鍛練だけ行い、後は家でのんびりと過ごして身体の疲れをとった。おやつの時間に食べたマンゴーとメロンは最高に美味しかったよ。


 日曜日は魔法の練習を行うために倉敷ダンジョンに、確かめたい事もあるので綾芽も連れて行った。綾芽には僕の方から声をかけた。文句を後から言われるのが嫌なわけではなく、敏捷の指輪の効果を見せてもらうために声をかけたんだよ。


 攻略するのは不人気のウルフエリア、此処ならそれほど人もいないので自由に動くことが出来るだろう。


「綾芽、全力で動いて討伐をしてみてよ」


 五匹のウルフを相手に一瞬で近づき槍で突き、払い、斬る。素早さアップのブーツに敏捷の指輪、そして腕力強化のリストバンドという三つのマジックアイテムに更に【身体強化】のスキルを発動させると、まるで《百花繚乱》のリーダーの奈倉正輝なくらまさきの動きのようだ。まだまだ動作に無駄があり正輝には遠く及ばないが、素早く近づき、力でねじ伏せる。槍を振る時にも敏捷の指輪の効果が働いているのだろうかスピードが圧倒的だ。我が妹ながら将来が楽しみだね。


「凄いな綾芽、動いた後の反動なんかはないのか?」

「これくらいなら大丈夫だよ。お兄ちゃんありがとうね、マジックアイテムと私のスキルは相性が抜群に良いみたい。夏休みの前とは魔物を相手にした時の感覚が驚くほど変わっているんだよ」

「まあ油断はしないようにしろよ。今日はお互いに自由に討伐しよう。僕も魔法の練習がしたいから少し離れた場所に行くからな」


 途中でお弁当を食べる時間は取ったが、それ以外は初級魔力ポーションを二本と中級魔力ポーションを一本飲んで、とにかく魔法でウルフを討伐した。綾芽とあわせて何匹討伐したんだろうか、ほとんどのウルフがいなくなったような気がするよ。


 買取り金額もとんでもなく高額になった。いろいろと満足させてもらってダンジョンを後にした。


 月曜日は岡山ダンジョンに行って明日のお試し探索の為の練習をしておく。明日は魔法は使わないつもりだ。別に手の内を明かすことを嫌がって魔法を使わない訳ではなく、後衛の仕事はすべて任せて前衛の僕との相性を見るためだ。最近は旅行に立て続けに行った事もあり、全力で刀を振る機会が少なかった。木刀はほぼ毎日振ったけど、今日は実戦で勘を取り戻しておこう。


 綾芽達の夏休みが終われば岡山のCランクダンジョンを完全攻略して、他県のCランクダンジョンにも遠征して行きたいと思う。まずは仲間を集めないといけないけどね。


 十六階層に転移して攻略を開始する。ここから二十階層まではゴブリンアーチャーを含めたゴブリンパーティが出てくる。ゴブリンアーチャーだけ先に魔法で仕留めて、残りは近接戦闘で倒すことにしよう。


 六匹のゴブリンパーティにエンカウントした。アーチャーは一匹だけだ、まずはファイヤーボールをお見舞いすると一発で倒すことができた。魔法の攻撃力も上がって来たのかな?後は刀で倒していく、久しぶりに棍棒の投擲も攻撃に組み込んでいく。仲間が増えたときに飛ぶ斬撃の攻撃が使えないこともあるかもしれない。特に僕は火力が足りていないから攻撃の手段は多いに越したことはないと思う。投擲のスキルを得ることを目標にしていた時もあったが、今の刀を宝箱から得た後はおざなりになっていた。反省しながらゴブリンを倒して行った。近距離からの棍棒の投擲はやはり有効だね、練習をしっかりしておこう。

 

 今日は二十階層までの攻略を予定している。他の探索者パーティに会わないように進路を取りながら、出来るだけゴブリンパーティに出会うように進んで行った。投擲と飛ぶ斬撃を織り交ぜながら刀で斬っていく。動きも良くなってきたと思ったときにボス部屋に到着した。


 ボス部屋の前には一組のパーティが順番待ちをしているので、その後に並んで待つ。


「麟瞳さんじゃあないですか。私のこと分かりますか?前に会ったときに一生忘れませんって言っていましたけど」


 なんとまた橘真姫に会ってしまった。何回ダンジョンの中で会うんだろうね、しかも今日は美姫さんも一緒にいる。流石に双子だけあってよく似ている、髪型が違うから見分けは付くけどね。


「勿論覚えているよ。橘真姫さんでしょ、明日はよろしくね」

「ちゃんと名前を覚えてくれたんですね。明日のための練習で来たんですよ。ここで会ったらバレちゃいましたね」

「僕も明日の為にこっそり練習するために来たんだけどね。ここで会ったらなんだか気まずいね。会わなかったことにしておこうか?もう話しかけないでね」

「何なんですかそれは!訳分からないですよ」


 ここでボス部屋の扉が開いた。美姫さんは会釈をしてボス部屋に入って行ったよ。皆頑張ってね!


 ここのボス部屋から魔法攻撃をして来るゴブリンメイジが出てくる。最優先で討伐をしないといけない要注意の魔物だ。


 十五分くらい経っただろうか、扉が開いた。気合いを入れてボス部屋に入った。扉が閉まり戦闘の開始だ。


 少し広めのボス部屋の中には大体二十匹のゴブリン達がいる。その中でまずメイジに魔法攻撃を仕掛ける。やはり攻撃力が上がっているのだろうか、一撃で倒すことができた。アーチャーも二匹いるから狙いを外すように動き回りながら魔法攻撃をお見舞いする。数発で後衛のゴブリンはいなくなった。残りのゴブリンは近接戦闘で攻撃を加える。ここでも投擲を取り入れてみた。一匹ずつ確実に倒していく、それも動きの中でだ。僕もこの期間で成長出来ているようだ、最後まで気を抜くことなくゴブリンをすべて討伐した。


 部屋が広いのでドロップアイテムを拾うのも一苦労だ。全部拾った後に大きめの銀色の宝箱を開けてお宝と対面する。黒い大盾が入っていた。これが出てきたと言うことは今の僕に必要な物なのだろう。この前の綾芽の言葉を思い出す。


 最近ここのダンジョンで得た宝箱の中身は凄まじく高額な物ばかりだ。風魔法が付与された靴、風魔法と不壊が付与された刀だ。そしてこの大盾だ。多分この大盾の買取り価格もビックリするほどの金額なのだろうな。 


 収納してからボス部屋を出て、転移の柱からダンジョンの外へ転移した。


 ドロップアイテムの買取りを常盤さんにしてもらいダンジョンを後にした。思った通り高額な買取り価格だったよ。









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