38.魔力測定
「では先生、魔力測定から、お願いします。
ふふ、きっと、いえ、確実に驚きますよ。」
キョトンとしている先生を見ているとなんだか笑いたい気分になる。それを堪えていると
「わかりました。驚く……ですか?王族であることは十分承知ですが……。」
「それでも、です。」
また笑ってみせる。なんだか面白くなってきちゃった!こうしたら散々楽しんでやろう!ふふ、楽しみだな。先生の驚く顔。
そしてとうとうその時。
「こちらの紙が測定器になります。属性や魔力量だけではなく、契約済みの妖精やおこなってきた功績なども表示されます。」
なんて余計なことをしてくれるの!これでフォーリャのことも話す前提になってしまったじゃない。
測定器は薄い紙切れだった。私の手のひらよりも少し大きいくらいの幅の紙が長く長く続いている。四角を作り出すように線で区切られていて、長方形も正方形もある。
「では、手をこちらに。」
恐る恐る手を伸ばして触れてみる。すると前のように何かが流れ出る感覚に陥る。やっぱり魔力が放出される感覚だったのね。
うわぁ〜!紙の正方形一つ一つに色が浮び上がる。綺麗だわ。えっと、緑がいちばん多いわね。ということは緑が植物の属性かしら。フォーリャと契約しているし。
次に高いのはオレンジ色、その後は黄色、茶色と青が同じくらいの濃さで浮かんだ。
続いて長方形。魔力量は三百四十。契約にはもちろん葉の妖精ことフォーリャが表示されていた。
結構わかりやすく、正確に出るんだなーと思ってみていたら、隣からドン、と何かが落ちるような音がした。隣を見てみると、
「うわぁ!先生!」
先生がまたもや倒れていた。驚く顔どころじゃなかったわ!急いでフィーナに来てもらったけど、また助けて貰っちゃったな。
……心労をかけてごめんなさい、先生。いつもありがとう、フィーナ。
その日の授業後は自習……の前にのんびりとティータイムを過ごしていた。
私はカップのすぐ横に座っているフォーリャに向かって話しかける。
「ごめんね、フォーリャ。あなた達にまで迷惑かけて。」
「んーん、大丈夫。今回は仕方がないよ。」
そうは言ってくれているけれど、申し訳ない気持ちでいっぱい。そんな私に気が付いたのか、「ほら、自習するんでしょ?」と優しい声で言ってくれた。
やっぱり契約してよかったな。
─────────次の日
「先生!課題を出されていたところ、全部終わらせてきました!ちゃんと文法も公式も、全部頭に入ってますよ。」
「……それは結構。」
「なら、早く実技に移りましょうよ!」
私は早く、早く、魔法打ちたい、と目を見ながら熱を送る。
「えー、まず詳しい事を聞かなければ移れませんね。」
そーなるよね。はい。大人しく聴取受けますよ。
「どこからですか?」
「魔力量、妖精との契約、全てに属性があることについて。」
「うーんとですね、妖精との契約は成り行きで、魔力量は不思議な物の影響で、属性については知りません。
ということで実技やりましょう!」
はぁ、というため息が聞こえてきた。
「聞きたいことはその成り行きにその不思議な物、そして属性を誤魔化すのではありません。」
「いやいや!本当ですって!知らないんです、属性は何も!」
「だったら他のことを詳しく教えてください。」
そうして事細かに話すこととなった。フォーリャとの出会いから目が覚めるとたまごを持っていたことまで。あんまり詳しく喋りすぎて、聖霊様に怒られたら困るからね。
「ふむ、なるほど。」
意外とあっさりね。前みたいに真顔で倒れるかと思って心配したよ。せめてふらついたりすると思った。
「そのフォーリャ様とやらは今もこちらにいらっしゃるのですか?」
「はい、私の肩に止まっていますよ。」
「なぬっ!?」
私が手を差し出すとそこにちょこんとフォーリャが座る。
「ねぇねぇフォーリャ。せっかくだから先生にも可愛いフォーリャの姿を見て欲しいのだけれど、どうにかできないかしら?」
「そうだねぇー、あたし頑張ってみる!」
「うん、お願いね。」
「フォーリャ様は何と?」
「先生にも見えるように頑張ってみる、だそうですよ。」
先生の顔がまるで子供のように崩れる。なんか小動物に見えてきた。手の上ではうーん、と唸りながらなにやらバンザイしたり、服をいじくったりしている。
フォーリャが髪の毛のシュシュに触れた瞬間、何かが起こった……ようにみえたんだけど、特に変わったところはないわね。でも気のせいではなかったみたい。
「おお!なんと可愛らしい妖精様なのでしょうか!過小評価していたつもりはありませんが、予想をはるかに超えてこられましたね。その服の素材、すごく……」
いつぞやのフォーリャを思い出すよ。ほら、契約して私が髪の毛を結い終わったあとの。ベラペラと出てくるフォーリャの称賛言葉に耳を塞がながら気になることを尋ねる。
「フォーリャっ!どうやったの?というかなんで見えるようになったの?」
見た目だってどこも変わった様子はないのに。
「魔力を頑張って引き出したの。少しクレアちゃんの方からも削られちゃったかも。ごめんね。」
「平気よ、私がお願いした側だもの。」
それからしばらくして授業が再開された。初めは座学。首席を目指してさらなる学力向上!
そしてこの後は実技。楽しみだわ!




