缶珈琲
目の前にある缶珈琲は、社内販売の、
一缶五十円のブラックだ。
私は、この缶珈琲を、一日に、
一本は飲んでいる。
そう有名ではないメーカーの物で、
味も、飲めないことは無いという程度。
とりあえずは、安いだけで、
ずっと飲みつづけたいわけではなく、
出来れば、もう止めたい。
もともとは、この缶珈琲を飲むと、
はっきり、目が覚めることが多く、
重宝したのがきっかけだ。
なにかしら、体に良くないものが、
たんまりと入っているのだろうが、
その効果に甘えて、今に至っている。
多くの人々には、体に悪いと知りながら、
どうしても、止められないことがある。
習慣と言うのだろうか。
日々をそのままに過ごしてしまう。
そして、いつしか、悲惨なところへ
行き着いてしまう。
同じ要領でも、逆ならいい。
いつしか、最良の世界へ行き着ける。
後戻り出来ないのが、この世界なら、
最良の世界へ行き着くほうがいい。
一本道でしかない、この世界には、
習慣を見直すインターチェンジが、
きっとあって、思いがけない場所に、
あるにちがいない。
もちろん、その手前の看板は
無いのだが。