表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

俺のペットが擬人化?

作者: kaji

俺のペットが擬人化?


 俺は動物が大好きだ。愛していると言っても過言ではない。野良犬を見ると触りたくなるし、動物園には毎日通っている。もちろん家でペットを飼っている亀、猫、犬、金魚、インコなどなど。許されるなら、様々な動物を飼いたい。今日も金魚の金太郎のために水草を大量に購入してきた。さっそく家に帰って設置してやろうと意気揚々に家に帰った。

「ただいま~! 我が愛しのペット達よ。元気にしてたかい」    

 家に帰ると知らない女の子が部屋にいた。緑色の髪でセミロング、気の強そうなつり目をしている。なぜか亀のキグルミを着ていた。

「よお。英二。待っていたぞ。エサをくれ」

「誰だ? お前」

「お前の亀次郎だ」

「亀次郎……って亀の亀次郎か」

「ああ。そうだ」

 俺は亀を飼っているのだが、その名を亀次郎と言う。俺が近づくと近寄ってきて首を水面に出して、挨拶してくれる気のいいやつだ。

「お前女だったのか」

「女? 良く解らんが、どうでもいいが。腹が減った。無農薬のキャベツだ。できるなら茨城県産がいいぞ」

「悪い。ちょっと考えさせてくれ」

「? いいが、早くしてくれ。腹が減った」

 どういうことだ。この女が亀の亀次郎だと。確かに亀次郎の水槽には亀がいない。だが、亀が人間になるなんてことがあるのか。こいつが勝手に言っているだけじゃないのか。そうだとするとでは、この女は誰なんだ。俺は知らないぞ。こんな亀のキグルミを着た女なんて。

自問自答を繰り返していると亀次郎と思われる女が、部屋から出ていこうとしている。

「待て! どこに行く」

「長くなりそうだから、食料を調達しようかと思ってな」

「お前は絶対ここから出るな!」

「なんでだ。私はキャベツが食べたいぞ」

「いいから出るな! 俺が取ってくる」

 こんな所を妹や母親に見られる訳にはいかない。見つかったら何て言い訳をするんだ。


      ◇


 パターンその一。

『か……母さん。俺の亀次郎が帰ってきたら、女になっていたんだ。俺も驚いているんだ。信じてくれ』

『英二……わたしが気づいてあげられなかったのが、悪かったのね。あなたにぴったりな所があるの。今から行きましょう』

 いい病院を紹介されるのがオチだろう。


     ◇


 パターンその二。

 妹にしても同様だろう。

『我が妹よ。いいから黙って聞いてくれ。俺の亀次郎が帰ってきたら、女になっていたんだ』

『おかあさーん。お兄ちゃんがおかしくなったー!』

 明らかな負け戦だ。次の日から冷たい目で見られるのはごめんだ。


      ◇


 妹と母親に見つからないようにこっそりと、キャベツを持って部屋に戻ってきた。戻ると亀次郎が仰向けに寝転がっていた。なんだかなあ。確か亀って仰向けになると起き上がれないんじゃなかったかな。本当に元亀なのだろうか。

「お前。そういえば甲羅はどこにいったんだ」

「ああ。そういえば無いな。まあいいだろ。邪魔だしな」

 家に忘れ物をしてきたという軽いノリで言われた。

「ほう? で?」

「で? とは?」

「これからどうすんだって聞いているんだ?」

「さあな。私が知るか」

「っていうか元に戻るんだよな」

「さあ。私には分からない。戻れるかも知れないし、戻れないかも知れない」

 そこに妹がドアを開けて、入ってきた。

「お兄ちゃん。ご飯できたっ……て?」

「あ」

 妹の目が文字通りに点になっていた。ドアのノブを握り締めながら固まっていた。俺は何とかごまかそうとした。

「あのな。こいつは亀次郎なんだよ……」

「……」

 そのまま妹は無言でドアをゆっくりと閉めた。

「おかあさーん。お兄ちゃんが変な女の人連れ込んでるー!」

「あ。ちょ」

 慌てて追いかける。二階から下りて、一階の廊下で妹は母親と話している。遅かったらしい。

「私ブログに書き込む」

「止めちまえそんなもの!」

「父さんに電話しないと」

「止めろー!」

「英二よ。キャベツが切れたんだが」

「なんで降りてくるんだ!」

 亀次郎がいつの間にか一階まで降りてきていた。あれほど、降りてくるなって言ったのに。

「この人が亀次郎さん? 言われてみれば面影があるわ」

「ねえよ! まったく全然ねえよ!」

「なあ。英二よ。キャベツが食べたいんだが」

「うるせえ! 黙ってろ」

「お母さん。絶対この人詐欺師だよ。お兄ちゃんに彼女が出来るわけないし、きっとお兄ちゃん何か変な壺を買ってるんだって。絶対そうだって」

「お前は俺のことを何だと思ってるんだ!」

「なあ。英二……キャベツ。なんならししゃもでもいいぞ」

「もしもし……父さん? 英ちゃんがね。彼女連れてきたのよ」

 母さんは携帯で父さんに電話をかけていた。よりにもよってあんな変態親父に電話をかけるなよ。

「だから電話するなって! だいたい亀次郎の話はどこいった!」

「なあ。キャ――」

「お前はこれを食っていろ」

キャベツ、キャベツとうるさい亀次郎に俺はポケットにあったチョコレートを差し出した。

「なんだこれは……食べれるのか」

「いいから食ってろ」

「むぐ……」

 面倒臭かったので、無理やり亀次郎の口にチョコレートを押し込んだ。最初は不思議そうな顔をしていたが、今はニヤニヤしている。どうやら気に入ったようだ。

「英二! 彼女が来てるんだってな!」

玄関が勢い良く開かれ、親父が帰ってきた。さっき電話していたのに、なぜもう帰ってきたんだこの親父は。

「親父……会社は?」

「お前の彼女が来てるって聞いてな。早退してきた。大丈夫だ。問題ない」

 いや。問題あるだろと思ったが、俺をスルーして親父は亀次郎に近づいていった。

「私、英二の父です。お名前は?」

「もぐもぐ。私は亀次郎だ」

「かめじろう? カメジロウ? KAMEJIROU? かめじょう……かみじょう……ああ。上条さんですか」

 親父は素晴らしき変換能力で、名前をでっちあげた。

「いや。亀――」

「それよりもどうぞ。ご飯でも食べて行ってください」

「ご飯? キャベツも出るのか」

「出ますとも、出ますとも。母さんすぐに食事の用意だ」

 俺を置いて親父と母親と妹は食堂へと行ってしまった。

「なんだ。これ……」

ていうかそもそも亀次郎が、人間になったのが、問題なのだが何かどうでもよくなってしまった。

「おーい。英二……ここはキャベツがいっぱいあって天国だぞー。英二も早くこいよー」

 食堂から亀次郎の声が聞こえる。この先亀次郎をどうするのか不安だが、なぜか妙に家族と馴染んでいる。まあ俺には猫、犬、金魚、インコがいるからあいつらを可愛がればいい、俺はそう思っていた。



ご拝読ありがとうございます。

 評判がよろしいようでしたら、連載化いたしますのでよろしくお願い致します。


連載化に向けて投票を実施しています。ご協力お願いいたします。

投票所はこちら→http://vote1.fc2.com/poll?mode=browse&uid=6499918&no=1

※外部サイトFC2投票に繋がりますのでお気をつけください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ