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26.要救助者大多数!?

「当たり前!……って言いたいところだけど、私は、引き止めるよ。だって……」

「だって?」

「だって……嫌なんだもん!」

「へ?」


もっと深刻な理由があると思ってたけど、嫌だから?


「フォーリャ。嫌だからと言って、置きっぱなしにするの?

どうなるか分かりもしないのに、そんな事できないわ。」

「でも、嫌なんだもん。」

「なんで嫌なの?」

「……危ないもん。私、クレアちゃんまでいなくなっちゃったら嫌だよ。あっち、嫌な感じがする。背中がゾクゾクするの。」


俯きながら泣きそうな顔になったり、その後は王宮の方を指さして、顔を歪めた。

王宮が嫌な感じ……もしかして、例の怪物のこと?


「でも、行かないと。行かないとだめだよ。あれは置いていっては行けない気がするわ。」

「……わかった。でも!無茶しようとしたらすぐに連れ戻すからね。……いなくなったら嫌なの。」


片腕を掴みながら、かすれた声で了承してくれた。


──────裏門前


「あ、姫様。」


オネストが近くまで駆け寄ってくると、私はすぐさま声をかける。


「私、シモツケ宮に行ってくるわ。」

「姫様!?」「クレア様!?」


同時に、そばに立っていたフィーナも反応した。


「取りに行かなくては行けないものがあるの。何を言われても止めない。」

「ですが……!」


そんな風に言ったオネストの肩を掴んで止めたのは、フィーナだった。それについては、さすがに驚いた。フィーナが真っ先に私を止めると思っていたから。


「クレア様はこうなってしまうと止まりません。意思を簡単に曲げたりしないことを、私は知っています。」

「えぇ。」


その通り。私は決めた、お父様に冷たい視線で見下ろされたあの日に。


「しかし、その行動がきっかけで他を巻き込んでしまうことも多々あります。」

「大丈夫、誰も巻き込んだりしないわ。」


私が少し口角を上げて口にすると、フィーナはゆっくりと頭を横に振った。


「いいえ、巻き込んでください。」

「えっ?」

「他を巻き込んで成長していくんです。場合によっては誰かが迷惑に感じることも、不快に感じることも、あるかもしれません。しかし、それも必要なことなのです。

いい事だけを経験して、成長していく人はいませんから。」


オネストを含め、ここに残っていた騎士団のみんなも、私も、目を見張って聞いていた。


「……わたくしがお供致します。」


沈黙の中、それを遮ったのは、引き締めた顔をした、オネストだった。


「わたくしも。」

「自分にお任せ下さい。」


二人の騎士が続けて声を上げた。他の騎士も続こうとしていたが、


「では、わたくし達、三人で参ります。」


オネストが見事に、バッサリと遮った。まぁ、ずらずらこられても困るからいいんだけどね。


「わかったわ。フィーナ、忠告ありがとう。肝に銘じるわ。」

「お役に立てたのならば幸いです。」


所詮は主と従者の関係。でも、私にとっては家族同然の存在。辛い時にそばにいてくれたのは、いつもララやフィーナやステルク騎士団のみんなだった。


私は何がなんでも、この人たちを守り抜く。私だって、いつまでも護衛対象の、か弱い王女じゃないのだから。


──────シモツケ宮


「取ってくるわね。あなた達はここで待機よ。」

「かしこまりました。大丈夫だとは思いますがくれぐれも慎重に。」

「ええ。」


外に三人を残して中へ入ると、いつも通りで、特に異常はなかった。


「えっと、確かここに……。あった!よかったわ。」

「うん。」

「……戻ろうか。」

「うん。」


フォーリャの様子がおかしい。


「ねぇ、フォーリャ。やっぱり体調が優れない?」

「え?いや、えっと……違うの。ただ、心配で。」

「心配?」


なんの?私もみんなも何ともないし、なんのことかしら。


「ソレーユ達と連絡がつかないの。精霊様がいるはずだから大丈夫だと思うけど……。」

「どういうこと?ソレーユ達、逃げてないの?」


姿は見ていないが、すっかり逃げていると思っていた。妖精だから勝手に安心して、確認まで後回しにしていたわ。

そんな私の安心とは裏腹に、大変なことが起こった。


「あそこにいる妖精はね、花畑にある魔力が具現化している状態にあるの。私みたいに誰かと契約すれば、その魔力の代わりに契約主の魔力で具現化できて、花畑から離れることができる。


つまり、誰とも契約していないみんなは、王宮から出れない。行けるとしてもせいぜい、昨日ヌーべと行った……王女宮の少し先ぐらいまで。」


それって、王宮のほんのちょっとじゃない!

南門の花畑は、端の方にあるけど、それでも、恐らく外に出れない。


「もっと早く言ってくれればよかったのに!」


走りながらというのと、焦りでつい強い言い方をしてしまった。


「……ごめんなさい。中々言い出せなくて……。」


しゅん、としながら答えたフォーリャに、波のような後悔が押し寄せてくる。


「いいえ、ただの当てつけよ。気が付かなかった私がいけないわ。ごめんね。」


少しだけ空気が軽くなって、少したった頃、私は気がついた。


「護衛、どうしよう?……フォーリャ。眠らせる魔法とかある?」

「眠らせる方法はあるよ。でも、ちょっと強引。」


どんな方法なのかしら。もしかして人体に影響が出たりしないよね。


「ジャスミンを使った方法でね。ジャスミンを出すから、その効力を魔法で強めて、振りかければ効果が出るはず。けど、そのままにしておいたら、眠った人たち危険だよ。」


フォーリャは葉っぱの妖精だもんね。


「なるほどね。でも、どうしようかしら。私一人で、大人三人も運べないわ。」

「それなら葉っぱに乗せて運んでいくよ。雲ほど長くは飛べないけど、これくらいなら何とか安全で、バレない距離に運べそう。」


フォーリャにお礼の意を伝えると、早速振りかけた……かったんだけど、私だとバレるからフォーリャにやってもらった。


「ごめんね。」


眠りについたオネストと、護衛騎士二人を見下ろしながら、呟いた。


──────花畑


あれからすぐに向かったおかけで、意外と早く着いた。結構走ったしね。


「クレアちゃん、ここ、入れないよ。あっちの門から行かないと!」

「いいえ。」

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