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第百十三話 中里さんに相談する

 岡山の僕の部屋に繋ぐ札でやって来た三人と一緒に、ぞろぞろとリビングへと向かう。


「「「お邪魔します」」」

「いらっしゃい。本当に姫路から来たのかい?」

「はい、さっきまで姫路の拠点にいました。一瞬で岡山に帰れるなんて便利ですよね」

「これから食材の保存に困らなくなるよ。麟瞳、出来るだけ毎日顔を出しな」

「僕は食材保管庫じゃあないからね。まあ、母さんの料理は美味しいから、毎日皆で食べに来ても良いんなら来るよ」

「ああ、大歓迎だ。最近お父さんと二人の食事が多いからなんだか寂しくてね。沢山作れるのはありがたいよ」


 僕の部屋は狭いので、リビングで今日の行動について話し合う。まずは、サブマスターに就任した真姫に連絡を入れなければならない。


「今、皆で岡山に帰ってきたよ。あれからクランについて何かあったか?」

「取材の申し込みがどんどん来るわ。もうどうしていいか分からなくなるほど多いわよ」

「前に頼りすぎるのも良くないって言われたけど、岡山ダンジョンの中里さんに相談した方が良いんじゃないかな」

「リーダーからお願いしてみてくれる。本当にどうしていいか分からないのよ」

「昼御飯を食べてから岡山ダンジョンに行くので良いかな?」

「分かったわ。私も行かないといけないでしょ、どうしたら良い」

「車で迎えに行こうか?昼はこちらで食べれば良いよ」

「用意をして待ってるわ」


 真姫との電話を切って、皆に今後の予定を伝える。


「昼御飯を食べてから皆で岡山ダンジョンに行こう。クランを設立して一度も行ってないし、挨拶をするのもかねて取材の対応もどうすればいいか相談しようと思うよ。《千紫万紅》プラス真姫で五人だし、車で行けば良いだろう」

「私が真姫を迎えに行くわ。リーダーは岡山ダンジョンに連絡してアポを取っておいて。私もオークのお肉を渡しておきたいからちょうど良いわ」

「じゃあ、お願いするよ」


 母親に皆の御昼御飯を頼んで、岡山ダンジョンに電話を入れる。昼の二時に中里さんに会えるように都合をつけてくれた。何もお土産を用意していないので、詩音と皐月に姫路で買ってきてくれるように頼むと、綾芽まで付いて行った。繋ぐ札って本当に便利だよ。


 母親の料理が出来上がったのを待っていたかのように、詩音と皐月と綾芽が姫路から帰ってきて、美姫も真姫と桃と山吹を連れてやって来た。突然やって来た訳ではなく、ちゃんと連絡はくれているから、人数が増えることは母親に伝えておいたよ。皆で話をしながら御飯を食べると美味しいよね。


「桃と山吹は岡山ダンジョンの攻略は順調に行っているのか?」

「岡山ダンジョンの方が姫路ダンジョンより対応しやすい。アリは大変。数が多いのが厄介」


 桃が言うことは良く分かるよ。ゴブリンで大変なのは遠距離攻撃だと思う。弓術士の真琴が最初にゴブリンアーチャーやゴブリンメイジを倒すことができれば、タンクにとって相手をコントロールしやすいだろう。


「でも、姫路ダンジョンの方が宝石がドロップするから稼ぎが良いです。夢のような二週間でした」


 山吹が言うことも良く分かるよ。宝石だと一桁は買取り金額が変わって来るよね。こうして個人的に話をするのは初めてのような気がする。これからはクランメンバーとはもっと話をしないといけないよな。


「また今度話をするけど、近いうちに《桜花の誓い》もまた姫路ダンジョンに行けるかもしれないよ。期待して待っててね」


 繋ぐ札のおかげで移動が一瞬で済むから、週に一日とか決めて姫路ダンジョンを攻略してもらうのも良いだろう。皆に相談してからだけど、《桜花の誓い》をBランカーにするのが僕達への罰だから、休みの日に一緒に攻略するのも良いかもしれないな。


 昼御飯を食べた後にデザートのフルーツを食べてから、予定通りの五人で岡山ダンジョンに向かった。桃と山吹は綾芽と遊ぶそうだ。


 約束の二時の二十分前には岡山ダンジョンに着いた。常盤さんが部屋へと案内してくれた。


「いきなり一位とは驚きました。皆様の活躍は全国に広がると思ってましたが、予想以上です。流石《千紫万紅》ですね。いや、流石クラン《花鳥風月》ですね」

「常盤さんは相変わらず大きいことを言いますね。たまたま僕達にピッタリの依頼があったおかげですよ。たまたまです。これを皆さんに持ってきました。今、姫路ダンジョンを攻略しているんですが、姫路のお土産です。皆さんで召し上がってください」


 詩音と皐月と綾芽のチョイスしたお土産は、姫路おでんを模ったケーキだった。確かに、インパクトがあって面白いよ。こういうものを選びそうな三人らしい選択だね。


「お待たせしました。《花鳥風月》のご活躍は岡山ダンジョンの探索者センターの職員一同が嬉しく思っています。今後ともよろしくお願いします。早速ですが、先ほども電話でお聞きしましたが、取材の対応に関しての相談でよろしいですか」

「はい、取材の申し込みが多過ぎて対応出来ていないんです。全部の申し込みを受けることは出来そうにないですし、取材相手の選び方や気をつけることがあれば教えていただけないでしょうか」


 それからは真姫が主に話を進めていった。


「ダンジョンとは関係のない相手も入っていますね。これだけ多くの取材相手から選ぶのも大変ですよ。ダンジョン関連だけに絞って取材を受けるか、全部まとめて一斉に記者会見を開くかですかね。取材を受ける場所はここの施設を使っていただいていいですよ。全面的に協力します。取材場所だけ必ず記事に入れてもらえれば宣伝になりますから、うちとしてもメリットがあります」


 いきなり月間ランキングで一位を取ったことで、冷やかしのような取材もあるのではないかという見立てである。とりあえず、一斉の会見形式で取材を受けることにした。一番大きな会議室を使わせてくれるように手配してくれ、アドバイスをしてもらった。会見はあまり遅くなるといけないらしいので、来週の土曜日の午前十時からおこなうという具体的なことまで決まった。ダンジョン関連の取材相手には僕達が直接会見の案内を伝えるようにして、それ以外の相手にはセンターの職員がしてくれることになった。本当にありがたいことだ。


 一週間後のことを考えると緊張してくる。今からこの状態で、僕は一週間無事に過ごせるだろうか。とても心配だ。



 







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