表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能と追放された鑑定士、実は“価値を変える力”で街ごと最強になる 〜評価されないもの全部、俺が使いこなします〜  作者: 影山クロウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/19

第14話 動かす側

「少しだけ、早く動く」


 そう言ったあと、誰もすぐには動かなかった。


 理由は単純だ。


 何をするか、分かっていないからだ。


「……で、何すんだ」


 アルドが聞く。


 リナも同じ顔をしている。


 セレナだけが、少しだけ楽しそうだった。


「簡単だ」


 俺は答える。


「先に動く」


「だから、それが分かんねえんだっての」


 アルドが肩をすくめる。


 当然だ。


 説明だけじゃ分からない。


 だから。


「見せる」


 俺は言った。


 通りに出る。


 さっきより人は増えている。


 だが、まだ足りない。


 流れはできた。

 だが、弱い。


「リナ」


「はい!」


「さっきの続きだ」


「水、ですか?」


「違う」


 俺は首を振る。


「選べ」


「……え?」


「お前が“売れる”と思うものを選べ」


 リナが固まる。


 戸惑う。


 当然だ。


 今までは言われたことをやる側だった。


 だが、今回は違う。


「……私が、ですか」


「そうだ」


 短く言う。


「分からなかったら?」


「分かるまでやれ」


 沈黙。


 だが。


 リナは逃げなかった。


 ゆっくりと歩き出す。


 周囲を見る。


 木片。

 布切れ。

 壊れた器。


 その中で。


 一つ、手に取る。


「これ……」


 古びた布だ。


 だが、厚い。


「理由は」


 俺は聞く。


「……雨、しのげると思って」


「いい」


 それで十分だ。


「売れ」


「はい!」


 リナが動く。


 声を出す。


「これ、使えます!」


 ぎこちない。

 だが、止まらない。


 人が一人、近づく。


「……いくらだ」


 リナが一瞬止まる。


 考える。


「……銅貨二枚で」


「高くねえか」


「……でも、濡れません」


 小さく言う。


 だが、はっきりしている。


 沈黙。


 そして。


「……買う」


 銅貨が置かれる。


 布が渡される。


「……売れた」


 リナが呟く。


 今度は、さっきより強い声だった。


「そうだな」


 俺は答える。


 アルドがにやりとする。


「面白えな」


「次はお前だ」


「俺か?」


「壊す場所、選べ」


 アルドが周囲を見る。


 さっきよりも、真剣だ。


 ただ壊すんじゃない。


 “選ぶ”。


 通りを見る。


 人の流れを見る。


 そして。


「ここだな」


 指したのは、少し狭くなっている路地。


 “バキッ”


 壁の一部を崩す。


 空間が広がる。


 人が通りやすくなる。


「……増えてる」


 リナが言う。


 実際、流れが変わった。


 詰まりが消えた。


「これだ」


 俺は言う。


「止めてる場所を外す」


 セレナが頷く。


「個人じゃなく、全体ですね」


「そうだ」


 それが“仕組み”だ。


 個人じゃなく、流れを変える。


「……なんか分かってきたかも」


 リナが言う。


 いい。


 それでいい。


 そのとき。


「……おい」


 声がした。


 振り向く。


 さっきの店の男だ。


 だが、顔が違う。


「これ……増えてるぞ」


 通りを指す。


 確かに、人が増えている。


 明らかに、さっきより。


「当たり前だ」


 俺は言う。


「動いてるからな」


 男がしばらく黙る。


 それから、小さく言う。


「……他もやるか」


 いい変化だ。


「やれ」


 俺は即答する。


 男が振り返る。


「おい、隣も開けるぞ!」


 声が飛ぶ。


 別の店。


 閉まっていた扉が開く。


 人が動く。


 連鎖が始まる。


「……すごい」


 リナが呟く。


「すごくはない」


 俺は答える。


「当然だ」


 動けば、動く。


 それだけだ。


 セレナがこちらを見る。


「準備は整いましたね」


「ああ」


 俺は頷く。


 街が、動いている。


 もう止まらない。


 少なくとも、簡単には。


 アルドが笑う。


「で、あいつは?」


「来る」


 俺は答える。


「確実にな」


 ルクス。


 あいつは止めに来る。


 必ず。


 そして。


「次は、こっちの番だ」


 準備は終わった。


 あとは。


 ぶつかるだけだ。

「動かされる側」から「動かす側」へ。


少しずつですが、確実に変わってきています。

そして次はいよいよ、真正面からの衝突です。


ここまで楽しんでもらえていたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。

次はクライマックス、ぜひ楽しみにしていてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ