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第百三話 依頼達成

 ダンジョンから出てきた僕達《千紫万紅》は《桜花の誓い》がダンジョンから出てくるのを待つために、探索者センターの中にある食堂で飲み物を飲みながら話をしていた。


「詩音は今日の探索で何か課題は見つかったか?」

「剣での攻撃っすね。キラーアントとマザーアントには、ほとんどダメージが与えられなかったっす」

「皐月はどうだ?」

「オレは攻撃力だ。受け止めるだけでなく何か決め手があればと思うぞ。土魔法の威力向上だな」

「美姫は何かあるか?」

「私も弓での攻撃力アップね。マザーアントにはある程度はダメージを与えているけど倒し切るまではいかないわ。前の弓で風魔法を纏わせて矢を射ることが出来れば火力が上がるのかな?」

「二週間は同じ階層で探索を続ける予定だから、自分に足りないと思うことを克服するように頑張っていこう」

「リーダーは何かあるっすか?」

「僕は雷の魔法剣を使いこなせていないから、まずはそこをなんとかしたいな。ボス部屋の一撃だけでは勿体ないからな」

「そういえば、耳栓を買わないといけないわね。あの攻撃は私達にもダメージを与えるわ」


 メンバーが四人しかいないから、どうしても個人の能力の向上に目がいってしまうのだろう。パーティの戦術面は別の階層で訓練すれば良いかなと思う。


「これからお互いに何か気づくことがあれば話していこう」


 その後、しばらく雑談していると真姫から連絡がきたので、《桜花の誓い》と合流した。


「真姫、多分依頼は達成できたと思うよ。五カラットがよくわからないけど大丈夫だと思う。依頼達成の報告はどうすれば良いんだ?」

「えっ、一日で達成出来たの?依頼票を受付に出して確認してもらうことになってるんだけど、本当に大丈夫なの?」

「ええ、大丈夫よ。あの大きさの宝石なんて見たことないもの。それにダイヤモンドは1.5カラットだったかしら?宝箱から大きいダイヤモンドが出たから確実に依頼は達成出来たと思うわ」


 とりあえず皆で買取り受付に向かい、真姫に手続きは任せた。真姫が窓口で依頼票を出して話をした後に別室へと案内された。真姫の提案で《桜花の誓い》も一緒に部屋に入り、依頼の達成までの流れを勉強することにした。合計十人で部屋に入っても余裕のある大きな部屋で良かったよ。


「では、こちらに依頼品をお出しください」

「すみません。まだ仕分けが出来てないんです。買取りのときのカゴに入れながら仕分けさせていただいてもよろしいですか?沢山ドロップアイテムがあるのでその中から出しながら見つけますので」

「失礼ですが、本当にこの依頼票にある宝石がありますか?高額な宝石は大切に扱う方がほとんどなんですが?」

「そういえば、前にも怒られた事がありました。その時は買取りのカゴに入れるときに丁寧に扱えって言われましたね。すみませんがカゴには丁寧に入れますが、戦闘中には大切に扱えないですよ。つぎつぎにアリが襲ってくるんですからね」

「何か話が噛み合っていないようですね。戦闘が終わって回収した後の扱いの事を言っているんですが」

「アリって集団で襲ってきますよね。そのドロップアイテムを回収するのは大変なんですよ。一つ一つをその場で仕分けなんか普通は出来ないと思います」

「麟瞳さん、落ち着いて。《千紫万紅》は特別ドロップアイテムが多いの。普通のパーティとは違うのよ。すみませんがクランマスターが言うようにさせてください。お願いします」


 最後には真姫が受付嬢に頼んで、カゴの中にドロップアイテムを入れながら仕分けをさせてもらった。とにかくカゴの中には丁寧に入れるようにと美姫、詩音、皐月の三人には伝えたよ。これって結構面倒臭いんだよね。ドロップアイテムを全部渡していて僕は楽が出来たよ。


 魔石の数も多かったが、鉱物も大小様々なものがあった。宝石も小さいものを含めるとまずまずの数があり、その中で特別大きな宝石も三個あった。最後に宝箱から出てきた金属の延べ棒と大きなダイヤモンドらしきものを出してすべてを仕分けできた。


「以上で全部です。この大きな宝石三個と宝箱から出てきたダイヤモンドらしきものが今回の依頼品に当てはまると思います。確認をお願いします」


 受付嬢は仕分けしている途中から、口を開けて目を見開いていたよ。ほらね、これだけドロップアイテムがあるとその場で仕分けは出来ないと思うでしょ。


「少々お待ち下さい。先ほどは失礼しました」


 受付嬢が依頼が達成出来ているかの確認のためであろう、三個の大きな宝石とダイヤモンドらしきものを持って部屋を出て行った。勿論、綺麗なトレイに入れられて大切に扱われていた。


「麟瞳さん、凄いわ!大きさがハンパないわ。これで依頼達成は確実だわ」

「で、カラットって何なんだ?いまだに分かってないんだけど」

「カラットは重さを表す単位よ。1カラットで0.2グラムだから5カラットは1グラムね」

「たった1グラムで依頼達成なのか?絶対に大丈夫だよね」


 この待ち時間に《桜花の誓い》も余ったカゴにドロップアイテムを入れていく。宝石も小さいがドロップしているのは幸運のミサンガのおかげだろうか?


 先ほどの受付嬢がおじさんを連れて戻ってきた。多分そういう事だよね。


「姫路ダンジョン探索者センターの支部長をしている藤尾誠二ふじおせいじです。少し質問させていただいてよろしいでしょうか?」


 そうですよね。もう何回目だろうか?


「依頼は達成出来たんですよね。質問は勿論していただいて構いませんが・・・」

「失礼しました。依頼票にある基準は満たしていますから当然達成出来ています。むしろ満たしすぎているように思います」

「ええっと、満たしすぎているってどういうことですか?」

「多分依頼を出された方が思っている以上の物が納品されていると思います。特にダイヤモンドは買取り出来るか疑問に思います。あれは何処から手に入れられたのかお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「あれは十階層のボス部屋の宝箱から出てきた物です。やっぱりダイヤモンドですよね。少し違うのかなと思って心配してました」

「何色の宝箱だったんでしょうか?」

「銀色ですね」

「銀色ですか?何だか信じられませんね。勝手に虹色の宝箱がこのダンジョンから出てきたのかと思い興奮してました。本当に銀色ですか?」

「そんなことで嘘はつきませんよ。虹色と勘違いをするほど高価なダイヤモンドだったんですよね。この情報は広めないで下さい。何だか怖いんで、お願いします」

「勿論、情報は漏らしません」


 それからもいくつか質問されたが、今までと同じような質問だった。【豪運】スキルの事は言わなかったよ。本当に怖いからね。


 買取りもしてもらったが、ドロップアイテムが多過ぎて内訳票を先に渡された。合計額は予想以上だった。本当に四つの大きな宝石を除いての金額だよね。皆のバトルスーツとヘルメットが買えちゃうよ。クランメンバー全員のだよ。


「なんでこんなに高額になっているんですか?」

「宝石も品質が良く高価なんですが、ミスリルという金属の延べ棒が一本で三千万円です」


 ミスリル来たよ。ファンタジーの定番だね。魔力が通しやすい武器になるのかな?まあ武器には困ってないから買い取ってもらおう。四人で相談してすべて買取りしてもらった。僕のカードには使い切れないほどのお金が入っている。本当にもっと豪華なクランハウスにした方が良かったな。


 《桜花の誓い》も自分たちの買取り金額に喜んでいた。宝石が出ると買取り金額は良いんだよね。五人のCランカーが喜んでいる姿を見ると嬉しくなるよ。最近の僕達は金銭感覚がおかしくなっているね。皆で反省しよう。え、僕だけがおかしいの?そんなはずはないよね・・・・・。








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