演目四十三:出会いは突然の裏側
ブクマありがとうございます!!
ヒナミが真っ黒コーデの男に連れ去られる前の出来事。
アリス達はヒナミをそっちのけで黒アリスと話し込んでいた。
アリスside
「そいや、おめェ名前はなんだ?」
今まで話していたが、そう言えばと、こいつの名前を聞いていなかったと思ったアリスが黒アリスに名を聞く。
「ふん!ボクの名前を聞く前に自分から答えるもんしゃないのかい?」
してやったり。黒アリスは口元に笑みを浮かべアリスを見つめる。
「オレサマは他人のルールになんか縛られねェ!最狂の男と恐れられし人形使い、不思議 アリスだ!覚えとケ!」
否定しつつもしっかりと名乗るアリス。アリスはそのまま両手を上にあげ威嚇のポーズをとる。
「縛られてんじゃん…まぁいいか!ボクは移動する幻の魔服店の天才美少女店長、グレーテルだよ!」
黒アリス…グレーテルもアリスと同じポーズをとる。
互いに威嚇のポーズを取っているその光景は、見るもの全てに微笑みと安らぎを与えてくれる。
「……ン?…おめェらなンでそんな生暖かい目ェしんてんダ」
「そうだよ…」
周りの視線に気づいたアリスとグレーテルは、周囲をぐるっと見渡し、ジトっという視線を向ける。
「あ、てかよ?」
何かを思い出したかのようにアリスが口をこぼす。
「なんだい?」
「おめェ、女だったのカ」
その言葉に周囲が、店員Aが、グレーテルが固まる。
「………」
「……ん?な、なんだ?おめェら急に固まってョ?」
お前が言うなァァァァァァ!!!
周囲と店員Aの心の中で叫んだ。
周囲と店員Aが心の中で叫んでる中、グレーテルは硬直状態から解け、今度はプルプルと震える。そして次にドカンと爆発。アリスの襟を掴みぐわんぐわんと揺する。
「き、きみぃぃぃ!!!ボクの姿はどっからどうみたって女の子じゃないかな!?かな!?」
「おっ!?やめっ…てかンなこと言われたってョ?オレと同じ姿してんだから男だと」
それを聞いたグレーテルは更に激しくアリスを揺する。
「それはこっちのセリフだよォ!!!普通はボクの方が女の子に見られて君の方が驚かれるんだょおぉぉぉ!!!」
「ぐぉぉぉぉ!?お、おちつっ…けぇぇぇ!?」
若干グロッキーな状態になってるアリスを心配に思ったナーシャとカルラ、店員Aが止めに入る。
「ぐ、グレーテル!やめろ!我が主がそろそろもどしそうだ!」
「もどさねぇよ…」
「そうだぞ!お昼に食べたご飯が出ちまう!!」
「食ったのはおめェらだょ…」
「マスター」
てか、ほんとにそろそろヤバいゼ…。あ、冗談抜きで。
「ちょい、そろそろ離してく…れっ?」
「「あ」」
なんの因果か、助けようとアリスを掴むナーシャと引き剥がそうとグレーテルを掴むカルラの手が滑り、反発状態にあった二人の身体はそのままお互いへと近づき………。
「んむっ!?」
「んんっ!?」
キスをした。
「ぶはぁぁぁぁ!!」
「かはっ…!!」
それを間近で見たナーシャとカルラは鼻血と吐血。そのまま彼女らは倒れ伏す。その傍らには青ざめた表情で局部を抑え倒れ伏す店員Aがいた。




