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第百四十二話 京都Bランクダンジョン一階層から十階層を攻略

「皐月、ここのダンジョンの一階層から五階層までの特徴を教えてくれ」

「ああ、しっかりと勉強してきたぜ。ここは一階層から十五階層までは迷宮型ダンジョンだ。この前行った神戸ダンジョンも迷宮型だったが、違うのは出てくる魔物だ。ここはムシやクモが出てくる。遥がいたら卒倒するぜ。階層が進むと大蜘蛛や大百足といった厄介なものが出てくる。そう情報にはあったぞ」

「ああ、大丈夫そうだな。十五階層までの探索で付け加えるなら、罠が出てくる。十階層までは罠の情報はないが、それ以降は罠がある。皆がヘルメットに取り入れた情報にもあった筈だ。今までに発見されていないイレギュラーな罠がある可能性もある。注意していこう。最初は僕が斥候として偵察に出るよ」


 【全探知】スキルを使いながら先行して行く。早速クモの魔物が二十匹ほどいるのを発見した。


『もう少しで二十匹ほどのクモの魔物と遭遇する。魔法で攻撃しよう。一斉に行くぞ』


 射程に入るや、一斉攻撃を始める。【火魔法】で正輝と詩音、【風魔法】で美姫、【土魔法】で皐月、そして【火炎魔法】で僕が攻撃をする。魔力ポーションをふんだんに使い強化してきた魔法攻撃は一瞬で魔物を殲滅した。


「麟瞳、お前の魔法はなんだ。普通の火魔法とは違うよな」

「この前【火魔法】のスキルが進化して【火炎魔法】になったんだ。今のはフレイムボムという魔法だ。ファイヤーボールとファイヤーアローも威力が上がった。魔法なら正輝より上かもしれないよ」

「スキルの進化か?まだ【火魔法】のスキルを得てから一年だよな。麟瞳は成長するのが早過ぎるぞ。まあパーティにとっては大歓迎だ。俺も頑張らないとな。おいて行かれそうだ」


 クモ、ムカデ、ダンゴムシ、ヤスデ、ゲジゲジの見た目でデカい魔物は、遥ではないがどれも見た目がよろしくない。足が多いのが嫌悪感を抱かせるのだろうか、発見即撃退を繰り返してボス部屋の前についた。


「詩音、ボス部屋の情報は頭に入っているか?」

「勿論っす。今までに出てきた魔物より上位種で大型化されたものが出てくるっす。大体百匹っす」

「了解だ」

「美姫、どうやって倒す」

「魔法が一番楽に倒せそうだけど、物理攻撃の練習もしておきたいわ。リーダーとは久しぶりの戦いだから、ちゃんとフォーメーションを組んでパーティ戦で行きたいわ」

「皐月が先頭で皐月の直後に詩音、詩音の右が正輝で、左が僕、そして最後に美姫の布陣でいこうか。皐月は正面を破られないように護ってくれ。左右の魔物は正輝の防御結界の指輪と僕の【結界魔法】で防ぐから気にしなくて良い。美姫は指示出しと、魔法弓の連射だ」


 いつも通り、僕が先頭でボス部屋に入る。扉が閉まって、戦闘開始だ。一メートル級の魔物が混ざっている約百匹の集団との戦い。武器の性能は最上級、硬い魔物も一振りで黒い靄になり消えていく。結界魔法を使うまでもなく、数が減っていく。正輝も一撃で倒していっている。皐月は挑発で引き付け、受け止め詩音が止めを刺していく。美姫も相変わらずの連射速度で魔物を射ていく。良いパーティになってきたと実感出来た。


 最後の魔物は皐月の目の前、豪快にシールドバッシュで倒した。討伐完了、お互いにハイタッチで健闘を称える。


「皆、強くなっているよな」

「それはそうよ。リーダーと正輝さんにおいて行かれないように、三人で頑張っているわ」

「おい、話してないでドロップアイテムを拾うのを手伝えよ。麟瞳がいるとこれが大変だな。先月は楽だったよ。まあ今日の買取りが楽しみだけどな」


 百匹もいると百個の魔石と他のドロップアイテムを拾うので結構大変である。正輝の気持ちも分かるけどね。


 全部を拾い終わり、最後は銀色の宝箱を開けるだけだ。いつものジャンケンをして宝箱を開ける順番を決めた。皐月、正輝、詩音、美姫、僕の順番に決まった。ここのダンジョンではこの順番通りに宝箱を開けていくことになる。皐月が開けた宝箱からは反物が五つ出てきた。クモだから糸を紡いだものが出てきたのだろうか?収納して、ボス部屋奥の階段から六階層に降りていく。


 降りた先には転移の柱がある。皐月、詩音、美姫が転移の柱に登録してから、御昼御飯の弁当を食べる。


「正輝、防御結界の指輪はどうなんだ?」

「ああ、これも一年前に麟瞳との探索で手に入れたんだよな。魔力を流す量によって強度と広さが決まる。これに慣れてしまったから、もう無しだと不安になるレベルだ。しっかりと俺を護ってくれているよ。ありがとうな」


 食事後は六階層から十階層までの確認をして探索を再開した。どのダンジョンも基本は同じ。攻略を進める度に魔物の数が多くなり、より強い魔物が出てくる。魔法でも、物理攻撃でも戦いながら進んでいく。


『最後、もらうぞ』


 正輝の念話が届くと同時に十階層のボス部屋最後の大蜘蛛の魔物が燃えて消えていった。


「ヨッシャー、オレはここでも戦えるぞ!」


 皐月が大きな声で叫んだ。


「どうした皐月、不安でもあったのか?」

「オレが一番経験が少ないからな。不安にもなるぜ」

「大丈夫だ。これから経験は嫌というほど積ませてやるよ」


 ハイタッチを交わした。


 相変わらずドロップアイテムの回収は大変だが、すべて回収して銀色の宝箱を正輝が開けた。


「ここは布しか出てこないな。良いものなんだろうか?」

「銀色の宝箱だから、それなりの物ではある筈っす」

「衣装でも作ってもらうか?凄い生地なら着心地が抜群に良いかもしれないぞ」


 今回も反物が五つ出てきた。今日の探索はここまで、十一階層の転移の柱に皐月、詩音、美姫が登録してから、そのまま五人でダンジョンの外に転移した。


「これはスパイダーシルクの反物です。反物で出てきたのは初めてです。買取り価格は一反で三百万円になります」


 買取り受付で鑑定の結果を聞いた。流石銀色の宝箱、流石の【豪運】スキルである。一応美姫が真姫に連絡を入れた。


「リーダー、そのスパイダーシルクの反物とスパイダークロスは買取りに出さないようにしてね。真姫が依頼が達成できると喜んでいるわ」

「この一メートル四方の布も依頼にあるのか?」

「よく分からないけど、そうみたいね。真姫が興奮して話していたから、依頼にあるんでしょうね」


 迷宮通路の戦闘後にドロップしていた布も貴重品のようだ。布関連は全部持ち帰ることにして残りは買取りしてもらった。


 さて、大きな風呂に入るために急いで帰ろうか。

 

 


 



 



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