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30.記憶映像化魔法

「はぁ、全くその通りだな。記憶映像化魔法イメージングメモリーを使う。準備しろ。」


はい。またわけわからないのきた。こうなるってわかってたけどね。ふぅ、さっぱりだよ。……と言いたいところだけど、なんとなくわかっちゃったかも!


そのまま記憶をイメージするってことだと思うんだけど、どういうことだろう。あー、やっぱわかんない。


「クレア、ラント様に信じてもらうために、記憶を映像化して覗くことなる。構わないか?」


あー、はいはい。イメージングメモリーってそういうことね……って!嫌よ!記憶を覗かれるなんて、恥さらしみたいじゃないの!


「ええ、信じてもらうためだもの。」


あーもうだめだ、口が言うこと聞かない。取り返しがつかないわ。早く心の準備をしないと。


「そこに座れ。」


ラント様の指さす先は、横に長いベンチのような椅子だった。木製でできていると思われるその椅子には、温かみがある。


「違う。もっと向こうに座りなさい。」


奥側の端っこに座るように促された私は、素直に移動していく。動き終えた私がピタッと止まった瞬間、体がグラッとして意識が途絶えた。


──────ラント


儂は神様に仕える植物の精霊。かつての植物の精霊は人間……特に王族に散々こき使われ、殺されかけたという。

だから、儂は何があっても認めん。皆してあの姫さんの味方をするが、記憶映像化魔法でわかるはずだ。フォーリャも直に折れてくれるであろう。


ただ、疑問もある。フォーリャが儂に反発してまで守ろうとするわけ。ソレーユが味方になる理由。ソレーユの先代だって聞くに絶えないことをされてきたと聞いているのになぜ、人間である姫さんにつくのか訳がわからぬ。


「違う。もっと向こうに座りなさい。」


記憶映像化魔法は相手の意識を奪うことになる。意識が途絶えた瞬間、体に力が入らなくなるから真ん中だと上半身のみ落ちる形となり、かえって危ないだろう。反対に、向こう側の端にいれば、近くにいるソレーユが落ちさせやしない。


おほん!別に人間である姫さんを心配しているのではない。

儂が正しいという証明のめだ。決して、怪我を案じているわけではない!


姫さんが端に移り終わったのを確認すると、すぐさま魔法をかける。普通の妖精ならば無詠唱魔法など使えぬのだが、精霊だからな。当たり前だ。


「ちょっとラント様!いきなりじゃなくてもいいのではないのですか!?」


フォーリャが驚いたような声を上げる。


「準備ができたようなら始めるまでだ。」


ソレーユ、なにをため息ついているのだ。時間ロスは戦場において一番してはならないことだ。一秒でも早く敵の攻撃に気がつけば防ぐことも可能だからな。


「始めるぞ。」


儂が手をかざすとぽわんと光が出て、やがて薄っぺらい四角となり、拡大をしていく。見えやすい大きさになると拡大をピタリと止め、色が出てくる。そこに写ったたのは現在の王と、その妃だと思われる人間が映し出された。


ふん、やはりそうだ。そうやって悠々と過ごしていたに違いない。


それからも愉快に花摘をしたり、茶を楽しんだり、呑気な生活をしていたもんだ。


決定だろ、これは。映像化を閉じようとしたがその次に映し出されたものは衝撃的なものだった。


先程まで楽しそうに話していた姫さんの妹が突然おかしくなった。かなりおかしいぞ、これは。まるで、()()()()()()()()()()ようだ。これはまだ、閉じることはできそうにない。


次から次へと幸せが崩れていく。特に印象が残ったのは、王宮から抜け出した場面とその後。下町の人間にはそんなに人間思いの奴がいるのか。年端もいかぬ少女と少年。姫さんに仕えていて、支えてきた「ララ」という人間。


父親からの暴力も気になるな。あれも妹と同じ症状のように思える。これは、なかなかに興味深いかもしれぬな。


全て見終わった。新しい側仕えの人間が来て、フォーリャと出会った場面も映し出された。


キッチンの方でスープを作り直していたルーナも、途中から合流したが、その場で映像を見ていた者が一言も発することはなかった。


「これでわかったか?」


ソレーユが沈黙を切り裂いて問う。


「これを見せられたのなら、信じるしかないであろう。」


完敗だ。姫さんは先代の王族とは違う。妖精にも優しく寄り添い、人望もある。周りの人がそれを証明をしている。

儂はゆっくりと姫さん……クレアに近寄るとそっと、頭をなぞるように撫でる。

辛い思いをしてきたのだな。こんな小さな体で、抱えきれないほどの重荷を背負って。儂が軽くできないものか。


少し考えてみたが、そのまま体を軽くしてやることにした。魔力を出しながら指をパチンとさせる。起きた時には少し軽くなっているはずだ。


はぁ、ところで、クレアには合わす顔がない。一体どうしたものか。


「ここは、素直に謝るしかないわね、ラント。」


ルーナがニコニコしながらこんなことを言い出した。さては、調理してると見せかけてちゃっかり聞いておったな。さすがのルーナには儂も敵わん。

精霊の位は、単純な強さと神様からの信頼度で決まる。精霊界で特に力が強いのは、月の精霊であるルーナと太陽の精霊のあやつだからな。なんでもお見通し……か。

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