演目四十一:出会いは突然に②
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ヒナミside
歪んだ空間から無理やり引き摺り出された、アリスにかなり似た店長と呼ばれる人。アリスとアリスに似た……めんどくさいわ、黒アリスにしましょう外見的に!……んん!アリスと黒アリスはお互いに睨み合ってる…つもりだろうが、愛らしい容姿のせいでほのぼのとした空間が出来上がった。それから数分後、アリスが口を開く。
「ほぅ?おめェがさっきの声のヤツか…見るからに強そうな外見してんじゃン」
……え?
「ふん!そうゆう君も強そうな…いや、さっきはこのボクの音を防いだんだから君の方が強いかな?今のところは」
強がってる!可愛い!!
「それはそうと…いい加減、ボクの襟を離してくれないか?」
あ…。そういえばカルラに掴まれたまんまだったわ…。
「…………」
カルラは目を黒アリス一点に向け、口を開けて固まっている。
「ちょっとちょっと?流石にこのままだとボクの首しまっちゃうよ?てか、現在進行形で閉まってるんだけどね?ははっ!……いやほんと笑い事じゃなくなるから早く離してぇぇぇ!!!」
顔がだんだんと青くなっていく黒アリスに、ナーシャが慌ててカルラの肩を揺する。
「お、おい!?カルラ!!しっかりしろ!!」
「……はっ!?アリス様が二人!?ここがエデン…」
「何を言ってるんだ貴様は!?代われ!」
「いやアンタも何言ってんのよ!助けなさい!!」
私は黒アリスを掴んでいた方の手をパシッと叩く。その衝撃で手を離したカルラは小さくあぁ、と声を漏らした。手から落ち、ぽふっと可愛らしく尻もちをついた黒アリス。
「いてっ…うぅ」
「ぷぷぅ!情けねェぜ!」
「…っ!なんだとぉ!?」
それを見て煽るアリスと怒る黒アリス。
「あー、もうアリス!大人気ないわよ!あんたお姉ちゃんなんだからちゃんと妹の面倒見ないと!」
「店長もですよ!わがままばっか言ってお姉ちゃんを困らせてはいけませんよ?」
「「誰が姉妹だ!!」」
私と店員さんがアリス達を注意すると、口を揃えて反論された。
「てかヒナミ!オレは男だ!知ってんだロ!?」
「店員A!ボク一回もわがまま言ってないんだけど!?…ん、え…君、男なの!?ありえないよ!!」
それは黒アリス、あんたにも言えるわよ。
と、アリスと黒アリスのほのぼのするやり取りを眺めてるとチリン、と鈴の音が部屋にこだまする。
「今度は何さ!?」
鈴の音を聞いた黒アリスが、嫌な顔しながら音の鳴った方向へ向く。そこには扉、私たちが壊した扉ではなく綺麗な状態の扉があった。扉はゆっくりと開き、突如荒々しい風が部屋の中に吹き荒れる。
「うわっ!」
「むっ?」
風が強く、吹き飛ばされそうになる黒アリスの腕をアリスが掴む。黒アリスもアリスの手にしがみつく。
…眼福。でわなく、なんだかんだいいながら、結構仲いいわね。
「…この風を起こしたのはお前か?」
カルラが開かれた扉の方を睨み、聞く。アリス達に夢中で全然気にしてなかったわ…。私もカルラが睨んでる方向に振り向く。そこには一人の男がいた。
「そうだ」
男は口を開き、一歩ずつ歩いてこちらへ向かってくる。
「店主よ。ここがかの移動する幻の魔服店『ネバーランド』でいいか?」
顔は凛々しく、鋭い目付きをしている。白髪の長い髪をなびかせ、上に黒い甲冑コートを纏い下は黒のパンツ。黒の厚いブーツを履いた全身真っ黒コーデの男が、自身の周りに風を吹かせる。
なんか変なの来たわ…。
「「なんか変なの来ちゃったわ…」」
同じことかんが…って、二人して口に出しちゃったよ…。




