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永遠の愛を誓います

 その後の展開はとても早かった。昏倒から目覚めた尚葉たちによって根黒は気を失ったまま拘束され、そのまま仁沢賀瀬家に連行されていった。恐らくは終生監禁されたまま、尚葉の為に働くことになるのだろう。自業自得とはいえドンマイである。


 あとペキコも根黒と一緒に仁沢賀瀬家へ連行されていった。だが尚葉によると化け物と化したミカンさんのスペアに食われた尚子よりも遥かに見込みがあるらしく、根黒さえいれば従順なペキコを気に入ったとのこと。これから十分に自分の色に染めた上でゆくゆくは仁沢賀瀬グループを継がせようと目論んでいるのだそうだ。………想像すると、とても恐ろしい計画だが、とりあえず俺に関係なければ敢えて何も言うまい。一応事態は収束した、みたいだ。



「ご苦労だったね。一時はどうなるかと思ったけど、ちょっとは役に立ったじゃないか」



 目的を達成したことに満足そうな尚葉が俺に向かって呟いた。俺は尚葉からミカンさんを後ろに隠すと、キッと睨み付ける。すると俺の意図に気づいた尚葉がフッと笑った。



「心配いらないよ。その小娘に用はない。私たちがアンタたちに手を出すことはもうしないよ」

「本当だろうな」

「疑り深い男だね。あとはボディガードの話だけど…」

「お断りだ、もうアンタとは関わりたくない」

「フン!食えない男だね。そんなことだろうと思ったよ」



 そういうと尚葉は取り巻きの一人に命じて俺の前にアタッシュケースを二つ持ってこさせた。そして取り巻きは(おもむろ)にアタッシュケースの鍵を開ける。ケースの中には札束がこれでもか言わんばかりに詰まっていた。



「報酬だよ、とっときな」

「……えっ………??こんなに?」

「何だい、文句あるかい?」

「まさか偽札じゃないだろうな?」

「アンタ、私を何だと思ってるんだい!?ご祝儀代わりも兼ねてるんだ!失礼なこと言うんじゃないよ!」

「ご、ご祝儀…?」



 俺は思わずミカンさんの方を向いた。俺と目が合ったミカンさんの頬が紅潮している。まあ確かに根黒がいなくなったらミカンさんの居場所も無くなる訳だし、そうなるとミカンさんの引き取り手は俺しかいないってことだよな。



「あ、これからもよろしくお願いします」

「は、はい!不束者ですが、これからもどうぞよろしくお願いします」



 俺とミカンさんは同時に頭を下げた。俺はハッとすると、ミカンさんと再び目が合った。そして思わず笑い合う。こんな俺が自然と優しい気分になれるのは、やはりミカンさんが居てこそだろう。ミカンさんの出自が何だろうが関係ない。俺はミカンさんのことを真剣に愛していたのだ。今の俺にはやはりミカンさんが必要なのだ。決心した俺はその場に(ひざまず)くと、ミカンさんの右手を取った。



「ミカンさん、改めて俺と結婚してください」

「はい!もちろんです!私も半田さんと一緒になりたいです」



 ミカンさんからプロポーズの返事を聞くと、俺は再びミカンさんを強く抱き締めた。背後から尚葉の咳払いが何度か聞こえたが、敢えて聞こえないフリをする。



「けっ!!勝手に二人の世界にいった上にお熱いところを見せつけやがって。あばよ!!勝手に幸せになりな!」



 尚葉は捨て台詞を吐くと、取り巻きらを引き連れてそのまま去っていく。俺とミカンさんはというと、もうしばらく二人だけの時間を堪能した。


 さて事の顛末は仁沢賀瀬グループの手で揉み消されるみたいだ。マスコミやらSNSが嗅ぎ付けているが、結局証拠は全て抹消された上、警察も仁沢賀瀬家に逆らえないのでこのまま風化しそうだ。根黒とペキコがどうなったのかは知らないが、何もない以上は元気?でやっているのだろう。

 デスマリッジ結婚相談所は影も形もなくなったが、俺には掛け替えのないものが確かに得られた。俺のこれまでの婚活は決して無駄ではなかったのだ。今はそう信じている。


 …………………………………………


「本日は私たちの結婚式にご列席くださり、誠にありがとうございます。私たちは、病めるときも、健やかなるときも、生涯お互いに支えあうことを誓います。未熟な私たちですが、末永く見守っていただけますと幸いです」



 そしてほんの僅かな時の後、バウンティハンター仲間ら列席者の温かい拍手に迎えられ、俺とミカンさんは永遠の愛を誓い合った。

ご一読ありがとうございました。

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