鳥さんブチギレ中
漆黒の壁が、姿を消していく。
淡い光と共に、1人の少年が姿を現す。
「何を……したんですか?」
やっと開いた口で、私は問いかける。
「隠離世で命尽きる神はここに縛り付けられると聞いたので。
魔力で満たした空間内で、先ほどの神にトドメを刺しました。」
「ですが、だからと言ってあの神がこの世界を抜け出すことができるとは限らないのでは━━━━━━」
そこまで言いかけて、口を閉じる。
理屈は納得できないが、空を見上げ笑みを浮かべるその少年が背丈の何倍も大きいものを背負っているように見えtから。
「大丈夫です。きっと。」
それだけ答えて、彼は私を見て笑う。
根拠はないはずなのに不思議とその言葉に宿っている信頼を感じていると、メルペディアくんは吹き出しそうになりながら一言。
「髪、くしゃくしゃになってますよ。」
「うるさいですよ。まさかあんなに攻撃を受けるとは………」
頑張って髪を整えながら、頬を膨らませる。
「さ、帰りましょう。」
そう言って歩き出す彼の後ろを追おうとして、隣を見る。
「あの時に私がしたことは間違いだったのかもしれんのぉ………」
誰にでもなく呟いた花祈翁様が、目を細める。
「彼は、この隠離世の救世主になるかもしれませんな。」
私の方を見て、その視線を前を歩いていくメルぺディアくんへと向ける。
「救世主…………」
いつしか聞いた忘れられない言葉が、鮮明に頭に刻まれる。
「なんでもありませぬ。
この老体では2人の歩く速度に追いつけますまい。先に行ってくだされ。」
寂しげな目を見て、私は頷く。
「また、時々桜を見に来てください。」
「ほっほっほ。次は枯らさないように頼みますぞ。」
言葉を詰まらせながら、私はメルぺディアくんについて歩いていく。
きっとこの子は色々なものを抱え込んで歩いているのだろうと思いながら。
「ただいま戻りましたよ、凪翔。」
「キャウン!」
玄関を開けると同時に、ロックという名前がつけられたらしいそのワンちゃんのジャンプを受け止め、抱き抱える。
「お帰りなさい姉上。メルぺディア殿も。」
「その殿って呼び方やめてください……呼び捨てか、せめてくん呼びの方がありがたいです。」
「では、メルぺディアくん。
お二人ともお疲れでしょうから、今日の昼食はお肉にしました。」
その言葉に、私は固まる。
「えっと………肉というのは豚か牛か………どちらですか?」
「いえ、鳥ですが?」
なぜその選択肢が存在しないのかと言いたげな顔で答えられた瞬間、背筋が凍りつく。
固まった顔を動かして振り返ると、地面や空からいくつもの視線が注がれている。
「わ、私は遠慮しておきます。」
「えぇ!?もったいないですよ?」
もはやさっきの惨状を忘れているのか、メルぺディアくんが声を上げる。
「なにか………死の気配がするので…………」
結局、1人で白米を食べながら疲れを癒すことになってしまったのだった。
こんにちは、こんばんは。羽鳥雪です。
うまい区切りが見つからなかったため、本日は20時すぎにもう1話投稿しようと思います!
今後も不規則な投稿が起きるときはできる限り書いて行くようにいたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。




