演目八:ドッキリ
アリスside
おはようございます。アリスです。現在は早朝、今隣のベッドで寝ているヒナミ・メリーさんを起こしたいと思います。
すやすやと眠る彼女を無理に起こすのは心苦しいですが、この定番のアリス特性目覚まし爆弾で起こそうと思います。
アリスは懐からうさ耳が生えた球体を取り出す。顔には伍と書かれている。それを取り出したアリスは満足そうに頷き、ナーシャへと顔を向ける
ナーシャさん、意気込みを一つお願いします。
「頬を殴った方がよろしいかと!!」
アホでしたねありがとうございました。
てかナーシャ、てめぇっ…!オレが小声で話してる意味ねェじゃねぇか!
「はっ!?申し訳ありません!!」
「だから声がデケェんだョ!!!」
あ……。
オレは起こしてしまったか!?と思い、恐る恐るヒナミの方に向くと…。
「んん〜……すぅ…」
寝てたわ。危ねぇ危ねぇ…。
さて、ナーシャ、手筈通りに頼むゼ。
(御意)
ナーシャは、素早く行動に移る。
まず懐から取り出した、小さい小箱をベッドの足側に起き、軽く触れるともくもくと濃ゆい霧が出てくる。
部屋一面を霧で覆った後は、オレサマ特性のアリス目覚まし爆弾を枕元に置き、タイマーをセットする。爆発するのは5秒後。
オレとナーシャは素早くその場から飛び上がり、天井にぶら下がる。
アリス目覚まし爆弾の顔の数字が肆へと変わる。
参
弍
壱
どぉおぉぉぉぉぉおぉぉぉん!!!!
部屋に鳴り響く爆発音。騒ぎ出す住民達。半壊した一室。黒焦げアフロ姿へと変貌したヒナミ。
「ケホッ……」
「おはようございますアリスです」
「ナーシャです」
どっきり大成功とプラカードを掲げるアリスと腕を組み、決めポーズをとってるナーシャ。
「……おいナーシャ。大変だゼ、こりゃ」
「……えぇ我が主。ヒナミであればここで必ずツッコミを入れる筈なのですが…」
ヒナミはそれを聞くと、アリス達に顔を向け、微笑む。
「なんか悟ったみたいな顔してんゾ…?」
「情報処理が追いついていないのです。もうおなかいっぱいなのです」
「あ、これはアカン」
「さて、2人とも…」
「いけません!我が主よ、にげ」
ナーシャはいち早く危機をかんじ、アリスに逃げるように言おうとするが------
「すまねェナーシャ…捕まっちゃったっ」
語尾に星がつきそうな喋り方をするアリスは、既に悟りを開いたヒナミにより捕縛されていた。
「可愛い…はっ!?いつの間に!?」
「黙りなさい」
「アッハイ」
「説法の時間です」
半壊した宿屋の一室で、2つの悲鳴が上がった。
ヒナミside
酒場『マリーネ』
あれから宿屋のおじさんが泣きながら追い出し、行き場をなくしたヒナミ一行。
自然と行き着く場所は、忌まわしき思い出のある酒場マリーネ。
雰囲気、料理、お酒、店員、どれも最高なのだが、そこにくる客は下品な奴らばかりだ。
「いい!?もうあんな起こし方しないこと!!」
「わぁーったよ。次は違う起こし方してやるゼ」
「するな!!」
まだ懲りないのかコイツは!?
思考顔になったアリスに呆れるヒナミ。
「聞こえてるかしら…起こしてくれるのは有難いけど、もうちょっと起こし方ってもんをね」
「次はナーシャ、お前の撫切で起こしてみるか!」
「殺す気か!?」
撫切…ダンと戦闘した時に使われた撫でるだけ相手を切る。自身を刀として使う技。人じゃ出来ない芸当ね…。
ま、それはそうとして…。
「そろそろ『冒険者ギルド』へ向かうとしようかしらね!」
「ぼーけんしゃぎるど?」
「えぇ。私が今所属している所にね!」
ふふふ、と私は内心で笑う。今朝の仕返しも込めて、私の凄さをどーん!とアピールしてやるわ!!