表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と追放された鑑定士、実は“価値を変える力”で街ごと最強になる 〜評価されないもの全部、俺が使いこなします〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

第20話 基準の外側

「お前の基準を、外す」


 その言葉が落ちた瞬間。


 空気が、わずかに揺れた。


 ほんの僅かだ。


 だが、それで十分だった。


「……どうやってだ」


 ルクスが言う。


 初めてだ。


 “問い”が出た。


 それだけで分かる。


 届いている。


「簡単だ」


 俺は答える。


「見せるだけだ」


「何を」


「お前の外」


 それだけだ。


 ルクスの目が細くなる。


 警戒。


 理解。


 その両方だ。


 いい。


「リナ」


「は、はい!」


「今、何が見えてる」


「え……?」


 戸惑う。


 だが。


 答える。


「……怖い、です」


 正直だ。


 いい。


「何が」


「ルクスさんが……」


「違う」


 遮る。


「それだけじゃない」


 沈黙。


 リナが、周囲を見る。


 人。


 店。


 動いているもの。


「……あ」


 小さく声が漏れる。


「動いてる……」


「そうだ」


 それが答えだ。


 ルクスを見る。


「お前は“強さ”で止めてる」


「そうだ」


「だが」


 俺は一歩前に出る。


「それでも、動いてる」


 それだけだ。


 沈黙。


 ルクスの視線が、揺れる。


 完全ではない。


 だが。


 確実に。


「……なぜだ」


 低い声。


 だが、問いだ。


 もう一歩だ。


「簡単だ」


 俺は言う。


「基準が一つじゃないからだ」


 それだけだ。


 ルクスの圧が、わずかに乱れる。


 ほんの少し。


 だが。


 致命的だ。


「アルド」


「おう!」


「壊せ」


「任せろ」


 “バキッ”


 音が響く。


 その瞬間。


 人の流れが、戻る。


 完全ではない。


 だが。


 止まっていない。


「……戻ってる」


 リナが言う。


 震えているが、笑っている。


「そうだ」


 俺は答える。


 ルクスを見る。


「止めきれてない」


 それが全てだ。


 沈黙。


 ルクスが、ゆっくりと息を吐く。


 圧が、少しだけ弱まる。


「……認めよう」


 その言葉に、周囲が固まる。


「お前は、異常だ」


「そうか」


「管理外だ」


「そうだな」


 否定しない。


 それでいい。


 ルクスが一歩、下がる。


 ほんの一歩。


 だが。


 それが答えだ。


「……今回は、引く」


 空気が変わる。


 張り詰めていたものが、少しだけ緩む。


「だが」


 ルクスの目が、こちらを捉える。


「次はない」


「いいな」


 短い言葉。


 だが、重い。


「分かった」


 俺は答える。


 それでいい。


 ルクスが背を向ける。


 部下たちも続く。


 去っていく。


 静寂。


 しばらく、誰も動かなかった。


 そして。


「……勝った?」


 リナが言う。


「一応な」


 俺は答える。


 アルドが笑う。


「一応って顔じゃねえだろ」


「完全じゃない」


 それが事実だ。


「でも……!」


 リナが言う。


 嬉しそうだ。


「動いてます!」


 周囲を見る。


 人がいる。


 流れている。


 止まっていない。


「ああ」


 俺は頷く。


「それで十分だ」


 セレナが小さく笑う。


「面白くなってきましたね」


「そうだな」


 俺も少しだけ笑った。


 これは、始まりだ。


 終わりじゃない。


「次は」


 アルドが言う。


「どうすんだ」


「決まってる」


 俺は答える。


「もっと広げる」


 それだけだ。


 止められないなら。


 止められない形にする。


 それが答えだ。


 そして。


 それが、次だ。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語は「強さ」ではなく、「どうやって流れを作るか」という視点で描いてきました。

誰かに決められた価値ではなく、自分で選び、自分で繋いでいくこと。

それが、この作品で一番描きたかったことです。


第1章終了という区切りではありますが、

この世界の流れは、まだどこへでも続いていきます。


もしこの先も見てみたいと思っていただけたなら、

それはきっと、この物語がどこかで繋がった証だと思っています。


ここまで付き合っていただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ