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ショートコメディ『〇〇くん』

ショートコメディ『読破くん』

作者: かげる

 人の目というのを気にするのが、人間というもので、人の間は仕方ないことなのかもしれない。


 読破するとは、どういうことなのかとか。そんなことを、いちいち本人に訊いたとして、誰も幸せにならないだろう。


 あそこの机で読書している生徒。読破くんなんか、読み終えたらすぐに「この本、読破したよ」としたり顔で言ってくる。……なんだその勝ち誇った顔は……となるのだが、それは置いといて。


 読破くんは、周りの生徒から意識高い系として認識されているらしい。意識高い系の意味は、よく知らないけど、勉学に勤しんでる姿を、揶揄するような向きが、その言葉から感じられる。


 まあ、それはいいとして。


 私は、彼が、なにをしていようが構わないのだけれど。でも、毎度、分厚い本を読み終えたあとしたり顔で「読破したよ」って言ってくるのは、どうにかならないかな。


 日頃から、人の悪口を言わない温厚な私でも、イライラしちゃうことあるからね。殺意が芽生えちゃうことあるからね。と、そんなことを思っていると、彼が、どうやら本を読み終えたらしい。


 私の方に近づいてきた。


「〇〇さん」


 きた。


「〇〇さん。この本、読破したよ」

「うん。わかった」

「面白かったよ。是非読んで」

「いや、いい」

「えー面白いのに」

「わかってる。でも、いい」

「ちぇ」


 ……面倒だ。彼は、どこかに言ってしまったが、違う本を読み終えたら、また、読破報告をしてくる。それは、あわよくば、私にその本を読ませようと意図しているのだ。毎度、断る人の身になってくれ。かなり、面倒だぞ。


 私は、穢れのない美少女なので、まさか彼に不満をぶちまけたり、彼の悪いところを吹聴するようなゲスい真似はしないけれど。どうなんだろう。中等教育のこの三年間ずつを、乗り切ればいいだけなら、案外、我慢できることかもしれない。


 うーん。悩む。彼が、毎日のように本を読んで、私に報告するのが、ちょっとウザったいのだ。いや、なんで私にばかり報告するんだ。私以外にも、報告しろよ。なんで、彼と読書友達みたいになってるんだ??


 うーむ。別に、これは由々しき事態ではない。三年間我慢すればいいのだ。彼に、悪気はないのだ。良くもないが。ほら、私って、この学校でモテモテなマドンナ的存在だから、彼が私に関わりすぎると、妬みで、居場所なくしちゃわないかなって。それだけが心配だなって。


 清楚系、黒髪セミロングの美少女だから私。


 今度彼が、私に読破報告をしてきても、優しく聞いてあげようかなって。思っちゃった。やっぱ。

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