その後
翌日坂本くんを職員室に呼び出して大量の紙片を返却しつつ、ちゃんと「本当にあったこと」を書くようにとやんわりと注意しておいた。
さすがに申し訳なさそうな顔はしていたけど、日記の内容自体は面白かったと伝えると途端に笑顔になっていた。
時々他者が思いもかけないようなことをしでかすけど毎回悪意は無くて、注意されればどうして注意されたのかしっかり理解して反省できる。
悪意が無いから余計に面倒な事態になったりもするけど、そんな素直な所が周りに好かれる理由の一つなんだろうなあ。
そんな訳で。
人に迷惑を掛けるようなことは注意しなきゃいけないけど、そうでなければなるべく個性として伸ばしてあげたい。私はそう思った。
とんでもない日記だったけど、そこを気づかせてくれたという意味では私にとっても学びのある体験だったのかも知れない。
ありがとう坂本くん。でももう二度とやらないでね。
ちなみにその後、あの紙片を使った文章作りがクラスでプチバズりしていたよ。
でも当の坂本くんは、友達の作る文章を楽しみながらも流行ったこと自体には頓着が無い様子で、むしろ次に何を調べようか?何をしようか?ってことの方に考えが向いているようだった。
次は何をするのだろうとか。
大掛かりなことじゃないといいなとか。
そもそも私を巻き込まないで欲しいとか。
そんなことを考えながら坂本くんの次なる思いつきに戦々恐々としつつ、それでもほんのちょっとだけ楽しみな気持ちも抱えながら、今日も私は彼ら彼女らとの時を歩んでいくのであった。