表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/103

閑話:史上最強の魔法使い

「あの子は…………元気だろうか…………………」

今にも消えそうな声が、狭い部屋の中にゆっくりと沁み込んでいく。

「なぜそこまで、“あれ“のことを心配するのですか?

“あれ”のせいで、いくつもの街や村が消えているのですよ?

あなたが最後まで面倒を見れなかったのを悔やむ気持ちは理解できます。

けども、この村に住む人々は理解はできても納得なんてできない。」

「…………確かに、あの子のせいでこの村に危害が加えられる可能性は否定できない…………

あの子を助け、魔法を教え込み、幾つもの命を奪う発端となったのは私なのだ。

私が死んだら…………復讐をしようという者たちが現れる可能性はもっと高くなるだろう………………

だがな………人は助け合って生きていかなければならないのだ……………

魔法があるかないかでその人の人生が幸か不幸か決まると言ってもいいほど、魔法は美しい……………

今はまだ見つけれぬかもしれないが……………いつか、あの子も見つけるはずだ……………

美しい魔法を……………」

咳き込む老人を、側に立った一人の男は冷たい目で見つめる。

「美しい魔法があったとしても、それを使う者の心が黒く濁っていては魔法は美しくなれません。

魔法は凶器であり狂気でもある。ただ滅ぼすためにその力を振るっている者が美しい魔法を語ったところで、美しい魔法は穢れていくだけです。」

「そんなこと、わかりきっておる。

だがな、それを最も身に染みて感じておるのは彼女自身だ。

私たちが思っている何倍も、あの子は美しい魔法を追い続けているだろう。」

咳き込む老人の容態を心配することもなく、若者は続ける。

「美しかったとしても、魔法は魔法です。

結局、人を殺して何もかも奪い取る悪でしかない。」

「魔法によって大切な人が死に、自分の身を守るために魔法を扱う私のいる町に来ておいて勝手なことを言うものだ。

そんなにも魔法が嫌いなのであれば肉体でも極めておけばよかったものを。」

「っ━━━━━━━」

呆れたような老人に心の底を見抜かれ、若者の頭には血が上り始める。

「俺は、あんたに死んでほしくなかった。

だが、たった今、あんたが死んでも死ななくてもどっちでも良くなった。」

「私が生きていれば自分の身は守られる。私が死ねば忌々しい相手が消える。

確かに、どちらをとってもお前に都合のいい結果しか残らぬな。」

「お前が死ねば俺は他の魔法使いがいる町に逃げ込むだけだ。お前への感謝なんてこれっぽっちも残りはしない!」

声を荒げて嘲笑する若者に、それでも声を張り上げずに老人は言う。

「やめておけ。この町が燃えることはおそらくない。

この町の外へ出て行けば、あの子の攻撃によって命を落とすかもしれない。」

「黙れ!あんな破壊兵器に思い入れなんてものがあるわけないだろう!」

「実際に話を聞いたこともないくせに、そんなことを言うもんじゃない。

あの子は、ここを攻めるようなことはしない。」

「話を聞いたかどうかなんて知ったことか!

あいつが今までしてきたことを知れば、嫌悪されるのは当然に決まっている!」

「━━━━━もういい。お前にどれだけ話しても無駄だろう。

彼女はここを攻めないという最期の言葉くらいは忘れないでいてくれ。」

息が詰まり、老人は苦しみの声を漏らす。

「きっと……………あの子なら証明してくれる……………

魔法が美しいと。」

ついに命の灯火が消えそうになる老人は、手を伸ばす。

「あの子は………いつかなる………………

魔法によって、苦しむ者を救う………………導き手に……………


史上最強の魔法使いに………………………!」


目元から涙が流れると同時に、その手は力なく落ちた。

こんばんは。羽鳥雪です。今夜はメインストーリーに戻るもう1話を投稿しようと思っています!

22時付近になると思いますが、ぜひお待ちいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ