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無能と追放された鑑定士、実は“価値を変える力”で街ごと最強になる 〜評価されないもの全部、俺が使いこなします〜  作者: 影山クロウ


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第19話 価値の基準

「もっと見せろ」


 その一言の直後だった。


 空気が、潰れる。


 “重い”というより、押し潰される感覚。


 立っているだけで、呼吸が浅くなる。


「……っ」


 リナがその場で膝をつく。


 アルドが歯を食いしばる。


「……やりやがる」


 声が低い。


 だが、崩れてはいない。


 強いな。


 それでも。


「……見てるだけでこれか」


 俺は小さく呟く。


 ルクスは何もしていない。


 ただ、そこにいるだけだ。


 それで、人が止まる。


 動けなくなる。


 流れが、消える。


「これが管理だ」


 ルクスが言う。


 静かに。


「人は“強い基準”に従う」


「そうだな」


 否定しない。


 事実だ。


 だからこそ。


「それを壊す」


 俺は言った。


 リナが顔を上げる。


 苦しそうだ。


 だが、聞いている。


 いい。


「……無理だ」


 ルクスが言う。


「基準は一つでいい」


「違うな」


 俺は一歩、前に出る。


 圧が強くなる。


 だが、関係ない。


「基準は、増やせる」


 それだけだ。


 ルクスの目が、わずかに揺れる。


 初めてだ。


 ほんの一瞬。


 だが。


「リナ」


「は、はい……!」


「立て」


 短く言う。


 リナが震えながらも立ち上がる。


「……無理です……」


「できる」


 即答する。


「お前は、もうできてる」


「……え?」


「売っただろ」


 それだけだ。


 リナの目が揺れる。


「価値を作った」


「……あ」


「それが基準だ」


 ルクスを見る。


 そして。


「一つじゃない」


 言い切る。


 リナが、少しだけ顔を上げる。


 圧は消えない。


 だが、折れていない。


 それでいい。


「アルド」


「……おう」


「壊せ」


「何を」


「基準だ」


 アルドが笑う。


 歯を見せる。


「いいねえ」


 足元の瓦礫を蹴る。


 “バキッ”


 音が響く。


 それだけで。


 ほんの少しだけ、空気が変わる。


「……くだらない」


 ルクスが言う。


 だが。


 完全に無視はしていない。


「そうだな」


 俺は答える。


「くだらない」


 それでいい。


「くだらないものでも、動けば価値になる」


 それが事実だ。


 ルクスが一歩、前に出る。


 今度は、明確な圧。


 さっきより強い。


 リナが揺れる。


 アルドが一瞬止まる。


 だが。


「見るな」


 俺は言った。


 それだけで。


 リナの視線が変わる。


 アルドも同じだ。


 ルクスから外れる。


 その瞬間。


 圧が、少しだけ弱まる。


「……なるほど」


 ルクスが呟く。


「基準を分散させるか」


「そうだ」


 俺は答える。


「一つに頼るから、止まる」


 それだけだ。


「なら」


 ルクスが言う。


「全部潰せばいい」


 次の瞬間。


 空気が、さらに歪む。


 明確な“殺意”ではない。


 だが、それに近い。


 圧が、広がる。


 全体を覆う。


「……っ!」


 リナが声を上げる。


 アルドも動きが鈍る。


 範囲が広い。


 さっきとは違う。


「……本気か」


 俺は小さく言った。


 いい。


 それでいい。


 ここまで来たら。


「なら、こっちもだ」


 自然と口に出た。


 そして。


 一歩、踏み出す。


 ルクスに向かって。


「……何をする」


 ルクスが初めて聞いた。


 少しだけ。


 警戒している。


 いい反応だ。


「簡単だ」


 俺は言う。


「お前の基準を、外す」


 それだけだ。


 沈黙。


 ほんの一瞬。


 だが。


 確実に、空気が揺れた。


 ルクスの目が。


 初めて、大きく変わった。

ついに“核心”に触れ始めました。


強さとは何か、価値とは何か。

そのぶつかり合いが、ここで一段深くなります。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

もし面白いと感じてもらえたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。


次はいよいよ決着です。

ぜひ楽しみにしていてください。

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