34.ステラ可愛いっ!
「増えた、信じられないほどに。総量は王族では収まらないし、妖精、いや精霊に匹敵するくらいだ。」
王族とは程遠かった私の魔力がそれ以上。驚きすぎて逆に冷静でいられるわ。何も考えられないけど。
「そうなのね……。ソレーユは相変わらず光しか見えないのだけれど、ヌーベとソルは姿が見えるようになったのと関係あるのかしら?」
「あぁ、俺は事情があって一時的に実体化を解いているが魔力が増えたことで妖精の姿は見えるようになったというところだろう。」
「そう……あっ、あのたまご型のもの、どこにあるの?私、そろそろ帰らないと。」
「消えた。」
はい?消えた?消えたって、なくなったってことよね。至っていつも通りなソレーユの言葉に私は驚きをあらわにする。
「消えたってどういうこと?」
「話はまだ途中だ。落ち着いてから詳しく話す。」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。私はこれでも王女。取り繕わなければいけない。弱点を見せては、いけない。
「大丈夫そうだな。これからはあくまで予想だ。
俺……俺たちの考えとしてはクレアがたまごの魔力を吸収したってことだ。根拠は二つ。たまごが消えたことと、クレアの魔力が格段に増えたこと。」
まさにその通りだと思う。自分では魔力が増えた実感がないけど、あの流れ込んできたのが魔力なんだと思う。結局は私が得したってことよね。
「なるほどね。多いに越したことはないわ。」
これで花の長期保存ができる!あとで精霊様の誰か……いや!葉っぱの妖精のフォーリャに聞こっと!詳しそうだもの。
ところで、心配点がいくつかある。これ帰ったら私はお説教コースだと思うの。フィーナには絶対バレちゃいけないと思ってたけど、みんなのことを話しちゃいけないかしら?
「ねえ、私の側仕えにみんなのことを話してもいいかしら?」
お説教がいやなだけじゃないからね。これから隠すのも大変だし、でも騙すようなことはしたくない。
「できる限り避けてほしい。人間とはあまり関わりたくはないからな。クレアが悪い奴ではないということは記憶映像化魔法でハッキリとしたが全員に使う訳にもいかんし、完全に人間のことを許せたわけでは……」
「私に仕える人は護衛を抜くと一人しかいません。なのでその辺は大丈夫です。」
「記憶の中にでてきたあの人間か……だが、」
私はラント様の話を割り切って言葉を切り出す。精霊様視点でたてば気持ちも理解できるが、これ以上、聞いている勇気は持ち合わせていなかった。
「私のメイドのフィーナは!誰よりも優しくて、一生懸命で……。私が助けた亡き妹の恩返しとして一人で業務をまかなってくれて。私が彼女のことを保証します。」
本当は騎士団のみんなにも話したかった。でもこの空気では無理そうだと判断した。時期を待てばいずれは話せるはず。もう少しの辛抱よ、クレア。
「あたしもクレアちゃんに賛成。あたし見たもん。クレアちゃんに仕えるあの女の人を。あの人なら信用してもいいと思う。」
ここで意外にもフォーリャが前向きな意見を出してくれた。
このままみんな巻き込まれちゃえ!
「わたしはみんなの意見に従うよ〜。そこまで人間が嫌いなわけじゃないし、教えても教えなくても大丈夫。
スーはどうかな?」
ルーチェは軽い感じで意見を述べた後、端の方で大人しくしていた星の妖精見習いのステラに声をかけた。
「スーは反対!だってヌーベが連れてきたんでしょ!信じられない!」
「スー、違うよ。連れてきたのはあたしだよ。」
この会話で気になったのはステラちゃんが気の強い子だということ。そして私との出会いについて勘違いしてて、ヌーベのことをあまり好いてないっぽい。
「あ、そぉ……でもでも!人間なんでしょ!人間はダメ!」
「私も人間だよ。」
私はすかさず伝える。なにかすれ違いがあるといけないと思ったから。それによって仲が悪くなっちゃったら嫌だもん。
「え……えぇ!!」
今更!?というように驚いていた。一体私を誰だと思ってたんだろう。
「人間を模した他領の妖精じゃないの!?」
あらま、これはまたすごい勘違いだ。そして私は全てを丁寧に説明した。人間、しかも王族であること。念の為今回あった魔力の増量についても伝えておいた。
「……そーなんだ。ち、違うもん!勘違いしてないもん!他に間違って考えてる人のためにわざとやったんだよ!」
「はいはい、偉いなー、ステラ。」
先程とは打って変わった様子で弁明し始めたステラにソレーユがなぐさめる。
「む〜、子供扱いしないでください!」
知ってるよ、このキャラ。いわゆるギャップ萌えってやつでしょ?前に物語小説で読んだの。
見た目はおてんばの明るくて、誰とでも仲良さそうだけど実はそんな事なかったり……。
「よしよし、そっちの方でルーチェやフォーリャと訓練でもしろ。」
「ちょっと!あたしはクレアちゃんのそばから離れないからね!」
今度はフォーリャの方がほおを膨らませて大きな声で宣言した。そしてだんだんと自信がなくなっていくように俯き始めた。私もソレーユと言い合おうとなったらちょっと気が引けるな。
「俺がうまくまとめとくから安心しろ。信用出来ないか?」
「……わかった。信じてるもん。」
俯いた顔を上げた時には清々しい笑みがこぼれており、近くにあるという訓練場へと向かって行った。もちろんルーチェとステラを連れてね。
「さてと、で?どうすっかな。」
「一つ、意見があるのだけれど。」
ここで案を出したのは静観していたルーナ様。ここにいる全員がその「案」に耳を傾ける。
「セルに来てもらいましょう。」
最近の数話、ごちゃごちゃしちゃってると思います。すみません……。




