ってか誰や。コイツは
もうそろそろ物語を展開していきたい。
はっと我に返る。そうだ。僕は喫茶店に知らない男に電話で呼び出されて来ていたんだ。当たりは夕闇に飲み込まれそうになっていた。畜生。あと少しで例の怪物の正体が分かりそうだったのに。
あー。本当にあと少しで自分史最大の謎を解けたかもしれなかったのに!あの髙橋との殴り合い中に現れた怪物の正体を暴けたかもしれないのに!せっかく絡まった記憶の糸を解けてきたのに…あぁ、虚無感。いや、それとも記憶の糸が途切れていたのか。まあ仕方ない。
マスターがじっと僕達のことを迷惑そうに見ている。たった一杯のコーヒーで半日滞在しようなんて。ってかこの男は誰や。名前も聞いてないって…あれ?
彼は店内からいなくなっていた。会計を済ませようとレジに向かうとコーヒー代は1人分しかない。あ、あれ?気になってマスターに聞いてみる。
「あの、僕と一緒にいた男は…外国人っぽくて背の高いやつなんですが」
「お客様は入店時、昼前からずっと1人でしたが。」
怪訝そうな目でじっと見られる。
「あ、そうでしたか。アハハ。コーヒー美味しかったです。では」
なんなんだ。あの男は。じゃあ僕は半日も1人でコーヒーを飲んでいたことになるのか。なんと。アホなことを。
帰り道。ガキの頃の不思議な記憶よりも、あの男のことが気になりはじめた。そうだ通話履歴を見れば。携帯取り出す。しかし朝の時間、通話した記録はひとつも残っていなかった。
3話です。五月病にかかりましたが、治りました。
次話もどうか御手柔らかによろしくお願いします。