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48.トランプの意図

猫に戻って!本当に!


「みんな構えろ!俺が行く!」


姿勢をとるように指示を受けると同時にオスクリタは怯む様子もなく攻撃を仕掛ける。こういう所はさすが上級貴族って感じよね。肝が据わってるっていうか、怖いもの知らずっていうか。


「クララはオスクリタの援護!エイミーは治癒魔法の準備を!」

「「はい!」」


「ベイリー、始めろ。」

「わかってる、致命的場所探知(クリティカルサーチ)!」


は、初めて聞く魔法だ!先生が教えてくれた魔法は先生が専門とするものや昔の基本魔法。だから最近できた魔法なのかも!


ついワクワクしてしまったけど、そんな状況ではないわね。援護しないと!


放出準備(インカーテーション)閃耀(フラッシュ)


いつもよりも多くの魔力を込めたためか格段に明るい光が放出されて、怪物へと向かう。しかし体に当たった瞬間、風前の灯火となり、やがて消えうせた。


うそ!き、効かない!初級魔法じゃ、ビクともしないわ!

これ、本当に入学試験?いくらチーム戦だとしても平民だって混ざっているのに、レベルが高すぎるわ。


仕方がない、ここは少しやりすぎだとしても、


「オスクリタ様下がって!永遠の(エターナル)深淵(アビス)!」


素早く後ろへと下がったオスクリタの全面が底の見えない大きな深淵で怪物を覆い隠す。かなり全力で打ち込んだわ。これは効くかしら。


数秒してドン、ドン、ドン、ドンという音と共に砂ぼこりが洞窟の中を支配する。


一度は咄嗟に目をつぶってしまったけれど、何とか目を開ける。そして私の瞳に映ったのは破壊された淵と怪物の大きな影。


いやいや、さすがに初級はともかく中級魔法で効かないのはおかしいって!


「クララ、今何したの?」


近くまで下がってきていたオスクリタが目を擦りながら問いかける。あー、どうしよう。


「先程よりはちょっと強い魔法です。」


嘘はついてないからセーフ。疑わしい視線をさりげなくスルーしているとベイリーが大声出した。


「急所がわかったわ!背中にあるくぼみとくぼみの間に異物がある。それを破壊すれば倒せるはずよ!」


すごい有益な情報を貰ったわ。私も役に立たないと。今こそ見せ場を!と言いたいところだけど、さすがにこれ以上、目立てないわ。


ベイリーの発見に「あ、ありがとうございます……。」と返事をするエイミーと再び構えを取っているオスクリタを横目に考える。


目立たなくても、倒せる方法。

そこでパッと永遠の深淵が頭をよぎる。これならいけるかも。首席は無理かもだけど。


「……オスクリタ様、ベイリー様の所までお下がりください。エイミーも後ろに。」


すぐ側で険しい顔のオスクリタと少し後ろで震えているエイミーを巻き込まないために後ろへと誘導する。


私の静かな剣幕に押されたのか大人しく下がる二人を確認して私は前へと進む。


「ク、クララ!?」


エイミーは優しいものね。すぐに心配そうな音をあげて顔を少し歪めている。だけど構わず進み続ける。


「黒猫さん黒猫さん。私が素晴らしいショーを致しましょう。」


そして小さく口を動かし魔法を発動させる。


「……さぁ、ご覧あれ!」


再び永遠の深淵が飛び出してくる。でも、今回はそう簡単にやられはしないわ。


私が足を踏み出した時、頭に言葉が浮かんだ。初めの怪物……怯えて逃げていった怪物の言葉。確か……


「アプアーミーンズ?いや、アピアーミーンズかしら。」


思い出しながら口にするとビカっと私の手元を中心に光が覆い被さる。え?


そして光が消えると手にしていたのは……聖杯?一体なに?

それもつかの間、水が現れ、みるみる増えていく。


「ち、ちょっと、溢れるって!」


そういったところで水がおさまることは、ない。手に冷たさを感じた時には地面にも垂れていて、反対に勢いを増していく。


これ、攻撃になったりする?


対象物(オブジェクト)増加(インクリース)


対象物……この場合は水を増加させる魔法を発動させる。すると思った以上に増えてしまって、不思議と怪物のいる深淵へと流れ込む。


永遠だから意味ないかも?まぁいいか。なんでこんな事になったのか、わからないけど、


「みんな!出現手段(アピアーミーンズ)と唱えて下さい!」


後ろの様子は見えないけど、混乱しているのはわかる。でも、こっちから目を離すことも出来ない。

足を踏み出す。一歩、また一歩と深淵に向かって。


「底が見えない。永遠だもんね。」


そして足が地面のない空気へと差し出され、私は落下した。

落ちて、落ちて、底なしの淵へと沈む。


速力増し魔法(スピードアップ)


さらにスピードがあがり、このペースだとあと数分で怪物に追いつくわね。ちなみに聖杯は置いてきた。というより、水が消えて欲しいと願ったらスーッと消えた。


というか体勢、立て直そうかしら。今、頭から落ちてるから怖いんだけど。結果、とりあえずうつ伏せの状態で安定した。怪物に追いついても受身を取れるからね。


途端、ピチャリと冷たい水滴が頬を濡らした。私が聖杯から出した水ね。ということはそう遠くはないわ。


─────────ガリガリ!ドンッ!


とてつもない音がしたわね。いずれわかるはずだわ。

……黒い影が見えてきた!魔法を展開!先生から教わった渾身の一撃を今、この瞬間に!


真冬の(ウィンター)航跡波(ウェーキ)!!」

ギリ間に合わなかった……ごめんなさい。

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