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切れる日

作者: 乾紅太郎

何をやっても上手くいかない日は誰にでもあるもので。丁度今のあなたはそんな状態だった。彼女に電話しても電話は一方的に切られ、挙句の果てには手を切られる有様。

試しに入った定食屋のトンカツにソースは付いておらず、生憎今は切れているとの事。

なら最初から言えと文句を言っても、相手はそっぽを向いてこちらの相手をしようともしない。むしゃくしゃしながら店を出ると、あなたは今日冷蔵庫に入っていたものの消費期限が切れていた事を思い出し、そのまま商店街に向かった。

 たまたま入った雑貨店で、あなたは気分転換に蝋燭を買った。普段は見向きもしないものだったが家の電気も切れていたので、こんな物でも家に置いてリラックスしようと思ったのだ。会計を済ませようと千円札を出すと、小銭が切れていてお釣りが出せないとの事。一瞬いらっときたが、今日はどうせこんな日だと思いなおして、そのままお釣りを諦めて店を出た。

「すみません」

 突然横手から声をかけられあなたは驚いて横を見る。何だか知らないが悩殺的な格好をした若い女性が声をかけてきたのだ。用件を尋ねると、彼女は笑ってこう切り出した。

「今日であなたは、どうやらこの世界との縁が切れたみたいなんです。ですから、こうし    

 て私があなたを迎えに来ました。よかったですね」

 あなたは怖くなって駆け出した。目の前の信号は点滅していた。慌てて飛びだした瞬間、あなたの靴紐が切れ、転倒する。その瞬間、車内の音楽に夢中で視線を信号から切っていた若者が後ろの車のクラクションで気づき、猛スピードで発進した。

 


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― 新着の感想 ―
[一言]  始めまして。姫反アロと申します。    『切れる日』を読ませていただきました。  これから批評を書かせていただきますが、酷評というか、思ったままを書かせていただきますので、もし嫌ならここ…
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