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*一章*音の世界
音楽室に響く音。リズムが正確で音に狂いがない。しかし、軽快な曲なのに音たちが重く感じた。
音楽室の外では、野球部の打球音、サッカー部のパスの音、陸上部のピストルの音。どれもが輝いていた。皆どの部活も夏の大会に向けて一生懸命部活に励んでいた。
夕暮れに近い時、音楽室から違う音が聞こえた。ドアを開ける音だった。
「部活終ったよ。帰ろう」
少年の声だった。今まで響いていた音よりも軽かった。
「うん。分かった」
今度は少女の声だった。今まで響いていた音に似て、どこか重かった。
二人で音の発信源-ピアノを閉まっていた。
「じゃあ、鍵返しにいこう。」
二人は職員室まで鍵を返しに行った。