義妹(ナツミ)+義兄(犬屋)+俺
コメディーです。
―――母さんが結婚した。
別に結婚しようがしないが、俺にはどうでもよかった。
ただ、最近母さんがあの人のことをよく食卓で話にだすからそろそろ結婚するんじゃねーかな…と思っていたら案の定あの人と結婚しよった。
別に結婚したことについて俺は何とも思わない。
「おめでとう、よかったね」
でも一応表面だけ祝っておく。ニッコリと母さんに俺が微笑む。俺が小学1年生だったかな?
母さんが離婚をした。あまり理由はよく覚えていないが…それから食卓でしか母さんと俺は話さなかった。
なんでそうなったんだろう?
でも、それも特に理由はなかった。というか、今は別にどうでもいい。
母さんは食卓が終わると、いつもすこし寂しそうな顔をして俺を見ていた。
俺はご飯が終わったらさっさと部屋で引きこもった。
―――1人がとても好きだ。好きだ。これも、特に理由はないが。すごく安心をした。俺は一人なんだと。
ただ一人が好きだった。でもその俺の平和な日常は次の日から崩れていった。
「大河今日からあの人も一緒に住むんだけどいい?」
母さんが朝の食卓でいきなり俺に尋ねる。
「………別に俺はぜんぜんいいよ」
いきなりのコトに一瞬俺は迷ったが、別にそれもどうでもいいと思った。
だってどうせあの人とも食卓でしか話さないだろう。それにもしかしたら、母さんはあの人としか話さなくなくなって俺は一人となることができる。
むしろ俺にとってはそれは、嬉しいことだ。俺はそう考えながらご飯をさっさとすます。
今日は休み。昨日学校で友達に「遊ばないか?」って誘われたが俺は習ってもいないはずの塾のせいにして断った。
一人が好きなんだ。
「あのね、大河本当コレもいきなりなんだけど…もうすぐあの人が来るの」
「俺はぜんぜんいいって。母さんが幸せだったら…それでいいよ」
ニッコリと俺は母さんに微笑む。いきなりなのはもう慣れっこだし。
母さんもあの日いきなり父さんと離婚したよね?
―――ピンポーーーン―――
突然ドアのベルが鳴る。どうやらあの人が来たようだ。
「はーーーい」
母さんは嬉しそうにドアへ駆け寄ってあの人を出迎える。
「「「おじゃましまーす」」」
「どうぞ」
俺は適当に相づちをうつ。ん?あれ?さっき3人ほどの声が聞こえたような気がしたが…?
「どうぞどうぞよく来たわね。犬屋君とナツミちゃん」
ん?おかしいぞ?あの人の名前ではない?犬屋君?ナツミちゃん?誰だ?それ?
「おじゃまリンコ〜♪あ!!お兄ちゃん発見!」
15歳くらいの女の子であろうか。髪がものすごく長く、黒い髪が今にも地面につきそうだった。超がつくほど美少女。
その子が俺を見てお兄ちゃんといい、指をさしていた。
「こんにちは。おや?かっこいい方ですね。今日から宜しく」
27歳くらいの男性であろうか。黒い長髪に目には赤いメガネをかけている男。
こちらも超がつくほど美男子。
その人が俺をみてニッコリと微笑んだ。
「よろしく。狭い所ですがゆっくりしていって下さい。って…………誰?」
俺は思わず疑問に思ったことを言う。ずうずうしく家にあがってきたこの2人は誰なんだ?
「ぇ?やだな〜、お兄ちゃん♪今日から一緒に住む仲じゃあない♪へへ」
そう言って超美少女は黒い髪を動かしながら俺に抱きついてくる。
「は?いつから俺と君はそんな関係になったんだ?」
「ぇ?もしかして何も母さんから聞いていないんですか?」
超美男子は赤いメガネをあげておどろいたように言う。
どうやらこの男は俺の母さんの母さんと呼んでいるようだ。って…ことは―――…。
「…母さん…コレって……」
俺は恐る恐る母さんに顔をむける。
「そう、あの人の子どもなの。仲良くしてあげてね。今日からいっきに大河は兄ちゃんと妹ができたわね。妹がナツミちゃんで、お兄さんが犬屋君なの」
ふふと母さんは嬉しそうに絶望の言葉を俺に告げる。
「な…!?」
「よろしくね〜♪お兄ちゃん」
この子がナツミというんだろう。相変わらずナツミは俺に抱きついたままで俺から離れようとしない。
「今日からお世話になります」
この人が犬屋というんだろう。犬屋はニッコリと微笑んで俺を見ている。
あの人に子どもなんていたのかよ!俺はいきなりのことに目の前が真っ暗になる。
そんな俺に母さんが追い討ちをかけるかのような一言を言う。
「今からあの人と引越しの手続きしてくるね」
「!?」
「いやあ、留守番悪いね。大河君」
あの人ようするに俺の父さんにあたる人が心底すまなそうな顔で俺に謝る。やばい、やばい。このままでは…―――!?
俺は最後の手段にでる。
「母さん、俺も引越しの手続きに一緒にいくよ!!」
俺がそう言って立とうとしたとき…
「ぇ〜いっちゃうの〜。ナツミと一緒にいようよ〜♪」
ナツミが俺をものすごい力で抱きついた。ちょ…胸…!?義妹でもそれは…ちょ…!?
ナツミは目をウルウルさせて小動物のように俺をみてくる。
「あら、すっかりナツミちゃんに好かれたようね。大河」
母さんが微笑まそうに俺とナツミを見る。こんなんだったら…友達に遊びに行かないかって言われた時断らなければよかった…。と俺が心底後悔したのは言うまでもないだろう。
「ねぇ〜大河お兄ちゃんったら。いきなりお母さん達がいなくなったら元気がなくなっちゃったよ〜」
黒い目をクリクリさせて俺を心配そうに見る。たしかにこの妹は可愛い。
でも、一人になりたい俺にとってはウルサイだけだ。
「はぁ〜」
自然に俺の口がため息がでる。これからコイツらと一緒にすむのか?
「ナツミ、駄目ですよ。大河さんを困らせたら。でも大河さん本当かっこいいですね、彼女いたりしますか?今何歳ですか?」
犬屋が俺に話題をふってくる。正直男にかっこいいと言われても…嬉しくともなんともないのだが。
でも少なくともナツミよりもこの人のほうがまだ話とかがわかりそうだ。
「19歳。俺彼女いないけど?」
「そうなんですか…よかった。じゃあ私にもまだ希望はありますよね、大河さん?」
ニッコリと犬屋が俺にむかって満面の笑みをむける。って…は?今なんて?
「私、あなたみたいなクールな人で美形好みなんですよ」
「…は?」
今この人なんて言った?ウソ?今の俺はとてつもなく耳が悪くなっているんだろうか?
それとも地球がおかしくなったのだろうか?それとも冷蔵庫にあるチーズが腐ったのだろうか?
「ぇ〜お兄ちゃん先生やってるじゃん!!それに、この前も学校で可愛い子見つけたっていったじゃん!!ずるいよ〜」
「それとこれは別腹ですよ」
「ぇえ〜何それ!!でも大河おにいちゃんに彼女いないってことは…ナツミにもチャンスなんだよね〜♪」
ナツミと犬屋だけで着々と話を進めていく。…俺の意思なんて関係なしですか?
ってかコレは、どういうことだ?
どういうこともこういうこともない。犬屋はホモだ。ナツミもなんかヤバイ。
「………あ!!やっぱ彼女いたわ〜(裏声)ごめんごめん、忘れていた」
俺はいるはずのない彼女を言う。なんせ、なんかこいつらの話やばいと感じたからだ。
「ぇ〜何だ〜ショック〜〜〜」
ナツミはピンク色の頬をふくらます。
「…彼女名前なんて言うのですか?」
犬屋が即俺に聞いてくる。…名前!?なにがいいのだろうか!?彼女の名前!?
「………山田花子さん…」
偽名だああ!!今のはさすがに偽名すぎた!ばれている。絶対ばれている!!キャサリンとかそういう名前にしておくべきだった。
「「ふ〜〜ん」」
犬屋とナツミが声をそろえていう。絶対疑っているな!!この二人!
「んじゃあ…俺…部屋に戻るんで…」
こういうよく分からないのはすぐに逃げるのにかぎる。よく分からないが危ない。
ココ危ない。俺の本能が俺に言う。
「じゃあ私達も一緒に大河さんのお部屋いってもいいですか?」
「うん〜いきたい〜♪」
「へ?」
うそだろ!?
「うわ〜♪けっこうキレイな部屋なんだね〜♪」
「お部屋にお邪魔してしまって、すいませんね」
結局俺は二人を断ることができずに俺の部屋につれていく。
「お茶もってくるので…トランプか何かをして遊んでいて…」
つかれはてたような声で俺は二人に言う。犬屋が「お気遣いなく」って言っていたが俺はお前らなんかに気を使っているわけでもない。
一人!!一人になりたいだけなんだ!!!というか一人にしてくれ!!
なんで―…なんでこうなってしまったんだ…。お茶をくみながら俺は考える。
お茶を自分の部屋に持っていく時気のせいか足が重く感じた。中からはナツミのキャッキャはしゃいでいるような声が聞こえる。
―――ガチャ―――
俺は部屋のドアを開ける。
―――シュパ―――
いきなりトランプのカードの風のきる音が聞こえた。その瞬間俺の右にあたる壁にトランプのカードがささっていた。俺の髪の毛がすこし切れていた。
「え?」
俺は思わずマヌケな声をあげる。
「あ!!大河お兄ちゃんおかえり〜♪危ないよ〜カード♪」
どうやらカードを手裏剣のように投げている本人はナツメらしい。
あぶねええええええええ!?
ハッキリ言わせてもらいます。カードが危ないんじゃない!!お前が危ないんじゃ!!
何?忍者ですか?ナ○トきどりですか!?あきらかに、トランプの遊び方が違うだろうが!!
しかもコイツあきらかに普通の人間じゃないよな!!俺はそう思いながら、壁にささったカードとナツミを比べて見る。
一方俺の兄にあたる犬屋は俺の小学生のころの写真を勝手にくつろぎながらみていた。
「あ。大河さん。お茶すいません、この小学6年生のころの大河さんすごく可愛いですね。食べちゃいたいくらいですよ」
たしかに犬屋は美形だけど…食べちゃいたいって…おい。キモイわ。俺は冷静にスルーする。
「どれ〜?犬屋お兄ちゃんナツメにも見して〜♪」
「これですよ」
「わ〜かわいい〜♪食べちゃいたい〜♪」
おいおい。言葉の意味も分からないのにお兄ちゃんに影響されて食べちゃいたいなんて言っちゃあ駄目だってナツメちゃん。
「ねぇねぇ、大河お兄ちゃん♪お兄ちゃんは将来植物になりたいの?」
いきなりナツメが写真と俺と見比べながら意味不明なことを言う。は?なんじゃそれは?植物?現実的に無理ありすぎだろ。
「何?それは?」
俺はナツメに尋ねる。
「だって小6の時の夢が将来植物になって光合成したいんだって〜♪理由は植物だと一人だから。めんどくさくないからだって〜♪ここに書いてあるよ〜♪」
母さんがきっと写真と一緒に夢が書いてある紙をはさんでおいたのだろう。こういう所だけ母さんは細かいからな。
ああ。なんだ小学生のころは俺はそうだったのか。一人だったのか。俺はふいに虚しさがこみあげてくる。
「でも、一人にはなれませんね。これから」
犬屋が長い黒髪を手でときながら言う。それどういう意味だ?
「ね〜♪だってこれからナツミ達ずっと一緒だもん。一人になんかさせないよ〜♪ずっと一緒にいてやんだから♪」
半ば強引にナツミが笑いながら言い張る。なんだ…それは―――。
理屈もなにもないじゃあないか。俺の意思は無視ですか?
でも―――…俺の心は虚しさとはまったく別のもののなんか温かい気持ちが広がっていく。
その温かい気持ちが俺を気づかせた。そして、俺はそんなどうでもいいとろくさいことに今気がついた。
―――ああ。本当は俺は一人なんかのぞんでいなかったんだな―――
父さんがいなくなってから、一人だと思っていた。
誰も望んでもいけない。そう思っていた。
でも、本当はずっと誰かに―…誰かに―…
「一人じゃあないよ」
って一言いってもらいたかったんだ。
目目目目目目目目目目目目
「このお茶おいしいですね〜大河さんいいお嫁さんになれますよ」
犬屋がお茶をおいしそうにすすりながら、お茶をくんだ俺に言う。
ってか、お茶くらい誰にもおいしく作れるだろ?だったらみんないいお嫁さんになれるじゃねーか。
「というか茶くらい誰にもできると思うけど?それに俺はお嫁にはなれねー」
俺はお茶をすすりながら犬屋に言う。
「やだ〜♪大河お兄ちゃんナツミのお嫁さんになるの〜♪」
隣からまた勢いよくナツミが俺を抱きついてくる。
「ふふ。ナツミは一生猿ですから、独身ですよ。いや大きくなったら原始人にはなれますかね?」
「ムキーーーーそんなことないもん〜♪」
「ハハ、はてしてどうですかね?」
犬屋は下がってきた赤いメガネを上にあげながらナツミに言う。
またコイツら俺の意思なんて関係ナシだよ。すごいや。
「んじゃあ、大河お兄ちゃんにどっちがいいか聞いてみようよ♪」
へへ♪と鼻をならしながらナツミは俺に答えを求める。
「…。どっちも嫌。バカ妹と変態兄貴」
これが俺の素直な答え。
「「へ?」」
二人とも目を丸めてビックリする。なんせ、俺はきっと二人の中ではさしずめクールでさわやかなお兄ちゃんキャラで通っているからであろう。
いきなりのキャラ変わったらそれは誰でも驚くだろう。
「ぇ〜!?大河お兄ちゃんもしかしてそういうキャラ〜!?」
ナツミが俺を指をさしながら驚く。そう、俺は腹黒いキャラ。
「うるせーよ、貧乳」
俺はナツミの小さい胸を見ながら言う。
「ふぎゃーーーー!?」
ナツミはものすごい勢いで俺から離れる。
俺はあまりにもナツミがすごい驚くもんだから笑うのを喉でこらえる。
「あらあら、どうやら私達は一杯食わされたようですね。でも、私はこういう人も好みですけどね」
犬屋は黒い目を細めて微笑みながら俺に言う。お前はさしずめ顔さえよければそれでいいんだろう。
「うるせー、オカマ、変態」
俺は笑いながら犬屋に言う。
「な!?オカマは違います!!こういうのは一種の純粋な恋なんです!すぐに大河さんもわかりますよ!この恋の魅力が!!」
「…変態なのは否定しないんだ〜…犬屋お兄ちゃん♪」
あきれたようにナツミが犬屋につっこみをいれる。
ナツミお前も似たよーな変態だって。と俺は心底つっこみをいれたい。
「ったく、仕方がないから今日からお前らを俺の奴隷…間違えた、兄弟として認めてやるよ」
俺は満面の笑みで二人に言う。こんなにも笑ったのは一体何年ぶりだろう。
「うわ…奴隷っていたよ〜♪大河お兄ちゃんひど〜い。S〜大河お兄ちゃんのドS〜♪」
ナツミが俺をドSと言い頬をふくらまして上目遣いで睨んでくる。
コイツが今日から俺の妹になる。
「ふふ。私は奴隷でもかまいませんけどね。そういうプレイ好きですよ」
犬屋はニッコリと笑い俺の頭をポンポンと軽くたたく。
コイツが今日から俺の兄になる。
ただ―――
ただ―――これからは俺を―――
どうか―――俺を一人にしないで―――
もし俺が一人になったら―――また犬屋とナツミにこう言ってもらいたい―――
「一人じゃあないよ」
って―――
目目目目目目目目目目目目
「「ただいま―」」
母さんとあの人が帰って来る。
「遅くなってゴメンねー…ってあれ?みんな寝ちゃっているわね」
お母さんが見た物。
そこには遊びつかれはてた3人が横に仲良く並んで寝ていた。
「ふふ、まるで本当の兄弟みたい…」
この時母さんが心底嬉しそうに笑ったことを俺はしらない。
目目目目目目目目目目目目
ここまで読んでいただきありがとゥございます♂♂
この短編小説はもと02別にあったのですが…こちら側にうつしました;ごめんなさい;;
こンな駄目小説でも読んでいただいて下さって本当に嬉しいですッ+゜
この小説がすこしでもみなさンのお力や、喜んでもらえると本当にうれしいですw
実は…犬屋さン…別の連載小説「俺今日フォニ(鬼)」ででてきちゃってます⌒★+゜
機会があったらでぃぃですが…フォニの方もどうかよろしくおねがいします!!w
もしこの短編小説が人気があったらまた再び千年樹ででてくるかもしれませン♪+゜