第十六話 《桜花の誓い》とウルフ戦
今日も五話投稿します。
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七階層までは順調に進んで、いよいよ八階層へ到着。
「お兄ちゃん、最初のウルフ戦戦い方を見せてよ」
「いいけど、複数と接敵すると討ち漏らしが出るぞ。それは対処しろよ」
「うん、分かった。昨日映像を見たから、私はだいたいどうなるか分かっているよ。大丈夫!」
ということで、今日初めての戦闘を仰せつかった。お兄ちゃんとしていいところを見せたいものだ。
三匹の角無しウルフ。いつも通りこちらから突っ込んでいく。一匹だけ反応してこちらへ向かって来る。好都合だ。直前で躱し首を狙う。残りの二匹も突っ込んで来る所を躱して切り付ける。普段は一匹はスルーして二匹目を狙うが、討ち漏らすと今日は綾芽達がいるので一匹目は機動力を無くすために足を狙い水平に斬る。二匹目を討伐してから一匹目にとどめを刺して終了。ドロップアイテムを拾う。
「こんな感じだな。はいこれ、ドロップアイテムだ」
「いや、それはお兄ちゃんのだよ。お肉二つもドロップしたね。あ、でもそうか。預かっておくからね」
僕荷物持てませんという設定を思い出したようだ。まあ、それはいいとして簡単に注意点だけ説明しておく。
「見える範囲で三十匹ぐらいいるけど、一遍に襲って来る事はないから。近づく距離に反応していると思う。だから逃げ回ることは絶対にしないように。モンスターパレードが起こるかも知れないからね。大体三匹から六匹の集団だ。今みたいにこちらから仕掛ければ、単純に突っ込んで来る事が多い。たまに回避するのもいるけどね。でも、待ってると自由に動き回るから少し厄介になる。特に数が増えればそれだけ難易度が上がっていく。だからアタッカーは自分から動いて行く、そしてタンクは弓術士を守る事に専念した方がいいと思う。アタッカーも弓術士の射線に気をつけながら動かないとダメだからな。声を掛け合いながら上手く対処していかないといけない。最初は一戦毎に話し合って戦い方を修正していけばいいと思う。とりあえず一戦やってみよう」
ということで、三匹の角無しウルフに向かって行く。アドバイス通り左右から槍と薙刀で攻撃を仕掛ける。槍の遥が突っ込んで来るウルフに怯んで大きく回避し、二匹のウルフが後方のタンク目掛けて突っ込んで来る。一匹ずつ大盾でブロックしたところを僕がとどめを刺した。綾芽は上手く対処出来ていた。やっぱり【身体強化】優秀だな。
「ごめんなさい。私ちょっと怖くなって」
「私もこんなに接近してからの攻撃は初めてで、味方に当たるかもと思ったら射れなかったわ」
遥と真琴が自信をなくしているようだ。
「そんなに気にすることはないよ。今までと戦い方が違うんだから失敗して当たり前だよ。遥は大きく避けすぎたね。このクラスのウルフはフェイントを入れずに直線的に突っ込んで来るから、出来るだけ引き付けてほんの少し横にズレれるだけでいいんだ。または槍だから最初に攻撃してから回避しても十分に間に合うと思うよ。最初は怖いかもしれないけど慣れるしかないね。後ろに逃しても大丈夫だから感覚を徐々に掴んでいこう。それから真琴は最初に一射入れればいいだろう。左右から攻撃を仕掛けるから真ん中はがら空きだ。そこで一匹でも仕留めれば大きく貢献できる。まずはそこからやってみよう」
次は四匹の角無しウルフと出会う。左右から攻撃を仕掛ける。今回は最初に上手く弓で一匹仕留めた。残り三匹。今回も遥の方に二匹が突っ込んで来る。一匹目を槍で突くがタイミングが会わず空振りし、そして回避。一匹は後方を狙って来たが、もう一匹は遥の方にUターンする。後方に突っ込んで来るウルフは今回盾を構えて待っている桃を横から狙って来る。慌てて盾を横に振り何とかウルフの攻撃を止めた。体勢の崩れたウルフに僕がとどめを刺した。遥は後方から再度突っ込んで来るウルフを直前で回避して上から槍の柄の部分でたたき落とし刺突でとどめを刺した。綾芽は軽く一匹倒している。
「二匹だと焦っちゃいますね。失敗しました。でも少し分かってきたように思います」
「焦った。早く構えるダメ。よく見て対処」
「まず最初に一匹確実に仕留める事ができるように頑張るわ」
それぞれに感想を言っている。良いことだ。とにかく話さないと進まない。
「真琴も遥も断然良くなったね。特に遥の失敗した後の対処は良かったと思うよ。二匹以上が向かってきたら最後の一匹だけを狙えばいいよ。それ以外は後に任せればいい。確実に一匹仕留めてから後のことは考えよう。桃はもっと引き付けないとウルフに主導権が握られるのが分かったと思う。よく見てから盾を構えても十分間に合う。よし、次に行こう」
戦闘を重ねるうちに、五匹までのウルフなら五人だけで倒すことができるようになった。そして十一階層の転移の柱に到着した。セーフティーゾーンでお昼ご飯を食べて一旦休憩をしよう。