表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/50

18.ごめん!忘れてた!

えっと……。なになになになに?どういう事?何これ?

なんて言えばいいんだろう。

細長い丸で卵に近い形。色は、私の髪色と近いあざやかな銀。とりあえず振ってみる。変化なし。じゃ、動かしてダメなら今度は置いて眺めてみる。特に変わらず。


「うーん、もしかしたら似てるものを思い浮かべるとか?」


これは……卵?ひよこ、にわとり、鶏肉……。あっ、いけないいけない。お腹すいてきちゃった。朝ごはん前だから尚更ね。


他には不思議なもの……とか?

えっと、お化けでしょ、未確認飛行物体、ある意味では魔法も?えーと精霊、妖精、人間の仕組みも不思議。


……待って。いいこと思いついちゃった!同時に悪いことも。

あのフォーリゃちゃんに聞けばいいんだよ!不思議なものは不思議な生き物に聞く!それが一番。

そして悪いことは、約束破っちゃった!会ったあの日に「次の日、あの場所」で待ってるって言ってたのに。


今すぐ行かないと!急いで着替えるとシモツケ宮からすごい勢いで出た……んだけど。フィーナに腕を掴まれて、片っぽ上がっている足を下ろすタイミングを逃す。


「え、えっと……フィーナ?なあに?」


恐る恐る尋ねながら、そぉーと離れようとすると、更に強く掴まれた。


「なあに?ではありません!どこへ行くんです?起床なさったと思ったらいきなり外へ駆け出されて、朝食もまだですのに!」


あはは……。つい夢中で何も考えてなかった。


「ごめんね?フィーナ。ちょっと急に用ができて、行かないといけないのよ。」


ただでさえ忘れちゃってたのに、覚えてる今も行かないなんて私には無理。それにソレーユ君?のことも気になるし。


「せめて朝食を済ませてからでも良いのでしょう?そこまで急なのですか?」


卵らしき物をさりげなく見えない位置へと隠す。何も言われないからセーフかな。


「えぇ、そうよ。できるだけ早く帰ってちゃんとご飯も食べるわ。お願い行かせて……!」


フィーナは私のことを心配して言ってくれているんだろう。

申し訳ないけれど、本当に悪いんだけど、ちょっと過保護っていうか、閉じ込められてる感がするんだよね。もちろん善意だって分かってるからね。


私をルールに縛られすぎている、典型的ないい子みたいな。ほら、フィーナって真面目すぎるからさ。


「私だって、ちっちゃい子供じゃないわ。成長してるの。今はフィーナとステルク騎士団のみんなと過ごせて、危険なことをしようだなんて思ってない。もう、大丈夫だから。」


本当に心の底から幸せ。たとえ家族と会えなくとも、ここにいるみんなも家族だもん。


「はぁ、分かりました。いいですか?今は八時です。神殿の鐘が三回鳴る九時になる前には自室にいるように、考えて帰ってきてください。約束できますか?」


私に目線を合わせるようにしゃがむフィーナは真剣な眼差しだった。


「うん、約束。必ず1時間以内に戻るわ!」

「いってらっしゃいませ、クレア様。」


途中で手を振りながら後ろを向いてフィーナに目をやる。優しく微笑んでいる姿を見ると、再び前へと向き直り、スカートの裾を軽く持ち上げながら走っていった。


多分走れば五分もかからないはず。

息を切らして、汗が首筋をつたっていく。こんなに走ったのはいつぶりだろう。


「はぁ、もう、無理……、はし、れない。はぁ、はぁ。」


こんなに体力なかったっけ?鈍ってるかも……。

やっと見えたっ!目の前は木が並んでたっていて、その向こうには壁がある。けれど私は知ってる。


「ここをこうしてっ!よいしょ……。」


木と木の間に生えている草をかき分けて、壁がむき出しになる。そうしたら思いっきり壁をパンチ!


「いった〜!!」


普通はこんな、幼女の力で壁はビクともしないし、私のダメージの方が大きいはず。でも、壁が綺麗な丸型を描いてパキッと割れた。

いや、正確に言うと、元々空いていた穴を塞いでた物が、外れたって言うのかな。


でも手のダメージは多少あるよ。うぅ、まだ痛い。

壁の向こうには、鮮やかな花畑が広がっていて、ここが王宮の誇る庭園でもいいと思う。

まぁ、言わないけど。お気に入りの場所が奪われたら嫌だからね。


「フォーリャ?フォーリャ!」


やっぱり約束破っちゃったし怒ってるのかな。それとも居ない?うつむいてスカートの裾をぎゅっと握りしめる。

そんな時だった。


「わ〜!やだやだ!来ないでよ〜!」

「うろちょろと……。いいかげん大人しくしろ!」


フォーリャと……誰だろう。声は高いけど、女の子の声とは違う高さで少年ぐらいって言えばいいのかな?そんな声も重なって聞こえた。大きく花畑の空気を吸い込むと、


「フォーリャ!!!」


これでもか!と言うほどまで大声で叫んだ。

でも、叫びすぎたかも。周りに人、居ないよね?大丈夫だよね?誰かいないって言って!?


「クレア……ちゃん?」

「うん……遅れてごめん。クレアだよ。」


その後の反応がない。やっぱり怒ってるよね。


「へー、この子が。なんか思ってたより小さいな。」


あの声だ。知らない男の子の声。


「えっと……誰?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ