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第十七話 買取り、そして角有りウルフ肉料理

「あの、お兄さんのドロップしたお肉っていつも大きいですよね。私達がドロップしたものよりも」

「あと魔石が必ずドロップする。おかしくない」


 そりゃあバレるよね。思っていたよりも討伐数が増えてしまったし。


「あんまり聞かないで欲しいんだけどそうもいかないか。僕は運がいいみたいで魔石が必ずドロップするんだ。お肉もドロップする時には二キロなんだ。昨日ここの職員さんに肉も普通より大きい事を指摘されたよ。あまり余所では言わないで欲しい」


 幸運のスキルの事は言わずに、サラっと流して話題を変えよう。


「ちょっと真琴にチャレンジしてほしい事があるんだけどね」


 弓術士の真琴に話しかける。


「何でしょうか、お兄さん」

「最初の一射だけだと勿体ないと思うんだ。僕がウルフに突っ込んで行ったら僕の腰位に狙いをつけて弓を構えていて欲しいんだ。で、直前で高さを指定するように声をかけるからすぐに調整して射て欲しい。声をかけたら僕は回避するから怖がらずにね」


 身振りを交えながら説明をしていく。とりあえず一戦やってみる事に。他の四人は今回は真琴の横で見ていてもらう。


 五匹のウルフとエンカウント。最初に一射催促して一匹討伐。突っ込んで行く。二匹が反応して来る。一匹目を直前で回避する時に声をかける。


「太もも」


 回避したところで少し遅れて矢がウルフを仕留めた。二匹目は後方に任せよう。


「一匹行ったからよろしく」


 残りの二匹を屠り皆の元へ。


「最初にしては上手くいったけど、もうワンテンポ早く反応してくれると二匹目は僕が討伐できた。最初は怖いと思うけど、ここはお互いに信頼して練習を重ねるしかない。こんな方法もあるし、他にも話し合って違う攻略法も考えればいいと思う。弓は強力な力になるからね。遠くからだけだと勿体ないよ」


 弓の可能性を示して後はパーティで試行錯誤していけばいい。十一階層でしばらく練習して今日は終わりにした。転移の柱に戻ってきてダンジョンの外に転移。無事に戻ってこれた。皆怪我もなく終われて良かったよ。今日は保護者としての参加だと思っていたからね。


 武具のメンテナンスをするために武具店に向かう。僕の刀や皆の武具は問題なかった。矢は出来るだけ回収したが何本かロストしたり、鏃が潰れてしまっているものもある。矢を補充して武具店を出て買取りに向かう。


 今回は全部五人で分ければいいと言ったが聞いてもらえなかった。きっちりとメモっていたようで。僕の分としてドロップ品が渡された。両手で持ちきれないほどあったよ。別々に整理券を取って順番を待つ。混む前に低階層を突破していたので忘れていたが、人が多くかなり待たされた。しかもドロップ品を抱えたままなので目立っている。肉の大きさにびっくりしているよ皆。


 綾芽が呼ばれたすぐ後に僕も呼ばれた。今日も担当は一之瀬さんだ。


「こんにちは、龍泉様。今日は昨日に比べると随分少なくなりましたね」

「今日は妹の付き添いで来ましたのでこんなもんですよ」

「では少々お待ちください」


 椅子に座って間もなく呼ばれた。


「では、魔石からです。角無しウルフが一個100円で12個で1,200円、角有りウルフが一個100円で2個ありましたので200円です。魔石の合計が1,400円です。次にお肉ですが100グラム80円で14キログラムなので11,200円になります」

「じゃあ、お肉を4個持って帰りますので残りを買い取って下さい」

「はい。ではお肉が6キログラムになるので4,800円ですね。魔石と合わせて6,200円で税金分の15パーセントを引いて5,270円になります。こちらが内訳になります。よろしければサインをお願いします」


 パソコンを華麗に操作しながら作業を進める。カッコイイぞ一之瀬と思いながらサインをする。


「カードに入金をお願いします。あと武器の封印もお願いします」


 ということで探索者証と武器ケースと着替えのバッグとお肉を四つ受け取り今日は終了。ここのところ別室に毎日行っていたから逆に新鮮である。


 四つのお肉は綾芽以外の四人にお土産ということで渡した。予想した通り綾芽達はすべて買取りにしていた。折角ウルフを討伐したので是非口にしないとね。感謝されたよ。


 着替えの後合流して、そのまま近くのファミレスに移動して反省会を行うそうだ。《百花繚乱》では高校一年生の時には頻繁に反省会を行っていたが、それから無くなりあの最終日の反省会が久しぶりだったな。


「お兄ちゃん、買取り金額どうだった」


 ファミレスに着き、ドリンクバーで飲み物をついで戻るとすぐに綾芽が聞いてきた。いきなり来るなー、こいつは。 


「5,270円だな。税金引いて」

「お肉四つ入れずにだよね」

「そうだな」

「お兄ちゃんお願い、明日もダンジョンに付き合って。忘れないうちにもうちょっと練習したいんだよ。で、明日はパーティ登録して欲しいんだ。これうちらの明細書」


 出された明細書には寂しい数字が並んでいた。合計34,300円。税金を引くと29,155円。五人で分ければ一人6,000円もない。しかも矢の補填でもっと少なくなるだろう。


 言いたいことは分かった。可愛い妹のためにここは一肌脱いであげよう。


「分かったよ。明日も付き合うけど。運が良いことは内緒だからな」


 ということで、皆大喜びして反省会に入った。最後に明日の課題を決めて終了。倉敷在住の真琴とはファミレスで別れて、残りの皆で岡山行きの電車で帰る。僕と綾芽は二駅で降りた。


 家に着いたのが五時で夕食まで時間がある。風呂にお湯を入れてお先に入らせてもらおうと思ったら、綾芽がどうしても先に入りたいと言ってきた。あれだけ混んでたらシャワー使えないよな。ということで先を譲った。


「母さん、明日もお弁当お願い。今日と一緒で時間が早いんだけど。あと弁当箱六個も出しておくね」

「ああ大丈夫だよ。それより綾芽達はどうだった?」

「思っていたよりも良かったよ。ラビット系は問題ないし、ウルフ系は最初戸惑っていたけど慣れれば大丈夫だった。学習能力高いし有望だよ。【身体強化】のギフトヤバいよ、強すぎ。綾芽は僕より既に強いと思うよ」

 

 両親とも話を聞くととても喜んでいた。心配かけているんだな。母親は鼻唄混じりに晩御飯を作り始めた。


 綾芽と交代して風呂に入る。ぬるめのお湯に長く浸かって疲れを取る。風呂を出たらちょっと早めの晩御飯をいただきます。


 今日はリクエスト通り角有りウルフの肉料理。そのままの味を味わうステーキとデミグラス煮込みウルフハンバーグと野菜サラダそしてコンソメスープ。いつも通りご飯は大盛りです。


「思ったより癖がなくて食べやすいね」

「和牛の方が美味しいね。でも輸入肉の安いのよりも美味しいわ」

「煮込みハンバーグイケるね。これ癖になるかも」

「ビールにはステーキだな。サイコロステーキにしてもらって正解。おつまみに良いなこれ」


 それぞれに感想を口にする。今度はもっと調べて料理を作ってみたいと言う母親の意見に期待しておこう。僕としては普通に美味かった。ご馳走様でした。


 寝る前にステータスをチェックしたが変わり無かった。そりゃそうだ。








 

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