演目三十四:おさる
ブクマありがとうございます!
感想・批判や誤字脱字の報告受け付けておりますのでよろしくお願いします(゜▽゜)
カルラside
アリス様がヒナミに修行を付けることになってから早一月が経過した。あたしとナーシャは、情報収集をかねてクエストをこなしていた。そんなある日、いくらか余裕が出来た…と言っても最初から余裕だが、ので!ヒナミの様子を見るという建前にアリス様を視姦しにいくのだ!!!
「欲望だだ漏れだぞ。……まぁ、後半は同意するがな」
「アン? いいんだよ、別によぅ!それよか、早く行こうぜ!アリス様の裸体を拝めねぇと!!」
「たわけ!我が主のお身体は貴様なんぞに魅せてたまるか!!私がお守りする!!」
なぜかアリスの裸を、と言う話になっているがご愛嬌。アリスの事になると言動が少しおかしくなるのが可愛いところであるが残念な二人である。彼女達は競い合うように、アリスの居るところに全速力で駆けていった。
修行場
………なんだこれ…。
カルラとナーシャは来て直ぐに、我が目を疑った。それもそうだろう、真っ黒に焦げたクレーター跡が何ヶ所にもあり、更にはそこらかしこに地面に巨大な抉られたような跡に人の拳の形をした殴り跡、巨大な拳には劣るがそれでもでかい獣の肉球と爪跡。少なかったであろう木々は倒れ、更に少なくなっていた。跡多いいな。てか、これ修行だよな?修行ですよねアリス様?いやだってアリス様、修行て言ったらほら、あれじゃん?一体一で教えて貰って体を鍛え技を磨いてーとか、精神修行とかいって座禅組んでとかじゃん?違うじゃん、戦争じゃんこれ。もぅかるらわかんないよぅ…。
「我が主よっ!!どこにおられますか!?カルラがもうキャラ崩壊し始めております!!」
いち早く現実に戻ったナーシャが、必死にアリスを探す。
「ここにいるぞー!」
ひょこっと、岩の後ろから拳を掲げながら元気よくアリスが飛び出してきた。
「かわ…っ…ぶはぁっ!!」
その姿を見たナーシャは、鼻血を噴出しながら後ろへ倒れる。
「おぉぅ!?ど、どうしたョ!?」
「アリス様ァァァ!!久しぶりじゃねぇかよぅ!あっはっはっは!」
鼻血を出して倒れ伏すナーシャに、心配をするアリスだが、まるで今までの事がなかったかのようなにこやかな笑顔で自身の主、アリスに絡むカルラ。
「いやー、アリス様にあえ…な………」
先程までの笑顔がだんだんと影を増していき、言葉もどんどんと萎んでいく。
「どうしたカルラ?我が主……に…」
いつの間にか起きていたナーシャも、アリスの顔を見た途端に顔に影を作り出す。わなわなと声を震わせ、ナーシャは問う。
「わっ…我が主よっ!!その顔の!お怪我は!?」
「ン?あァ、ヒナミにョ、してやられたんだゼ」
その言葉を聞いた途端、私の中で何かが切れる音が聞こえた。
そして、あたしとナーシャは声を揃えて叫ぶ。
「「戦争じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
鼻息を荒く、目は血走りに、犬歯をギラつかせ吠える二人。二人は、お得意の嗅覚でヒナミを探そうとするが見つからない。
「どこだ…っ!どこにいるぅぅ!!見つけ出して噛み殺してやるぅ!!!」
「極刑モノだぞヒナミィ…!!」
物騒な事を言っているカルラとナーシャ。それらを見てニヤニヤしているアリスは、しばらく楽しんだ跡にヒナミの場所を教える。
「ふふ…ヒナミなら、あっこにいるゼ?」
彼が指で指す。その方向に従って二人も見る。
「みつけっ……なっ!?」
「………っ」
そして、言葉をなくした。彼女らが見た光景それは------。
「ウキー!!ウキキウキッウキッ…イー!」
二足歩行ではなく四足歩行で走り回る…野生と化したヒナミの姿がそこにあった。所々、こちらをチラチラと見ながら威嚇をする。
「アリス様…………」
「ごめん……………」
哀愁漂わせ顔を逸らすアリス様に、あたしは何も言えなかった。




