6.5日目 天女か天使か女神か
目が覚めたら、いかにもな真っ白い空間に私は居た。
いや、私なのか、僕なのかわからない。
目の前に立つ、この世のものとは思えぬ美しさを持つ女性が私を見下ろす。
「して。誰にする?」
……誰にする、とは?
「もう一度言う。あなたの魂はこの世界を救う清らかさがある。ゆえに元の世界で消えゆくのを哀れに思い、この世界に呼んだのだ」
……。
「こちらの世界に大きな干渉をすることは避けたい。それゆえに余計な能力をつけることはできない。そこで、この地に実際住む者に転生させることにした」
「え、実際住む者って。それではその、私が選んだ人の魂? 意識? は消えてしまうということですか?」
「いや、違う。融合するのだ。互いに溶け合い、どちらも欠けぬまま強くなる。この話はこちらに来たときに最初に話したのだが、忘れてしまったのだな」
「そうだったのですね。すみません、覚えていません。そして、今の説明だと、私はこの世界の誰になるのか選ぶために、日替わりで転生していた、と。お試し期間、的な?」
つまり、家族に愛される下町の少年か、裕福だけど鬱屈したご令嬢か、よくわからないマッチョな人か。あと、権力と闇のある美少年と、死にかけの少年、最後のドジな魔女。その誰かになれる、ということ?
「誰かになったとして、私に何か使命とか、義務とかあるのですか?」
「それはない。清らかな魂をこの世界にたすこと自体がこの世界の自浄作用を加速させる。ただ暮らすだけでいい。好きに選べ」
「そうですか」
―そして、私は六人の人生に思いを馳せ、一人、選ぶ。