表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

四話 転生先は異世界

 俺が転生して1ヶ月が経った。その間になんとなくだが、この家の事が分かってきた。赤みのある茶髪の男性が、この身体の俺の父親で、銀髪の女性が俺の母親らしい。そして、男の子二人が俺の兄のようだ。


 俺が最初に目にした初老の女性はこの家のメイドらしい。他にも数人メイドがいるようで、どうやら彼女はメイドたちをまとめる立場にあるようだ。


 他にも、執事服を完璧に着こなしたナイスミドルも見かけた。もの凄く仕事ができそうな雰囲気だ。



 ベッドの上から動けないので詳しい事は分からないが、どうやらかなり裕福な家庭であると推測できる。なんせ、前世では本物の執事やメイドなんて見る機会は一度もなかった。というか、ここはどこなんだ?人を見た感じではヨーロッパっぽいが。









 半年がたった。ハイハイができるようになった俺はこの家の中を動き回った。この家は豪邸という訳ではないが、それなりに大きい屋敷だと分かった。


 客室と思われる部屋で鏡を見つけたので覗いてみると、銀色の髪を持った人形のように整った容姿をした赤ちゃんの姿があった。兄二人が父親と同じ赤っぽい茶髪だったので、てっきり自分も同じだと思っていたんだが俺は母親の方の髪を受け継いだらしい。




 家の中を動き回っているうちに、いろいろと違和感を感じることがあった。


 しばらくの間、混乱することもあったが俺はついに一つの結論を得た。


 どうやら、ここでは金城 亮也としての常識が通用しない場所らしい。

 


 もっとシンプルにいうと、ここは少なくとも現代の地球ではないようだ。


 これだけ大きな家なのに、電化製品が一つもない。水道もガスも通ってない。全ての本が手書きで書かれているなどいくら何でもおかしい。


 そして何より、俺は決定的なものを見てしまった。


 ある日のことだ。俺がいるベッドの横で母親が何かの本を読んでいた。そこに上の兄が入ってきた。どうやら外で遊んできたらしく、あちこち砂で汚れていて、膝を擦りむいていた。


 母と兄は何か一言二言会話した後、母が傷口に手をかざしながら何かを唱えた。


 すると、母の手元から小さな光がでて、兄の傷を覆ったかと思ったら兄の傷がなくなっていた。


 あれはどう考えても地球上で起こる現象ではない。しかし、俺は今のがいったい何であったのかわかってしまった。



(水属性初級回復魔術 ヒール!!)




 もしかしたら、この世界はユルドたちのいた世界、カエルレウムなのだろうか。



 (いや、俺はここの言葉を知らない。)



 そう思いつき、その可能性を否定しようとしたがすぐに、ユグライト大陸の中だけでも複数の言語があったことを知識の中から思い出した。


 ユルド達はみな世界中を旅していたため、複数の言語を扱えたが、それでも全ての言語を習得していた訳ではなかった。彼らは翻訳の魔術が使えたので、わざわざ全ての言語を覚える必要がなかったのだ。



 そう考えると、なんだか普段聞いている言葉はなんだ過去に聞いたことがあったような気がしてくる。



 一年がたった。



 俺は歩けるようになり、また、言葉もなんとなく分かるようになった。俺の名前はグレイ=セド=フォン=オルランドと言うようだ。


 そして父の名はフリード、母の名はアネット、短髪の兄は長男のグラン、長髪の兄は次男のリュートと言うらしい。



 また、ここはやはりカエルレウムのユグライト大陸で、その中のハルトリア王国という場所だった。家は小領ををもつ貴族家らしい。爵位は男爵だ。



 ユルドの記憶では、ハルトリア王国はユグライト大陸の西の方にある国で、中堅クラスの規模の国だった。ユルドのパーティーも魔王討伐の旅の途中に立ち寄り、当時の国王に招待され一度王都ハルディウムに訪れたことがあった。




 この国の知識はあまりなかったがそれでもまったく知らない世界に生まれてしまった訳ではないことがわかってほっとした。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ