赤子の手を捻るように、景観は無秩序に暴かれて
曖昧にぼけた景観─、午前4時68分。狂い舞う暁だけが、またとない色熟きを身勝手に振り翳していく。
朱い煉瓦の花壇に敷かれた腐葉土に、等間隔に並んで咲く彼岸花。
ふゎふわとシーソーが独りでに漕がれだす。天国まで昇り詰める滑り台の終着駅は、原子崩壊したスコップが直立不動している砂場。
砂場では金属生命体が唇から心臓を漏らしている女性の強姦を現行している。虚無すら抱き締めることの叶わなかった敗残の爪で心臓を無抵抗に貫くと、驟雨を噴き零したと思いきや、僕に向かって飛来してきた。
顔面に直撃すると、爆閃を引き起こした。突拍子に宇宙の全貌を知り尽くした。はじまりから総て僕の所有物だったように思えてきた幻想が、心地良い居場所を取り戻したブラッドムーンのように魂に回帰する。
夢見心地に瞼を明けると、処女を散らした金属生命体が問い掛けてきた。
『 もしも明日があるのなら 、君は何がしたい
“Sein,Wenn Wenn es morgen. What you do━━━━.”』
貴様らの殺戮でどうにも救いようのなくなった世界日常ごと溶かし尽くして、一度全てを液体に還元してやり直して終いたい──。
全世界線が液体タイプに炸裂した。なにもかもがまとまりのスープに。
、
白いづくめの部屋で金属生命体はのうのうと掌で掬うと、人思いに呑み干した。
はじまりを一握り、垣間見れた。見出した価値はひとえに、生命に恋焦がれて締まった。