45.なかよし?四人組
「それではルールを説明します。」
待ってました!と言わんばかりに受験生の大半が一斉に先生の方を見つめる。もちろん私も。
「学園側で指定したチームに別れ、謎解き等をしながら協力プレイをしてもらいます。謎解き、戦闘、様々な観点から個人を評価していきます。チーム対抗だからといって気を抜かぬように。」
「「はい!」」
なるほど、個人的には頭を使って、戦闘力も必要ということに興味があるかな。一体どんなものなんだろう。
「時間制限はありません。リタイアも可能です。しかし、危険だと判断した場合は強制リタイアとなる場合もあります。
それでは入口の方へ移動しましょう。」
言われるがままについて行くとそこにはただ一つ、地面の中へと続く穴があるだけだった。
当然周りはざわつき始める。みんな「これなんだ?」とか「一体何が始まるの?」って。さすがに私も同感かな。
「皆さんにはこの中で鯖次試験をおこなってもらいます。」
ここにいる学園関係者以外の誰もが驚きに目を白黒させる。あ、穴の……中?この奥深くに続く?
「それでは、開始です。」
短い一言で開始をうながす。その途端理解したと思われる受験生たちが目に怯えの光を灯しながら強く踏ん張らせた足を踏み出そうとしている。
─────────数分後
冷たい空気が私を逆撫でするように過ぎていく。正式に言えば私の方が空気を切り裂いているけど。時間は少しだけ遡る。
その時は突然だった。それはある一人の行動によって始まった。みんなが躊躇っていたあの穴。そこに一番初め、足を踏み入れた人物。
「……邪魔。」
「あっ、ご、ごめんなさい!」
あの時の男子受験生。まさに冷気を出しているような雰囲気のその人は怯えた様子なんて一度たりとも見せなかった。
一直線に穴へ向かったと思ったらそのまま足を止めることなく下へと落ちていった。
本日何度見たかもわからないほど、たくさん見た表情───目をさらにしたようにして驚いた顔をしたままシーンとした空気が続く。
それから後を追うようにして次々と降りていった受験生達は誰一人として怪我をしなかったようだった。
その事実に背中を押されてさらに入っていく。私もつばを飲み込み地のない場所に足を踏み入れる。
すると地面のない垂直の穴に落ちていく。正直かなりヒヤリとした。やがて段々と傾斜ができて、滑り台の形になる。始めは急でスピードもあったが、緩やかになっていくにつれて比例するようにスピードも落ちていった。
思わず目をつぶっていた私はいつの間にか体がピタリと止まっていることに気がつく。
……ん?どうなったの……?
ゆっくりと目を開けると洞窟のようだった。しかし明かりは灯っていて視界に異常はない。いくつかの扉があって番号のようなものまで付いている。
「なぁ、これからどうすればいいんだ?」
「お前、何か知ってるか?」
「し、知りません!すみませんすみません!」
一人で途方に暮れている人もいれば貴族が平民に問いかけて怯えてしまっている人もいる。きっとそんなつもりじゃないんだろうけどね。
「……。」
初めに穴に入った男の子は視線を私に向けたかと思うと目的があるかのような不自然さである場所を見つめる。その先には紙のようなものが張り付けてある。
「……!?みんな!あれを見て!」
紙の方に指を指した私の声にみんなの視線も紙に向く。
「なにあれ?」
「えーっと、チーム表?」
「もしかしてチームのメンバーが書いてあるんじゃない?」
よく見てみるとたくさんの名前がいくつかのかたまりに別れてチーム対抗のチームと捉えることもできる。
「よく見ると裏にも文字が書いてあるよ!」
一人の少女が口にする。その言葉に衝撃を受けみんなで確認をする。そこには確かに何かが書いてあって上級貴族だと思われる男の子が代表して読み上げる。
「えー、ここに記されているものは今回の実技試験でのチーム表である。そこに書かれている番号のチームでとなじ番号の扉に入ること……だって。」
意外とシンプルね。チームでそれぞれの扉に入って進むだけ。学園の試験がそう簡単だとは思えないけどね。
「とりあえずその通りにしてみませんか?そうしないと、何も進まないですし。」
私はクララ。何の変哲もない平民の子。だから下手に偉そうに言っちゃダメよね。すっごく慣れないけれど。同い年の子に敬語を使ったことなんて初めてかもしれないわ。
みんなが賛同してくれたおかげでチーム活動が開始された。
─────────チーム二
私は二に割り振られた。メンバーは私……クララ、エイミー、ベイリー・シャロム、オスクリタ・エスペランス。平民二人と下級貴族、上級貴族の四人。
「なんで男子が俺だけなんだよ!」
「仕方ないよ。ほかの班でも似たようなところあるし……。」
シャロム子爵家のベイリーとエスペランス辺境伯家のオスクリタは身分の差があってもそれなりに仲が良いらしい。普通はこの歳の上級貴族はほかの人を下に見るのにそれをしない所を見ると、結構な人格者なのかも?
それでも私とエイミーは何も言えないけど。
「なんか、すごい人たちと一緒になっちゃったね。」
「……うん、そうだね。」
同じ境遇ということでいつの間にか仲良くなっていたエイミーがコソコソっと耳打ちしてくる。
……エイミー、あなたホントすごいよ。下級貴族、上級貴族、私の本当の姿は王族。すごい人たちと一緒になっちゃったね。私のことは知るよしもないだろうけど。
ただいま扉から進むこと体感十分ほど。何もない!ほんといこれ、どういうことなの!?
ほかの物語と同時進行中です。
いつか投稿したい……。




