演目五十:脱出
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アリスside
倒壊したおかげで見渡しが良くなった景色に一つだけ歪んでいる空間がある。空間は波紋を立てそこからグレーテルの顔がゆっくりと現れる。
「グレーテルじゃねェか!!どうして」
呼ばれたグレーテルはニヤリと白い歯を見せ笑う。
アリスは感じた。グレーテルにはこの窮地を脱することが出来る策を持っているのだと…!
「ふっ…そろそろ頭に血が上ってつらいから助けてくれないかい?」
現実は虚しく、ぷるぷると震えながら助けを乞うグレーテル。グレーテルは空間移動が使えるが自分や他の人も触れず、自分の意思では出ることも出来なく、体全部出るまで何も出来ないのだ。
「さて、どうするョ?このままじゃオレたちお尋ね者だゼ?」
「主よ、いっそグラニールで脅すのもアリでは?」
「搭乗者のアリス様とアタシらがバレたらアウトだろ」
「ええぇぇえええええ!?た、助けてあげないの!?」
グレーテルの助けを無視して、どう脱するかを考えだしたアリス達。その行動に思わず驚くヒナミ。そして、助けを求めたグレーテルも慌てる。
「ち、ちょっと!?なんで!?助けてくれないの!?」
アリスは頭に手をやり、ポリポリとかきながら悪態をつく。
「ケッ、救いの一手が来たと思ったら、荷物が増えただけで余計に面倒くさくなっちまっただけじゃねェか!」
「ぐふっ…し、しょうがないじゃないか!なんだか楽しそうな感じだっから来てみただけなんだから…てか、本当に…はやくっ!カルラとナーシャだっけ!?お願いだよ!あの時みたいにさぁ!!」
触れられないはずの空間に干渉する事が出来るナーシャとカルラ。だが、二人はそんなグレーテルの声に見向きもしない。
「ちっ…やりナ」
アリスの指示に従い、ナーシャとカルラはグレーテルの前で嫌な顔一つすると前にした方法と同じでグレーテルを取り出す。
ぬぽんっと変な音を立てアリスに似た姿をしているグレーテルが、まるで生まれたての子鹿のように足をぷるぷるさせながら立っている。
「お…おぉ…助かったんだよ…」
「それより、どうなされますか?」
「ふむぅ…」
今こうしておふざけしてる間にも、軍は攻めてきている。飛行じゃ、オレたちがバレたらアウトだし、地面に潜る、そんなものはねェ…いっそ辺り一面爆破させるか…。
「あはははは!何をそんなに悩んでるの?」
緊張感を感じられないグレーテルの笑い声に、イラッとするアリス一行。
「逆になんで悩まねェか不思議なんだがョ?」
「あはははは!だってボクの空間移動使えばここを直ぐに脱出出来るのに!他になにかやりたいことあった?」
「「「…………」」」
「…え?な、なに?」
しまったァァァァァァァ!!!忘れてたァァァ!!こいつが現れた時完全に空間移動使ってたじゃん!なんで気づかなかった…!
「空間移動、忘れてたぜ…」
「ひどい!?ボクのお気に入りの一つなのにぃぃ!!」
足をぷるぷるさせながらも、上半身を懸命に降ってボク、怒ってますアピールをしてくるグレーテル。
ガチャガチャッ!
遠くの方から金属同士の擦れ合う音が聞こえた。
「わりぃわりぃ…っと、急がねェとやばいな!頼めるか?グレーテル」
「むぅ…貸しだからね!」
「アァ…ナーシャ、カルラ、ヒナミ!脱出スんぞ!」
こうしてオレたちは、誰一人して相手国に顔を知られることなく脱出することに成功したのであった。
「ん…今更ながら…シュペードの奴にはオレたちの顔見られてるからのちのちヤバいんじゃ…?………まぁ、そん時は…ふはっ!」




