演目四十八:破壊
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アリスside
送ってくれたグレーテルと別れ、五城ある内の一つにメリーさんが突き抜けて出てきている城へ草原を駆けるアリス一行。鉄で出来た家の壁を蹴りながら上に上がっていき屋根へと登る。そしてまた走りだし、今度は屋根から屋根へと飛び移りながら城へと向かう。すると突然、突き抜けて出てきていたメリーさんが突然暴れ始めた。アリスは何かがあった、と思い足にさらに力を込めスピードを上げる。力を込めた際に鉄の家にヒビが入り、住民達は突然ヒビが入った事に驚いていた。
アリス達が走り出して数分後、城はもう目の前…だと思われたが眼前には、五城を囲むように家々が立ち並んでいた。
「ちっ…意外と広いな…ナーシャ、カルラ!これじゃあ埒が明かねェ!!上から行くゼ!!」
「はっ!」
「おう!」
アリスはその場から空中にジャンプし、懐に手をやり一つの人形を取り出す。二本の角を生やし、全身を黒い鱗で覆った竜の人形。人形に禍々しい魔力が纏う。その人形の背に手を当て、アリスが小さく声に出す。
「グラニール」
『ギュァァァァァァァァァァ!!!』
太陽を背に、巨大な竜が姿を現す。魔力の糸に繋がれたその巨体は宙を浮き、勢いを増して飛ぶ。糸を使い、アリスは前を走っているナーシャとカルラにグラニールを近づける。
ナーシャとカルラはその場からジャンプし、グラニールに乗る。それを確認したアリスは頷き、城へと向かう。
クイック城~
「おお…おお!派手にやってんなァ、ヒナミのやつ」
城へとたどり着いたアリス達。そこで見た城は半壊しており、武装メリーさんと化したメリーさんが何者かと戦っている姿だった。
「…うん?武装メリーさんと戦ってる男、なかなかやるじゃねェか!槍一つで武装メリーさんの攻撃を凌いでやがるゼ!」
こいつは面白くなってきた!このままどうなるのか見てみたいが…まずはヒナミの救出が先だな。
「行くぜナーシャ!カルラ!振り落とされんなョ!!」
グラニールを操り、半壊した城に突っ込む。残りの城をグラニールの体当たりで壊し、そのまま武装メリーさんと戦ってる男の目の前にグラニールを叩きつけるように着地する。
とっさのことで、武装メリーさんと戦ってる男は思わず動きを止めた。その隙を見逃さず、アリスはグラニールの尾で男を吹き飛ばす。それを見届け、ヒナミの方に声をかける。
「へっ!ヒナミ、助けに来た…って、おぉ!?」
どぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!
……が、助けに来たはずだが、何故か武装メリーさんから攻撃を喰らいそうになるアリス達。
「な、何しやがるヒナミ!」
「うははははは!!例え誰であろうとも私を止めることは出来な…て、あら?アリスじゃない」
アリスは恨みがましくしていると、武装メリーさんの後ろから笑いながらヒナミが出てきた。アリスに気づいたヒナミは、武装メリーさんの指示を止めこれまでの経緯を話す。話を聞き終えたアリス達はなんとも言えない…と言うより呆れた顔でヒナミを見つめる。
「し、仕方ないじゃない!!急なことで対応出来なかったし…それに…アリスが…その」
「その…なんだョ?」
「……っっ!!う、うるさい!早くここから出るわよ!」
顔を真っ赤に染め、アリスから顔を背けるヒナミ。その横でニヤニヤと見るナーシャとカルラ。
その時、空から咆哮が聞こえた。ばっとヒナミ達が空を見上げる。
「我が花嫁から離れろォォォォォォ!!下賎な賊共めぇぇぇぇ!!!」
そこには、先程吹き飛んだ男…シュペード・ジ・クイックが槍を持ち、アリス達目掛け振り下ろしてきた。アリス達はその場からバラバラに飛び退くと、シュペードが槍を地面に突き刺す。
ドゴォン!!
突き刺さった槍は、巨大なクレーターを作り辺りを吹き飛ばす。
「ふっ、あーあ…。吹き飛ばしまくってるけど…ここアンタの家じゃねェの?」
アリスが鼻で笑い、シュペードを小馬鹿にしながら煽る。
それに青筋を立てるシュペード。
「……っ…き、貴様は確実に殺してやろうっ!例え女、子供であろうとも関係はない!」
そう言ってシュペードは、突き刺さった槍を抜き、4、5回槍を振り回し構える。
「へっ!そうでなくちゃ困るぜ!!」
オレはグラニールを操り、背に乗る。両手を広げながらオレは声を上げる。
「さぁ、人形劇の開演だ!!」
へへ…武装メリーさん相手にあそこまでやったんだ…簡単に壊れてくれるなョ?




