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1日目 下町の息子

ふと気がつくと、異世界に転生していた。


なにかきっかけがあったわけではないんだけどね。


「おい、クリス! 日が暮れる前にもう一回だけ石蹴りしようぜ!」と友達に呼ばれて、振り向いた先、友達の後ろにある夕陽を見て、(あ、ここ異世界だ)となんとなく思い出しただけ。


前世は日本人だったところまでなんとなく思い出せる。男だったか女だったかさえわからないけど。


ここが異世界だと思ったのは、まあ、空をドラゴンが飛んでたから。


赤茶けた未舗装の道。その道の両端に並ぶ二階建ての建物。それぞれの家のドアは黄色や青、緑などで塗られていて、ドアの前には花が飾られたりオーナメントが飾られたりしていた。二階からはカラフルなドレスを着た女性たちが手を振ってくれることもある。


今の僕の住むコーディアルという町は、ちょっと貧しいけれど色があふれて人々も陽気で素敵な町だなと、前世の灰色の町を思い出しながら少しうれしくなる。


「ヨハン、ちょっとまって」


友達のヨハンと、空き地にたまたまいた同い年くらいの子どもたちと遊んでいて、そろそろ帰ろうという頃合いだ。ヨハンが石ころを大きく飛ばしすぎて茂みに入れたので、見つからなくってそのまま解散。


年齢はもうすぐくる誕生日で八歳になる。


「ただいま〜」


「おかえり、クリス。あらまたこんなに汚して! 家に上がる前に裏庭で靴を洗ってらっしゃい」


迎えてくれたお母さんは、口うるさいけど優しい。夕餉のスープのにおいをかぎながら、玄関先で靴の泥を落とす。早くスープ食べたいな。


「はーい。お父さんは?」


「今日も残業だよ。晩ご飯は一緒に食べられないね」


遅く帰ってくる父親は口数が少ないけれど、子ども思い。


「お姉ちゃんはもう部屋?」


「そうだよ。いつまでもしゃべってないで、早く洗っておいで!」


二つ上のお姉ちゃんは真面目で勉強ができる。春から同じ魔法学園に通えるから、今からいろいろと教えてもらっているところだ。


お姉ちゃんの教えてくれる魔法学はとっても面白い。


下町のアパート暮らしで決して裕福ではないし、僕も別に優秀ではない。でも、この世界は大当たりだ! 優しい家族。気の合う友達。ワクワクする魔法学園。


「この世界に転生してよかった〜」


美味しい晩御飯を食べ、お姉ちゃんに魔法を見せてもらってはしゃいで疲れ、お風呂に入って簡素なベッドに入る。

そして明日が来るのを楽しみに目をつぶった。





そして、朝。


目が覚めると豪華なベッドにいた。

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