第四十五話 綾芽と高梁ダンジョンを攻略
今日の最後のお話です。
明日も投稿します。よろしくお願いします。
無事にダンジョンの中に転移した。一階層のセーフティーゾーンで視界が確保されているかを確認する。
「綾芽、ちゃんと見えるか?」
「うん、大丈夫だよ。暗い部屋の中で見えることは確認してるからね」
「あとは槍の氷魔法の確認だな。綾芽の魔力を使って発動するようなら、魔力枯渇に注意しないといけない。一応ポーションを渡しておくからな。薄い青色が初級魔力ポーションで、濃い青色が中級魔力ポーションだ。薄暗いから色は見えないだろうが手を突っ込んで思い浮かべて出すんだろ。気持ちが悪くなったらすぐに使えよ。危ないからな」
とりあえず初級魔力ポーションを三本と中級魔力ポーションを二本渡しておく。
「穴には気をつけろよ。そこから襲ってくる可能性があるからな、特に壁際が危ないらしいから要注意な」
「分かったよ。あまり近くだと槍が自由に使えないから、お兄ちゃんとは少し離れるね。見える範囲にはいるから心配しないように」
「ああ、分かったよ。少ないけど他の人もいるから注意していこう」
ライト付きのヘルメットを装備しているパーティが二組見える、気を付けておこう。さあ、いよいよ探索開始だ。
結構ワークアントが群れている。僕のヘルメットのシールドは暗視効果があり良く見える。こちらから向かって行きましょう。まず飛ぶ斬撃で攻撃すると数匹のワークアントが消えていく。近づいて直接斬ると問題なく真っ二つに出来た。武器の性能の方がアリの体表の硬さに勝ったようだ。周りのワークアントを全て屠りドロップアイテムを収納する。何の鉱石かわからないがしっかりドロップしている。
綾芽の方も順調そうだ、奥の階段に向かって進もう。視界が確保されて、武器が負けなければ簡単な攻略になる。油断はしないが強気に攻める。
一度階段で綾芽と合流する。
「お兄ちゃん、この槍凄いよ。アリの体表を抵抗無く刺せるよ。それに凍れと思うと穂の部分が接触したところが凍るけど、お兄ちゃんみたいに斬撃は飛ばせないみたい」
「いいか、氷魔法が発動しているようだから魔力を使っているのは間違いない。もう一度言うが魔力枯渇だけは注意しろよ」
五階層まで攻略した。いろいろと試しながら進んだようで綾芽も満足気だ。六階層の転移の柱で登録する。
「どうする。もう一度一階層に戻ってから攻略するか?」
「ソルジャーアントやキラーアントがどの位強いか分からないけど、このまま六階層から攻略を続けたいな」
「じゃあ危ないと判断したらそこまでだからな。無理は言わないように」
「分かったよ。約束する」
六階層からはソルジャーアントが情報通り出て来た。火魔法に耐性があるのか魔法では倒せないこともあったが、斬撃を飛ばす攻撃は十分通用した。綾芽は刺して氷魔法を使っているようで、一撃で倒している。無双しながら十一階層の転移の柱まで到達した。
「初級魔力ポーションを使うね」
「魔力枯渇気持ち悪いだろ」
「確かに気持ち悪い。でもソルジャーアントには氷魔法が効果的だよ」
「この後どうする。一階層か六階層に戻るか」
「いや、まだ危ない場面は無かったと思うよ。もっと先に進んでみたいよ」
「キラーアントが出て来る。無理はしないようにな」
五十匹に一匹位の割合だろうか超でかいアリが混じってくる。ワークアントもソルジャーアントも大きいと思ったが比べようのない大きさだ。キラーアントに飛ぶ斬撃攻撃を仕掛けるが、構わずに向かって来る。躱して頭部と胸部の間のくびれた部分を狙って真向斬り。少し狙いがズレたようで倒し切れていない。二度目の攻撃で撃破した。ドロップアイテムを残して消えていった。
綾芽はソルジャーアントの時と同じように刺突攻撃で頭部に槍を突き刺し氷魔法で仕留めているようだ。そのまま攻略を進めていく。
次の階段でアドバイスを与えておく。
「だんだんキラーアントやソルジャーアントの数が増えて来る。全部今のように魔法で仕留めていると魔力が足りなくなるから、大きいアリは脚を払って機動力を削いでから攻撃すれば良い。一撃と魔法にこだわるなよ」
そこからは攻略スピードが落ちた。速さよりも確実に倒すことを心掛けて進み十六階層の転移の柱にたどり着いた。
まず登録をしてセーフティーゾーンで遅めのお昼御飯をいただくことにする。
「お兄ちゃん、お腹すいたね。あっという間に時間が過ぎているよ」
「ああ、しっかり食べような。今日進むのは此処までにしよう。もう少し探索したいなら六階層からだな」
「六階層から十階層までもう一度攻略してみたいよ」
美味しい弁当を食べて水分補給をした後に、転移の柱から六階層に転移した。
綾芽は先ほどは魔法で倒していたソルジャーアントを物理攻撃だけで討伐していく。槍の扱いも大分慣れてきたように思える。
僕も斬撃を飛ばす攻撃を使うことなく、頭部と胸部のくびれを狙って討伐が出来るように練習した。
十一階層に到達し水分補給をした後に僕の普通のリュックにすべてのドロップアイテムをまとめた。初めは綾芽のポーチに入れようと思ったが、魔石や鉱物の数が多過ぎる。僕の腕輪から出すのはそれほど時間はかからないが、ポーチから出していると結構時間がかかる。前に苦労したことを思い出しそう決めた。十分リュックに入る量だしね。
すべてを入れ替えてリュックを背負うとかなり重い。収納道具の有り難みを痛感しながらダンジョンの外へと転移した。