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21.心の声、契約

「私は、第三王女よ。前はメイドも沢山いて、王女宮で過ごしてたの。毎日欠かさず、お父様とお母様の所へ会いに行くのも苦じゃなかった。


けどね、妹の様子が変になってから、伝染するようにお父様もおかしくなってしまわれた。あんなに優しく笑ってくれていたのに、会いに行っても冷たい視線を送られるだけ。


ついにお気に入りのメイドまでいなくなっちゃって、王宮を抜け出したの。

新しく入ってきていたメイドのおかげで楽しく暮らせていたんだけど、今の護衛騎士団に見つかって王宮に戻った。


大変だったんだよ。……お父様に罵声をあびせられ、殴られたり蹴られたり。

今は騎士団のみんなと、更に新しく入った側仕えと平和に暮らしているんだけどね。

……正直いうとお父様が憎い。あれから一度も会いに来てくれないお母様のことも良くは思ってはいないわ。親を憎むっていけないことかな?私、間違ってるかな?」


始めはできるだけ明るく話そうと努めた。でも話していくうちに自分が惨めで、暗い雰囲気になってしまった。泣きまではいかないけど声もかすれてしまった。


なんで話しちゃったのかな。私の重荷となっていたものは少し軽くなったけど、それはフォーリャに移ってしまったかもしれない。やっぱり言わない方がよかった。

そんなことを考えていると、いきなり身体が軽くなってポカポカし始めた。


「なっ、なに!?」


いきなりの違和感に、驚きと不安を感じたけど、自然と落ち着く。いつだか感じた家族の温かみとすごく似ていて、思わず身を任せた。


「クレアちゃん、大丈夫だよ。あたしはずっと味方。」


不意に優しく包み込むようなフォーリャの声が聞こえてきた。右からでも左からでもなく、私の中から声が聞こえているみたいな不思議な感覚。


「私と契約……してくれる?」


契約?なんのだろう。唐突すぎる出来事に首を傾げつつ、どこか冷静にいられる。フォーリャの言う契約なら、平気な気がするのよね。


「うん、いいよ。」


その途端周りが緑帯びた光が飛び出て、あっという間に全体へと広がった。その色の一番濃い部分……誰かいる?小さな小さな誰かの手のひらで、何かを包み込んでいるのが見えた。あれはもしかして……フォーリャ?


下を向いていた小さな顔がこちらを向いて、優しい天使様のように微笑んだ。その笑顔に救われて重荷がスーッと消えていくような感覚がする。

心地よくて、久しぶりに感じる感覚に心を躍らせていたけど、そんなフォーリャらしき姿もすぐに光の中に消えて、代わりに声が聞こえてきた。


「我は神様の眷属である精霊様の親族である。人々及び世界の救済のため、クレア・ジュア・ヘリオス様を我が主とし、世のために力を使うことをここに誓う。」


この言葉は妖精の契約。だとしたら私も、誓いの言葉を言わないと。契約しないなんて選択肢は私になかった。


「わたくしは葉の妖精であるフォーリャの主となる者である。聖なる神と精霊に祈りと希望を乗せてここに誓う。」


その途端、まばらに光っていた光がしんと、時が止まったように固まり、やがて消え失せた。そしてフォーリャだと思われる姿があらわになる。


「クレアちゃん、いや、主様。改めまして葉の妖精であるフォーリャでございます。契約して頂いたこと、光栄に思います。」


そう言いながらぺこりと可愛らしく、でもどこか柔らかくふわふわしているようなおじぎをした。


「私も嬉しいわ。改めてよろしくね。」


私はフォーリャに応えるなりその小さな身体をまじまじと見つめる。


いかにも葉っぱ!って感じ。肩よりも少し長いくらいの緑色の髪をサイドの低めに二つ結びをし、花の飾りでとめられている。服は白を中心としたシンプルなワンピース。生地は……結構しっかりしていそうね。


ちなみに耳にはエメラルドグリーン?のイヤリング、胸元にはワンピースにコインのようなものが付いたリボンがつけられていた。

可愛いなぁ〜、服もアクセサリーも可愛いけど、一番は素材がいいからなんだろうな。フォーリャ自身が輝きを醸し出してる。唐突に低い声が聞こえた。


「……忘れてる。僕の事。」


あっ……ヌーベ君がいるの、頭の記憶から消えてた!


「わ、忘れてないよ、ヌーベ。ね、ねぇ?クレ……主様?」

「う、うん。そんなわけないわ。あはは……。」


フォーリャがあわあわしながら弁明している姿が目に入る。でもその先には誰もいなくて、ただ、向こうの景色が見えているだけだった。


「フォーリャ、そこにヌーベ君がいるの?」

「もちろんだ……です。」


口調に慣れていなく、たどたどしく答えるフォーリャの可愛さは不本意だけど、今だけ置いておいて本題に入る。


「私、フォーリャしか見えないんだけど。なんでだろ?」


当たり前と言わんばかりに答えていたフォーリャの顔が驚きに染まっていくのが分かる。


「……あんた、王族だよな?」


ヌーベが私に問いかけるとフォーリャが頬を膨らませた。


「ちょっと!契約した妖精のいる前で、主様を失礼な呼び方しないでよ!」


そ、そっち?私は問いの意図の方が気になるんだけど。


「私は確かに王族よ。なぜそれを聞くの?」


さっきみたいに少し間を置いて答えが返ってきた。この間には何か意味があるのかな。


「……魔力が少ない。」

「あー、それね。」


フォーリャが納得したように頷いた。


「どういうこと?」


状況を把握していないのは私だけみたい。魔力が少ないって……少ないってことよね。頭がこんがらがって分からない。一体なんの関係があるの?


「王族は普通ね、平民や貴族よりも魔力が多いはずなの……です。はるか昔の話にさかのぼるから、今は省略しますが、王家を決める時、魔力量を基準にしていたのもあり、王族の魔力は代々増える一方……です。」


平民が多くの魔力を使う魔法を使えないのは知っていた。魔力量については分からないけど、下町で暮らしていた時の生活を見てきたからね。

不便な状況になってまで魔力を使わないのは、使わないじゃなくて使えないとしか考えられないもん。


だけど、貴族よりも魔力が多いはずの王族である私が、少ないと言われるくらいだから、相当少ないのかも。

みんなと出会って、フォーリャと契約して、魔法を使えるようになると期待していた私もどこかにいたのに……。


さようなら、魔法でダラダラ生活。

希望の光が見えた瞬間におさらばだよ。


「……続きは今度な。」

「「へ?」」


私もフォーリャもいきなり放たれたヌーベ君の言葉に頭がポカンとする。

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