3-1
ポテトを食べ終え時間の確認のためスマホの画面を確認する
「もう11時過ぎていたな」
「そうですね」
「じゃあそろそろ移動しようか」
「その前にトイレに行かせてもらってもいいですか?」
「わかった」
俺がそういうと彼女はトイレに行った
「会計済ませておこうかな」
俺が席を立とうとすると目の前に人が座っていた
誰だと怪訝な顔をしてその人物を見るとそいつの正体はネルだった
「お前が最後にしたいのはこんなことなのか?」
「いいだろ俺の最後の人生なんだから」
余計なお世話だという風にいうと
「今お前ひとりで喋っているから不自然だし変人だな」
「お前が急に話しかけるからだろうが!」
そんな悪態をつきながらスマホを耳に当て電話をしているように見せかける
今からフリをしてどのくらいごまかせるだろうか
彼女にはごまかせるくらいかもしれないと思いながらまたネルに話しかけた
「それでなんか用なのか」
「こんなことではダメだ」
「どういうことだ、時間まで干渉しないんじゃないのかよ」
「このままでは彼女を救えないぞ」
意味が分からない
彼女を救えないとはどういうことだろうか
彼女が隠す何かの問題のことだろうか
それならば俺だってどうにかしたいと思ってる
好きな子が悩んでいるのなら俺だって力になりたい
だけど俺には時間がない
そんな奴が彼女の抱える問題を聞き出したところで話を聞くことしかできない
何かをしてやるなんてできないのだから
その俺に対してネルは言うのだ
彼女を助けろと
お前の人生はその女の子を助けることすらできないのか
最後なのだから死んででもやってみろと
「助けることができればお前の寿命を延ばしてやろう、ただしそれができなければお前を地獄に送ってやる」
なぜこいつはこんなに彼女を助けろと言ってくるのかわからない
だがそんな俺にとって乗るしかないような賭けをこの死神のネルは持ち掛けてきたのだ
「いいよ、やってやるよ」
残りの7時間で絶対彼女を助けるんだ