第三十一話 正輝と岡山ダンジョン十一階層から十五階層を攻略
ローファンタジー部門の日間5位に載っていました。ありがとうございます。
今日は三話用意してました。それを14時、16時、18時に投稿します。時間は分かりませんが、夜にもう一話感謝を込めて投稿します。よろしくお願いします。
十一階層で正輝が転移の柱に登録した後セーフティーゾーンで弁当を食べることにする。
「この弁当美味いな。これは何の肉なんだ?」
「これはウルフ肉の香草焼きだよ。この肉も倉敷ダンジョンでのドロップ品でね、母さんが肉の味付けをいろいろ研究してるみたいなんだ」
「魔物の肉なんて食おうと思わなかったな。こんなに美味いと知ってたらドロップ品少しは持って帰ったのに、でも料理できる奴がいないな」
水分補給とトイレをすませて十一階層から再開する。
「ここからはアーチャーが一匹入ったゴブリンパーティで、普通のゴブリンとファイターの混成になっている。さっきのボス部屋の布陣と同じだ。正輝はまずアーチャーを魔法で仕留めてくれ」
先行するパーティを見付けては進路を変更しながら二時間程で十五階層のボス部屋にやって来た。順番待ちが一組いる。
「麟瞳さんこんにちは。覚えてますか私のこと」
「こんにちは。覚えているよ顔は、大学生のサークルパーティだよね。ゴメン、名前は覚えてない」
「橘真姫です。酷いです、あんなに話したのに」
「ゴメンナサイ。モウイッショウワスレマセン」
「なんで片言なんですかー!」
とりあえず正輝にも紹介しておく。
「麟瞳さんはソロだと思ってました。あの求人票は麟瞳さんじゃあなかったのか」
「いや、あれは僕が出したよ。今日は特別にパーティを組んでいるんだ」
「良かったです。双子の妹に勧めたんですよ。身内贔屓かも知れませんが、弓をやってて結構出来ると思います。八月のお盆前には面接をするって聞いてます。よろしくお願いしますね」
「良かったよ。誰も申し込んでくれないかと心配してたんだ」
真姫ちゃんのパーティの順番になった。
「求人票なんてものがあるのか」
「僕もここの支部長さんから聞いて、遠距離攻撃の出来る人の求人票を出してもらっているんだ。一ヶ月間ここの受付とホームページに求人票を出してくれて二万円だったよ。申込者と面談して、気に入った人とはとりあえず一回組んでみてからその後を決めれば良いらしいよ。その一回で終わっても良いし、短期契約や長期契約でも良いらしい。そこは当事者同士の話し合いらしいよ」
「京都でやってみようかな。どうやって仲間を見付けようか困ってたんだよ」
その話の後にこのボス部屋のレクチャーをする。
「この部屋は八から十匹のゴブリンパーティでアーチャーが一匹か二匹、残りがソードマンとファイターと普通のゴブリンだ。ここもアーチャーを先に仕留めてくれ。後は同じだね、頼ってばかりで申し訳ない」
「いやいや、気にしなくて良いよ。俺には遠距離攻撃があるんだから当然の戦略だよ」
順番が来た。部屋に入り切ると扉が閉まるのはいつも通り。前回来たときと同じでアーチャーが二匹で全部で十匹のゴブリンパーティだ。でも今回はこちらにも遠距離攻撃者がいるのが違うところだ。
まず火魔法がアーチャーを襲う。僕はソードマンに向かって仕掛ける。近づいて棍棒を投擲、剣を離した隙に両手で刀を持ち左から切り上げる。今まで練習してきた方法だ。うまく倒せた。剣は消えないうちに収納する。その間に二匹目のアーチャーも正輝の火魔法で仕留められている。後は作業のように順番に倒していった。ドロップ品を回収する間に銀色の宝箱が現れた。待ってました、銀さん。
岡山ダンジョンに初めて来た日に二つと、投擲の練習の初日に一つ出たがそれ以来である。銅色で残念とか思ったのが悪かったのだろうか。
「麟瞳が開けてくれ。なんか人によって中身が変わりそうで怖いな」
「開ける人によって中身が変わることってあるんだろうか?確かに綾芽が開けたときに女性用のブーツが出てきたなー」
よくわからないが僕が開けさせてもらおう。中には体力ポーションと魔力ポーションが五本ずつとスキルオーブが一つ入っていた。
「凄いな麟瞳は、スキルオーブなんて久しぶりに見たよ」
「僕が開けなくても同じものが入っていたと思うけどなー」
「でも麟瞳がいないと銀色の宝箱は出てこなかったと思うぞ」
全部回収して次の階層へと階段を降りて行った。
感想ありがとうございます。
麟瞳は《百花繚乱》で圧倒的に力がないことを自覚していました。頭では収入が少ないことを不満に思っていましたが、心の中ではある程度納得していました。
それにパーティを追放されましたが、リーダーの正輝のことは人柄を含めて信頼しています。そしてその強さに憧れています。
確かに麟瞳はお人好しですが、簡単に過去の不遇を許したのはそんな背景があったからかな。
それに今の生活への満足感があるからかもしれません。
また、麟瞳の家は別にお金持ちの設定ではありませんよ。岡山の田舎だと部屋が余っているのは普通だと思います。岡山の悪口を言っている訳ではないですからね。倉敷在住の私の私見ですが、間違ってはいないと思います。