第四十三話 ランチと練習
明日も投稿します。よろしくお願いします。
ダンジョンでの用事を終わらせたので、とりあえず昼御飯を食べることにする。
「綾芽、今日は大人しかったが調子でも悪いのか?お昼御飯を食べようと思うんだが食べられるか?」
「お兄ちゃん、失礼にも程があるよ。ずっと周りを気にしてたんだよ、ボディーガードとして」
「そうだったのか、全然気付かなかったよ、すまんな。お詫びに何でも好きな物食べていいから」
どうも調子が悪いとか、人見知りをしていたとかでは無かったらしい。申し訳ない。
「じゃあ学校から駅に向かう道沿いのフランス料理屋が良いな。とても評判が良いんだ。ランチも美味しいらしいよ」
「じゃあ急いで行こう。ランチタイムが終わっちゃいそうだ」
急いで岡山駅行きのバスに乗った。
何とか間に合った。お店は外観も内装も清潔感のある感じで女の子に人気なのもわかる。僕が京都にいたときによく行っていた定食屋とは大違いだ。今日のサービスランチを注文した。
「マジックアイテムの槍、凄かったね。総金属製だよね。重くないの?」
「持った感じ、全然重くなかったな。何の金属でできてるんだろうな。まあダンジョンの中は謎テクノロジーだらけだからな。綾芽が使ってみるか」
「いやいや、滅相もないよ。腕が武器に追いついてないよ」
「別にそんなの考えなくて良いと思うけどな。僕は今の刀にしてから前よりも攻略が楽しくなったよ。使える技が増えると思考が変わると思うんだ。何て言えば良いのかなー、こうしなければならない、じゃなくて、こうしたいみたいな感じ。伝わるかな?」
「ちょっとだけ分かったかな。私が使って良いの?本当に」
「綾芽なら別に良いよ。いつでも取り返せるし。不壊だから槍がダメになることもないだろうしね。氷魔法も気になる」
「じゃあ槍の使い方勉強してみようかな」
「槍と薙刀ってそんなに違うのか。同じようなもんだと思っていたよ」
料理が運ばれてきた。まずは前菜とスープだけらしい、あっという間に食べてしまった。ちょっと間が開いてメインの料理が運ばれてきた。肉と魚が選べたので肉料理を頼んだんだ。白いお皿の上に肉が綺麗に切り分けられて、ソースがかけられている。色とりどりの野菜が焼かれて添えられている。
パンが付いているが、食べる前におかわりを頼んだよ。どう見ても腹に足りないが、ソースの味がハンパなく美味しい。こんな料理は今まで食べたことがない。
「綾芽はこんなオシャレな店はよく行くのか?」
「そんなにお金持ってないからね、オシャレな店なんてほとんど行けないよ。友達と話をするだけだよ」
「僕は初めてフランス料理店に入ったよ。量は少ないけど、肉のソースが美味いな」
最後にデザートと飲み物がきておしまい。ごちそうさまでした。この後ハンバーガーでも食べよう。
「お兄ちゃん、オシャレなお店でデートは出来ないね。食べてすぐにハンバーガー屋に行ってたら台無しだよ」
「でもあれだけだと絶対に足りないだろう。綾芽もバーガー頼んでいいぞ」
「私は十分満足したよ。ありがとう」
僕はハンバーガー屋でハンバーガーにドリンクとポテトのセットを付けて注文したよ。綾芽はシェイクだけ頼んでいた。
「お兄ちゃん、皆は火曜日と水曜日のどちらでも良いって連絡あったんだけど。どっちが良い」
「僕もどっちでも良いよ。一日おきか、連チャンか綾芽の好きな方にすれば良いよ」
「じゃあ水曜日にしていいかな。槍の練習を明日してみたいよ」
「やる気になってるねー、この後ちょっと本物を使ってみるか?」
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またまた岡山ダンジョンに戻ってきた。更衣室で運動できる服に着替えて綾芽と二人で受付をする。
「すみません。武器ケースの封印を解いてください。今日はダンジョンには入らず練習場を使います」
まずは武具店に行き、武器に詳しい人を呼んでもらう。
「いらっしゃい、今日はどうした?」
「この槍を妹が使いこなす為に、練習用の槍が欲しいんですけど良いのありませんか」
「また凄い槍だな。不壊と氷魔法が付与されているのか」
武器鑑定をしたのだろう、頷きながらじっくりと見ている。槍を渡すと振ったり突いたりした後、たくさん並んだ練習用の槍を一本一本確認していく。
「これが重心と重さが近いと思うが、微妙に違うんだよな。ちょっと木製の穂の部分を付け替えるから時間をくれ、一時間で仕上げるから」
「ありがとうございます。支払いは今で良いですかね」
「後で良いぞ。お客が納得できないものに金を払わせられないからな。実際に出来たもので確認してもらわないとお金は貰えないよ」
一時間後にお店に来ることを伝えて、練習場へと移動した。
「良い店員さんだったね」
「そうだな、こんなに親身になって相談に乗ってくれるとは思ってなかったよ」
練習場で綾芽を見ていてもしょうがないので、自分の刀で納得できるまで素振りをし、その後に仮想ゴブリンを相手に動きをつけながら練習する。
「お兄ちゃん、もうすぐ一時間になるよ」
「ああ、分かった。今危うくゴブリンにやられるところだったよ」
「ものすごいリアルな練習だったんだね」
武具店に戻ると先ほどの店員さんが待っていた。
「嬢ちゃん、これを使ってみてくれ」
綾芽が店先で素振りをする。
「良いですね。違和感がほとんどないです」
「まあ素材が金属と木だから多少はしょうがないと思って我慢してくれ」
武具店で支払いを済ませた後、受付に戻る。
「武器の封印と所有者の変更をお願いします」
自分で登録している武器で犯罪が行われると、盗まれたものであっても罪に問われる。管理もしっかりとしないといけない。まあその都度封印の処理を行うので、探索中に取られる以外はありえない話だと思う。それにマジックアイテムだから登録した者だけしか武器として使えない。そこは安心だ。
綾芽も使った感触が良かったので血液登録を済ませてから封印をしてもらった。
「お兄ちゃん、明日実戦で使ってみたい。何処かに連れて行って。昨日火曜日か水曜日に付き合うって言ってたでしょ」
確かに言ったんだよな。この前見たダンジョンの情報を思い返しながら考える。
「ちょっと遠いけど、高梁のDランクダンジョンに行ってみるか。難易度も少し高いけど低階層なら大丈夫だと思う。倉敷みたいに混んでないはずだから練習はしっかり出来ると思うよ」
では家に帰りましょう。