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第六十三話 ダンジョン旅行 三日目

 今日もタップリ寝て、スッキリ起きた。旅行三日目である、今日から高松市を離れて丸亀市へ移動する。


 ホテルのロビーで落ち合い、早速チェックアウトして高松駅に向かう。高松駅から普通電車で約四十分で丸亀駅に着いた。ダンジョンは現存十二天守の一つ丸亀城の側にある。駅から歩いて向かうが、その道沿いのうどん店で朝うどんを食べよう。今日は朝から肉うどんを食べる。このお店は大盛りの肉が盛られたこのうどんで有名らしい。名物料理は一度食べておかないといけない。ガッツリ朝からいただいた。


 丸亀ダンジョンは全二十階層のEランクダンジョンで迷宮型だ。出て来る魔物はクモでEランクダンジョンなので毒持ちは出てこない。


「ちょっと待って、クモが出てくるの?足が八本ある奴だよね。無理だよ、絶対に無理」


 遥がクモの魔物に対して拒否してきた。ゴブリンのような人型の魔物はダメな場合も想定していたが、クモがダメな場合は想定していなかった。確かに日常生活で昆虫やクモを嫌う人は結構いるよね。完全に僕の失敗だ。さてと、どうしたものか。


「今日は普通に観光でもするか?」


 この案はすぐに却下された。五人ともどうしてもダンジョンに行きたいそうだ。


「私のせいでごめんなさい。皐月さんに連絡してみます。オススメのダンジョンを紹介してもらいます」


 遥が責任を感じているのか、昨日連絡先を交換したばかりの皐月さんに電話をかけている。ダンジョンに入っていたら電話は繋がらないが、まだダンジョンに入る前だったようでセーフだった。


 丸亀市から近いところだと坂出市にFランクダンジョンがあるそうだ。今回はFランクダンジョンは最初から見ていなかったから助かったよ。明日のことは今日の夜に考えるとして、坂出市に移動しよう。


 丸亀駅から電車で十分ほどで坂出駅に着いた。駅からダンジョン行きのバスに乗って二十分で着くらしい。道中何度も遥が謝ってきたが、これは僕のミスだ。ちゃんと情報を伝えておかないといけなかった。


「今回は僕のミスだよ。報・連・相はしっかりしないとダメだね。こちらこそ遥に悪いことしたよ、ごめんな。今後は気をつけるよ」


 気を取り直して坂出ダンジョンの情報を調べよう。坂出ダンジョンは全六階層の草原型のダンジョンで、出てくる魔物はミニトレントモドキ・・・・・これは僕の大好きなダンジョンと同じではないか。やる気が爆上がりしたよ。


「これって、吉備路のダンジョンと同じだよね。目茶苦茶暇な奴だよね」


 綾芽が文句を言っているが、皐月さんオススメのダンジョンである。入らないわけにはいかないよね。


 探索者センターで必要な手続きと着替えを済ませて、ダンジョンに入りましょう。ちゃんとパーティ登録をしてダンジョンに入ったよ。入った後は六人別々に攻略することにした。同じ階層にいないといけないので、いつものようにじっくりと攻略することは出来ないが、方法は変えない。野球のグローブを出して準備万端だ。


 一階層は玉葱、ここも同じ食材しか出てこないのかな?キャッチして収納を繰り返し最後に魔法でミニトレントモドキを討伐する。討伐した後には玉葱がドロップしている。吉備路ダンジョン群の五重ダンジョンと全く同じ原理だ。


 皆で二階層に進むと変化があった。カボチャを投げて来たのだ。僕のテンションが上がったよ。何でこんなことで興奮するんだろうね、自分でもよく分からないよ。


 三階層でトウモロコシが回転しながら飛んできた時にはビックリしたよ。縦回転で投げて来るのっておかしいよね。四階層の梅は小さすぎて逆に取るのが難しかった。五階層でバナナがまたまた縦回転だったよ。六階層はなんとマンゴーを投げて来たので優しくキャッチだ。高級フルーツをありがとうございます。


 そして最後のボス部屋に皆で入る。僕に任せてねと事前に頼んでおくことも忘れなかった。ボスのトレントモドキが投げてきたのはメロンだ。スイカに比べればキャッチしやすいので、すべて収納することが出来た。魔法でトレントモドキを討伐してこのダンジョンを完全攻略出来た。鉄の宝箱が現れたよ。


「お兄さん、ごめんなさい。私のせいで鉄の宝箱になってしまって、次回の私の順番の宝箱を開けてもらいますね」


 まだ遥は引きずっているようだ、気にしなくて良いのにね。


「ダンジョンに入る前にも言ったけど、遥は悪くないからね。苦手な物は誰でもあるんだよ。それに昨日の宝箱は鉄の方が銅よりも買取り価格が圧倒的に高かったよね。今回も凄いものが入っているかもしれないよ」


 僕の順番なので宝箱を開けさせてもらう。中から出て来たのは指輪だった。最近よく見るような気がするのは気のせいではない筈だ、どんな効果があるんだろうね。そのうちすべての指に指輪を嵌めるようになるかもしれないな。


 とりあえずダンジョンから出てお昼御飯を食べることにする。今日は牛丼だ、食べながらこの後のことを話し合う。


「この後はどうする。丸亀市のホテルに行くか、もう一度ダンジョンを攻略するか。他の案でも良いよ、五人で決めてね」


 五人が決めたのは、出来るだけここを攻略するという案だった。とにかく走って出来るだけミニトレントモドキと戦わずにボス部屋を目指すということだ。桃の盾と真琴の弓は一旦僕が収納して走り易いようにした。山吹の盾には昨日のお札を貼ってあるらしい、凄い軽くなり取り扱いがしやすくなっているそうだ。山吹の盾で攻撃を防ぎつつ駆け抜ける作戦らしい。

 

 なんと五回も宝箱を開けることが出来た。大変疲れたけど、収穫は大きかった。すべて鉄の宝箱で、すべて指輪だったよ。ここは指輪しか出てこないのか?誰の物なのか分からなくなるので、自分で管理することにしてダンジョンの外へ転移した。


 昨日は武具店に行っていないので、まず武具店で武器のメンテナンスと矢の補充をしてから買取り受付に向かった。


 いつも通り窓口から部屋へと案内されて、マジックアイテムが何処から出て来たのかを確認される。


「六個ともボス部屋の鉄の宝箱から出て来ました」


 六回完全攻略したことに驚いているのか、鉄の宝箱が六回連続で出て来たことに驚いているのか分からないがとにかく支部長は驚いていた。


 ここに来る前に皆から鉄の宝箱が出たことに感謝されて、野菜と果物は僕にすべてくれることになった。気を使わせて申し訳ないが、ありがたくすべて貰っておいた。


 今回の現金収入は魔石だけなので、小学生のお小遣程しかなかったが皆それで満足していた。


 鑑定の結果によると、綾芽の指輪は俊敏の効果があり、他の四人の指輪は腕力強化の効果があるものだった。そして僕の指輪は魔力消費軽減の効果があるものであった。確実に宝箱を開ける人によって中身が変わることを確信した。これも僕のスキルの効果なのだろうか?


 すべてを終えてダンジョンを出た。丸亀市のホテルに向けてバスと電車を乗り継ぎ、無事にチェックインを済ませた。


 丸亀市は骨付き鳥の本場である。丸亀市で一番有名なお店で晩御飯を食べた。二日連続で同じメニューだったけど、お店によって全然味付けが違うので皆が満足出来た。気に入ったので、お持ち帰りを十本頼んだ。当然調理済みのものを頼んだよ。

 

 食べながら明日のダンジョンをどうするか話し合った。朝早くここを出て倉敷ダンジョンを攻略することになった。夏休み中の月木のダンジョン攻略もこの旅行が終わればあと二回である。なんとか夏休みの間に倉敷ダンジョンを完全攻略したいので、明日の一日で攻略階層を進めておきたいということだ。


 明日の予定も決まったので、ホテルに帰って休むとしよう。このお店は僕が支払った。野菜と果物を大量に貰ったからね。マンゴーとメロンの買取り金額は目茶苦茶高かったんだ。このことはネガティブ西湖には伝えないようにしよう。






 


 

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