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46.魔法を使う平民

うーん、本当に何もないな。私とエイミーの一足先を行くベイリーとオスクリタも特に変わったところもないためか仲良さそうに話をしている。


「ねぇ、あれ、なんかある?」

「ん?」


エイミーがずっと先の方を指さした。んー、よく見えないな。聞くところによるとエイミーは生まれつき目がいいらしい。少し足早に駆け寄る。


そこには四枚のトランプとまた何かが書かれた紙があった。


「またなんか書いてあるな。……結晶を出し、力を込めよ……?なんの事だ?」


オスクリタが読み上げて首を傾げる中で私は考え込む。

結晶を出す。力を込めよ。わかりそうで、わからない。


「あのさ、結晶を出すってさ、勉強に関わってたりしないかな?努力の結晶とか言うから。」


確かに!さてはベイリー、お主は天才だな?


「ベイリー様、すごいですね、全く思いつきませんでした。」

「そうかな?ふふ、ありがとう。昔から柔軟に考えるなぞなぞのようなものが得意なの。」


うぐっ!悪意はないんだろうけど、私の欠点を突かれた。少し前になるけど先生に言われたの。


「姫様は勉学に対しての才能はおありですが様々な方面から考える……言わば謎解きのようなものには苦手意識があるようですね。」


実は結構傷ついた。本当のことだから仕方ないけど。


「なら、力を込めるってのは、魔法のことか?」


おや、こちらにも天才さんがいましたか。私、実技点ゼロとかで首席どころか入学も危ういのでは?


「このカードに魔法を使うってことですよね?それなら……風、じゃないでしょうか?」


三人ともキョトンとしている。そんな姿を見ながら私はさらに説明をつけ加える。


「この穴に入ってきた時のことを思い出してください。ここはかなり深いところです。一見、戦闘などによる地上への被害防止のようにも見えますが、入学前の子供の実力なんてたかが知れてるはずです。

となれば他の理由があるはず。それならば、ここまでの間、一番感印象に残ったこと……それが私にとって風でした。風を強調するためであれば長い入口にも説明がつきます。」


少し……だいぶ無理やりな気もするけど。けど、子供が考えられるとんちと言ったらこんなもんだと思うの。


「そうだとしたら困ったな。俺は風の属性が弱いんだ。全くではないがあまり力にはなれない。」

「私は属性があるよ。でも、魔力が少ないからオスクリタの分ほど補える自信はない。」


そうだよね、ベイリーは下級貴族だもんね。それぞれに差はあるけど少なかったとしても特に驚くことはない。


「なら、私が補います。」


私が申し出るとびっくり!と言ったように大きく開かれた三人の目がこちらを見つめる。


「クララ、平民だろ?そんな魔力はないはずだ。」

「えっと、なんだか謎に適性が強く、魔力量もそこそこあるので心配は無用です。」


私は胸を張って言い張るけど、ベイリーとオスクリタは信じられないと言ったどうにも元気のない姿を見せる。エイミーは信じてくれているのか目をきらきらさせている。


「では一度、証明して差し上げます。」


少しだけ面倒くさくなっちゃって、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ鋭い語気で言い放つ。


放出準備(インカーテーション)閃耀(フラッシュ)!」


ここは無難に初級魔法にしておかないとね。でも、実力があるっていうことは、わかってもらわないと、いけないから、初級魔法の中では難易度が高い、太陽の魔法にしておきますか。


「「……。」」

「……すごい!クララちゃんすごいよ!なぁに?今の!私、一つだけ魔法使えるけど、こんなにすごくて綺麗な魔法、見たことない!」


天才貴族の二人は驚きのあまり押し黙り、エイミーはすごいすごいっ!てまくし立てる。


それからオクリスタとベイリーの二人も信じてくれたことから、さっそく実行することとなった。


「それでは、いきます。……砂漠の風(デゼルトウインド)!」


フワッと私の髪がなびく。この魔法は風属性の魔法で、訓練中に先生から伝授したの。だんだんと風が強くなり、渦のようなものができる。簡単に言えば小さな竜巻。本当の砂漠で吹いているものほど大きくするにはそれなりの魔力が必要だけど、今はする必要もないし、怪しまれる原因を作りたいわけでもないからね。

……しようと思えばできちゃうほどの魔力はあるんだけど。


するとトランプが宙で孤を描き、一人一人の前へ一枚ずつ置かれていく。わ、私がやったんじゃないよ!勝手になったの!


魔法を解除したことから風がどんどん引いていく。

トランプの配置は、私がハートのキング、エイミーはスペードのクイーン、ベイリーはダイヤのジャック、そしてオスクリタはクラブのクイーン。


「なんだ、これ?」


オスクリタの問いかけに答える者はいない。いや、答えられるものはいない。ここにいる私を含めた四人が共通して抱いている疑問だから。


正直、この謎解きの意図が感じられない。沈黙が場を支配する中、それを切り裂く者が現れた。それにいち早く気がついたのは意外にもエイミーだった。


「ん?誰か、います……か?」


その声を合図とし、エイミーが声を向けた方向へ視線を向ける。しかし何もなく、失敗したぁ、とエイミーは顔を赤く染める。


なぜ?寒気がする。念の為もっと意識を集中させて。周りの見えないところまで感知する。


……なに?この反応。すごく強く魔力を感知してるんだけど。あ、もちろん班のみんな以外でね。


「……!?みんな!走って!」


上の方、微かに遠くからの音が聞こえて危険を察知したことから逃げるように促す。

少し後ろでみんなの後を追っていた私は魔法を展開する。


氷壁(アイスウォール)


上方に魔法を展開し、自分の身を守る。その間にも三人は遠くへ離れていき、こちらを心配そうに見ている。このくらい離れていれば被害もなさそうね。


「ウオアアアアアア!!!」

トランプのマークと数、意味あるんですよ。

無意味に考えるのが苦手なんです……。

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