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第百四十三話 ダンジョンに入る前の取り決め

 クラン《Black-Red ワルキューレ》のクランハウスを正輝と二人で訪ねてきた。今日からAランクダンジョンで鍛えてもらうための訪問だ。受付に行くと話が通っていたようで、すぐにクランマスター室へと案内された。


「麟瞳、久しぶりやな~。身体はようなったか?」

「ご無沙汰してます。身体はもう大丈夫です。心配かけて申し訳ありません」

「いやいや、ウチらのせいやからな。身体がようなって、ほんまよかったわ」


 部屋の中には三人の人がいた。クランマスターの黒澤世那さんとサブマスターの赤峯美紅さんとは面識があるが、もう一人とは初めて会う。今日の探索でパーティを組む人であろうか?


「そちらの方が、龍泉さんが自分より強いというパーティメンバーの方なのか?」

「ええ、そうです。今日から二人でお世話になります」

「お会いできて光栄です。奈倉正輝です。麟瞳より強いかは分かりませんが、今日からよろしくお願いします」

「麟瞳より強いか知りたいか?そやったら、調べて見るか?」

「世那、それは後からでも良いだろう。まずはこちらのメンバーの紹介もしないといけない」

「そやな、スキルの確認もお互いにせんとあかんしな」


 世那さんは相変わらず自由人で、思ったらすぐに行動に移るタイプの人だ。慎重な美紅さんと正反対でそこが良い関係になっているように思える。


「この前はお世話になりました。小桜恵梨花こざくらえりかです。今日の探索が楽しみで、昨日は寝れませんでした。足を引っ張らないように頑張ります。よろしくお願いします」


 ん、お世話をした覚えはないが、どういうことだろうか?


「龍泉さんは分かっていないようだな。恵梨花はこの前呪いを解いてもらった子だ。どうしても君と一緒に探索がしたくて、リハビリを頑張ったんだ。今は猫をかぶっているようだが、本当はお転婆なんだよ。よろしく頼むよ」

「美紅さん、そらあかんで。折角ええ感じで挨拶出来たのに、台なしや」

「ほらな、もう本性が出て来ただろう」


 病院の個室でかなり衰弱していた姿しか見ていなかったから気付かなかったが、僕が呪いを解いた女性だったのか。呪いを解いた日から二ヶ月くらい経っている。死の宣告までされていた人だ。助けることが出来て良かった。探索者に戻れて良かったよ。


「今日からこの五人で毎週一回探索をしていこうと思っている。パーティとしての完成度など求めていない。個人の能力を高めるために実践経験を積むのが目的だ。積極的に戦って欲しい。フォローはするからな」

「ドロップアイテムの配分はどうなりますか?鍛えてもらう身ですが、出来れば魔石の納品依頼もこなしたいと思っているので、分けてもらえればと思います」

「ああそうだな。先に決めておかないと揉めることがあるからな」

「麟瞳、半分もろうてええか?ウチのクランと麟瞳のクランで半々でええか?」

「いや、それだと僕達がもらい過ぎになりますよ。そちらは三人もいるんですよ。しかも最強クラスの探索者がお二人いますし」

「それをいうなら、君はドロップアイテムに関しては最強だろう。この前の魔石が一万二千個あったのは君のスキルによるものだろう。半々でも十分な利益が出ると思っているよ」

「宝箱はどうしますか?Aランクダンジョンだと、とんでもないマジックアイテムが出てくると思いますよ。買取りしてもらうには勿体ないようなマジックアイテムが出てくると思います」

「そこまで自信があるのか?因みに今までで一番凄いマジックアイテムはなんだ。凄い興味があるんだが」

「いや、それは勘弁してください。一番凄い物は絶対に言えません」


 繋ぐ札の存在は絶対に言えない情報だ。いくらこの二人でも言えない。


「めっちゃ気になるわ。因みに二番目はなんや?」

「言わなくてはダメですか?」

「言うて欲しいな~」

「内緒にしてくださいね。おや、前にもこんな会話しましたよね。危ない、危ない。言えません。言いません」

「じゃあ、先にウチのクランの一番凄いマジックアイテムを言うわ。それでええやろ」

「ちょっと気になるな~。二番目に凄い物なら言います。それで良いなら教えてください」

「そんなに一番は言えないのか。もう気になって夜も眠れなくなるレベルだぞ」

「まあ、二番でええわ。ウチのクランで一番はウチと美紅の持っとる武器や。魔法の付与された逸品やで。買取り価格は一億円やったわ」


 ん、普通はそれで一番良いマジックアイテムになるのか?


「本当にそれが一番ですか?」

「嘘言うわけないやろ。麟瞳んとこはもっとええもんが出とるようやな。二番目はなんや?」

「世那さんも二つ言ってくれたので、僕も二つ言いますね。今僕がしている腕輪と魔法杖が二番目ですね。どちらも買取り価格が三億円でした。でも他では絶対に言わないでくださいね」

「三億円って、マジックアイテムでそんな金額になるものがあるのか?どうしてその腕輪が三億円もするんだ」

「この前の入団テストの時に使いましたけど、この腕輪は収納道具です。ドーム球場ぐらいの容量があって時間経過がないんです。オークションだとどれくらいの値段になるか想像も出来ないって言われました」

「それは凄い性能だな。確かにもっと出しても欲しい人はいるだろうな。もう一つの魔法杖は何故三億円もするんだ?」

「その杖を使うと、四属性の攻撃魔法が三種類ずつ使えるようになります」

「そんな杖があるのか。それも初めて聞いたな。夢のようなマジックアイテムだな」

「ええ、これもオークションだとどれくらいの値段になるか想像も出来ないって言われました」

「ほんま、凄いマジックアイテムが出てきよるかもしれへんな。どないしょ。分けられへんもんな」


 買取りしてもらうのはもったいないんだよね。


「宝箱は開ける順番を決めて、開けたクランがもらうようにすれば良いのかな?最初に龍泉さんが開ければそれは龍泉さん達のもの、次に恵梨花が開ければ私達のものというように決めておけば恨みっこ無しだ」

「もしも僕達が開けた宝箱で僕達には必要ないけど、《Black-Red ワルキューレ》さんでは必要だと思うようなマジックアイテムが出て来たらどうするんですか?」

「その時は買取り価格と同じ金額を払って譲ってもらうようにしておけば良いと思うが、どうだろうか?」

「じゃあ、それでお願いします。どちらから宝箱は開けますか?」

「恵梨花、ジャンケンしろ。勝った方が最初に開けることにしよう」

「正輝、頼むよ。僕はジャンケンが真姫の次に弱いからね。いいか、絶対に負けられない戦いだぞ」

「なんだそれは。負けても怒るなよ」


 ジャンケンは正輝が勝った。小桜さんはとても悔しそうにしていたよ。小桜さんは演技が上手く、乗りが良くていいね。え、本気じゃないよね。


「では、ダンジョンに行こうか。大分時間も使ってしまったな」

「ええっとですね。今日からお世話になるのでお土産を持って来たんですけど、受け取ってもらえますか?」

「気い使わんでええのに、折角やからもろうとくわ」


 岡山ダンジョンの探索で金色の宝箱から出て来たマジックアイテムを腕輪から出して渡す。


「これなんですけど、武器ケースに入ってますけど、短剣です。でも、美紅さんは一億円の武器を持っているようなんで、予備にでもしてください。ダンジョンに行ったら、所有者の変更をしますね」

「なんで美紅だけにお土産を渡すねん」

「うちのクランで短剣使いがいないんですよ。折角金色の宝箱から出て来たマジックアイテムだから買取りしてもらうのは勿体ないかなと思ったんで、美紅さんへのお土産というよりも《Black-Red ワルキューレ》へのお土産です。短剣使いが他にいるならその人に使ってもらっても良いですよ」

「サラっと、金色の宝箱と言ったな。龍泉さん、どんな性能の短剣なんだ」

「ええっとですね、不壊と風魔法の付与された短剣です」

「買取り価格はいくらなんだ?」

「八千万円でした」

「私の持っている短剣より性能が良いんだが・・・八千万円のお土産っておかしいと思わないのか?」

「買取り価格が安いのに性能が良いんですか?」

「私達は《東京騎士団》と共に、一番最初にAランクダンジョンの攻略を始めたから、その頃は私の持っている短剣は他にはない性能を持った物だったんだ。だから一億の値段になった。今でもこれより良い短剣は見たことなかったんだがな。龍泉さんは規格外だな。世那、それは私が使って良いだろうか?」

「美紅、ええで。ほんま麟瞳にはビックリさせられるわ。因みに麟瞳の持っとる刀はどんな性能なんや?」

「この前見ましたよね。不壊と雷魔法が付与された刀ですよ。ああ、予備で不壊と氷魔法が付与された刀も持ってます」

「ほんま、ビックリやわ」

「奈倉さんはどんな武器を使うんや?」

「俺は不壊と火魔法が付与された剣です。あの、僕も呼び捨てでお願いします。黒澤さんも赤峯さんも尊敬してます。よろしくお願いします」

「もう、ビックリしすぎたわ。麟瞳のところは常識が通用せえへんな」


 うちのクランではクランメンバー全員がマジックアイテムの武具を使ってますよ。








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― 新着の感想 ―
[気になる点] ちょっと人物の感情が分かりはするんだけどイメージしずらい みんなが淡々と話してるように感じる気がする !とか多少入れてみるのはどうでしょうか
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