第二十一話 久しぶりのお休みのはずが
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朝四時五十五分の目覚ましで起床。五時に準備の出来た綾芽と一緒に朝の鍛練を始める。もう慣れたもので何をするか言わなくてもテキパキと動いていく。最後のストレッチまで終えて、後はいつも通り大忙しでいってらっしゃいだ。
僕は今日はダンジョンには入らず、練習場で投擲を訓練する予定なのでゆっくりと準備をする。母親に今日のお肉としてラッシュボアのお肉を渡して、お弁当とストックを受けとる。今日のお弁当はウルフ肉を香草焼きにしたものがメインで、味見をしたらこの前の料理よりも美味しいと感じたらしい。家の母親の味覚は信頼しているのでものすごい楽しみになった。綾芽にレシピ聞かれるよと伝えておいた。
岡山ダンジョンと倉敷ダンジョンのどちらに行こうか考えて岡山ダンジョンの方にした。混まないのが決め手になった。
駅から三十分でダンジョンのバス停に着く。着替えて受付へ。武器ケースの封印を解いてもらって、着替えの入ったバッグとケースを預ける。今日は練習場を使って投擲の訓練と刀の素振りを行うことを伝えて移動する。
練習場には誰もいない。貸し切り状態なので腕輪の収納も使いやすいな。こちらに来て正解だ。
練習場ではストレッチで体をほぐしてから、まず素振りを行うことにする。刀を持っての素振りは家では出来ないので一つ一つの型を入念に行う。その後は練習場の的に向かって石を投げる。二十メートル程の距離からだが全く当たらない。三十分ほど練習したが余りにも下手過ぎて飽きてしまった。
予定と違うがダンジョンに入ることにしよう。石を出来るだけ収納してもう一度受付へ。探索者証を渡してダンジョンに入る手続きをする。
転移の柱から六階層に転移した。六階層から十階層はボス部屋以外はゴブリンアーチャーが出て来ないので安全に探索出来る。油断はせずに行ってみよう。
今日は投擲の訓練の為に来たので、一応最初に投擲してから戦闘に入る。五、六匹のゴブリンの集団と三十程戦っただろう。最後には高確率で当てることが出来るようになった。練習より実践だな。
ボス部屋の前で遅めのお弁当をいただく。ホカホカ状態で食べられる僕は幸せだ。ウルフ肉の香草焼きは母親が言うように絶品だった。お茶を飲みながら余韻を楽しむ。少し運動をしてからボス部屋チャレンジをしよう。
ボス部屋に入り切ると扉が閉まる。アーチャーに向かって投擲してから戦闘開始だ。上手く肩の辺りに命中したようで狙われることなく動くことが出来た。前衛のゴブリンの利き手を狙って刀で切り付け武器を剥いでいくいつもの戦闘。途中でもう一度アーチャーに向かって石を投げる。惜しくも当たらなかったが、注意を引いて体勢が崩れている。その間に前衛を全て片付けて、最後にアーチャーを仕留めた。
先程の戦闘を思い返しながら魔石を拾っていると銀色の宝箱が出て来た。すっかり宝箱の事を失念していたのでビックリ。銀色を確認して更にビックリだ。幸運スキル大活躍だ。
お約束のポーションとスキルオーブが二個入っていた。スキルオーブだよ、それも二個。今まで七年間ダンジョンに入っているがスキルオーブを手にしたのは四回だけだ。すべて魔法のスキルオーブだった。僕以外の四人が使ってスキルを得たんだ。今回はどんなスキルオーブだろうね。さっさとダンジョンを出て確認しよう。
はやる気持ちを押さえながら買取り受付へ。すぐに僕の番になった。興奮していたのでリュックに詰め替えるのも忘れていた。失敗した。
今日も受付嬢は常盤さん。周りの目を気にしながらカゴにドロップアイテムを入れていった。最後にスキルオーブを二個入れたところで久しぶりの変顔いただきました。アザッス。
お決まりの別室対応を受けて連行されていく。中にはお決まりの中里のおじさん。毎度毎度すみません。
「毎回やってくれますね、龍泉様。倉敷でもやっちゃったみたいですね。急に連絡が来て驚きました」
「その節はお世話になりました。百キロぐらい肉を持って買取り受付に行ったんですよ。どうやって戦闘したんだよって事ですよね」
「腕輪を内緒にしたい事は分かってます。別の部屋での買取りでも良いですよ。担当も決まってますしね」
「担当決まってたんですか。毎回常盤さんだからラッキーとか思ってましたよ」
「常盤君を気に入ってもらって良かったです。で、スキルオーブはやっぱり宝箱からですか?」
常盤さんが顔を少し赤くしている。ちょっと失敗した。
「そうです。十階層のボス部屋で銀色の宝箱です。ポーション五本と一緒に入っていました。ラッキーです」
「そうですか。十階層のボス部屋ですか。前も銀色でしたっけ」
「いえ、前回は十階層と十五階層が銅色で、五階層が銀色でした」
「凄まじいですね。ほとんどの方が木の宝箱ですよ。深層でやっと銅色が出るかなという感じですね」
「これ内緒にしてくださいね。僕【幸運】のスキルを持っているんですよ。京都にいたときには持ってなかったんですけどね」
「それでですかね。【幸運】スキル凄すぎです。でもスキルが無くても魔石はドロップしていたんですよね。もともと運がよいのは間違いないですね。では、そろそろ買取りの内訳からいきましょう。常盤君お願い」
要らない話をしてしまった。まだ興奮しているようだ。スキルの話はしなくて良かったと後悔した。
「いつも通り魔石からです。ゴブリンが一個100円で136個あったので13,600円。ゴブリンファイターが一個150円で40個あったので6,000円。ゴブリンアーチャーが一個で200円です。合計で19,800円になります。棍棒が一本100円で39本で3,900円。低級ポーションが一本2,000円で17本で34,000円。中級ポーションが一本7,000円で5本で35,000円になります」
前回の時よりも敢えて戦闘を多くしたので、その分実入りも良いようだ。
「では最後にスキルオーブの鑑定結果ですが、一つが【罠探知】でもう一つが【罠解除】でした。どちらも買取り価格が一千万円です」
魔法のオーブではなかったようだ。でもどちらのスキルも有用である。
「棍棒とスキルオーブ以外を買取りでお願いします。棍棒を投擲に使ってみようかと思いまして」
常盤さんがいない間に中里さんに先程の部屋での買取りの話を詳しく聞く。
「最初の受付をする時に買取りを部屋でと話してもらえば用意をしておきます。ダンジョンから帰って来る時間には、正面の受付はガラガラだと思いますのでそちらに声をかけて下さい。倉敷にも話をしておきましょうか」
「ではお願いします。なんか特別扱いしてもらってありがとうございます」
「いえいえ、こちらも龍泉様には大変お世話になってますよ。うちは人気無いんで今までは肩身が狭かったんですよ。それが急にドロップ品が増えて、しかもポーションを大量に買い取らせていただいているので助かってます。ポーションは岡山ダンジョンの特徴なので鼻が高いです。いつもありがとうございます」
そう言ってもらえるとこちらも嬉しくなる。そうこうするうちに常盤さんも戻って来た。
「お待たせしました。合計88,800円の買取り金額から税金分の15パーセントを引いて75,480円になります。こちらが買取りの内訳になります。よろしければサインをお願いします」
サインをしてカードに入金してもらうように伝えた。
「中里さん、スキルオーブはどうすればいいんですか」
「胸ぐらいの位置で使うと念じればいいです」
早速使ってみる。念じるとオーブが光り僕の中に吸収されるように入ってきた。さすが謎テクノロジーだ。無事に二つとも使ってダンジョンカードを確認するとスキルがちゃんと増えていた。
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ランク:A
名 前:龍泉 麟瞳
スキル:点滴穿石 剣刀術 幸運 罠探知 罠解除
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投擲のスキルも有るかと思ったがそう上手くはいかなかったようだ。残念。ケースの封印をしてもらって、荷物とケースを受け取る。そのまま着替えをして帰りました。今日はダンジョンに入る予定はなかったんだけどね。